AKB握手会事件で中森明夫が生き残り
に必死!

AKB論壇四天王のおかしな言説

 AKB48のメンバーが握手会にて、無職の男にノコギリで切りつけられた事件が、アイドル界で波紋を呼んでいます。この事件により、AKBグループはもちろんのこと、他のアイドルグループでも握手会イベントの中止や延期が相次いでおり、現在の、接触商法により、CDを売り上げるアイドルビジネスに大きな影響が出てくることも考えられるだけに、関係者、ファンも気が気ではないでしょう。
 そんな中、早速声を上げたのが評論家の中森明夫氏。小林よしのり氏、宇野常寛氏、濱野智史氏とともに、AKB論壇四天王として、滑稽な言説を振りまき続けているのはご存知の通り。中森氏は毎日新聞で、この事件により、イベントのあり方やセキュリティーは再考されるべきだが、ヒステリックな糾弾の勢いではなく、冷静な対応の上で行うべき、と書いています。そして締めの言葉は「アイドルを守れ!」。
 相変わらず、ことアイドルとなると、情感たっぷりな言葉を紡ぎだすのがお好きなようです。でも、この「アイドルを守れ!」という言葉、「アイドル文化を守れ!」ってことですよね? 別にアイドル自身を守れ、ってことを言ってるわけじゃないですよね?
 だって、アイドル自身をこういう目に遭わさないようにするには、握手会なんてやらない方がいいんですから。いや、もちろんアイドル達はそこに夢をもって活動をしているわけですから、そういったアイドル達の夢を守れってことだろ、とも受け取れます。
 でも、世の中の大半のアイドルはブレイクしないまま終わります。一時、充実感や満足感があったとしても、十年後二十年後には何も残ってないでしょう。青春を犠牲にして、アイドル活動に捧げた結果、何も残らない。何も残らないだけならまだマシ。スポットライトを浴びることに快楽を覚えて、普通の女の子に戻ることができず、AVの世界に……なんて可能性も大いにあります。そんな女の子達の生き方を肯定するのが「守る」ってことなんですかね。

握手会は悪徳な商法?

 大体、年端もいかない女の子達がキモいおっさんと握手ばっかりさせられてるのが健全なことだとは、正常な感性を持ち合わせていれば、とても思えません。さらに、今更言うまでもないことですが、同じCDを何十枚も何百枚も買わせるのが健全なことだとは、正常な感性を持ち合わせていれば、とても思えません。普通に考えれば、悪徳な商法です。
 中学生やら小学生に嫌々握手をさせることが、「アイドルを守る」ことになるとは、ねえ。いや、口では言うかもしれませんよ。「握手会はファンの皆さんとの心の交流の場だからなくさないでほしい」みたいなことを。実際はキモいキモいと思っていたとしても。もしかしたら、本気でそう思っている痛いコもいるかもしれません。
 でも、それアイドルビジネスという、明らかに不健全な世界に、無駄に夢を持っちゃって、大人に騙されて、感覚が麻痺しちゃった上で、思っているだけですからね。
 本当にアイドルのことを「守りたい」と思っているのなら、その目を覚まさせてあげる方がいいんじゃないでしょうか。ある程度可愛いコなら、楽しくて素晴らしい人生を送れる方法なんていくらでもあるでしょうし、どうしても芸能の分野に進みたいのだとしても、キモいオタクと握手し続ける以外に道はないわけではないでしょう。まあ、大して可愛くもなく、特に長所もないコが、その場でならチヤホヤされるから嬉しい、という理由でアイドル活動をしているのなら、何も言いませんけど。

アイドル文化が終わると仕事が減る評論

 そんなわけで、どうにもこうにも違和感のある「アイドルを守れ!」という言い回し。簡単に「守る」って書いてますけど、握手会を肯定し、アイドル文化が続くことで、一番守られるのは誰でしょう。
 書いてきたように、アイドル自身でありません。運営? まあ、AKBやももクロみたいに大ブレイクすれば、それなりにおいしいかもしれませんが、そうなる可能性なんてないに等しいでしょう。運営もアイドル文化が終わったら終わったで別のことをやりますよ。ファン? ファンもアイドル文化とかなくなった方が幸せなんじゃないですかね。CDを沢山買うなんてバカなことをしなくなり、その代わりに彼女ができたりする可能性も上がるんじゃないでしょうかね、ほんの少しだけ。
 となると、アイドル文化が続いても得する人なんてそんなにいないんじゃ……あっ、中森さん。アイドル評論家として、アイドル文化が続けば続くほど仕事がもらえるし、運営と違って何かに失敗して赤字になることもないし、役得で可愛いアイドルにも会えるし、良いことづくめ!
 他のAKB論壇四天王は、それぞれアイドル以外のお仕事もありますけど、中森さんはもはやアイドル以外に詳しいことなんてないから、アイドル以外で食っていけないでしょうしね。「僕の現在の生活が長続きするよう、アイドル文化を守れ!」とおっしゃるのであれば、非常に共感し得るんですけど、どうですか? 結局、そういうことなんですよね? ね?
 ただ、中森さん、実のところ、握手会を行うような現在のライブアイドル文化に別段詳しくないんですけどね。AKBしか知らないし、AKBをスペシャルと思い込んじゃって、それゆえにあまりにも中森さんのアイドル評論は薄っぺら、っていうか論の態をなしてはいないんですけどね。そんな人でも「アイドル評論家」として食べていけるのだから、今の日本は何ともおめでたい、いい国だとは言うことはできるかもしれません。

(文・橋上トオル)

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