前編:「いずこねこ」映画化で観るし
かない!

いずこねこの活動休止が決定

 アイドルなのか、アーティストなのか。まあ、そんなカテゴリーなんてどうでもよくて、圧倒的な魅力を秘めるソロプロジェクト・いずこねこ。オリジナル曲全ての作詞作曲編曲を手がけるプロデューサー・サクライケンタ氏が影響を受けたという現代音楽の雰囲気をまといつつ、諦念と終末感漂う独特の世界観で彩られた楽曲たち。そして、そんな“暗い”楽曲を、いずこねこはライブで、全力で観客を煽り、自身もステージいっぱい暴れ回りながら全力で歌う……一見楽曲とはミスマッチなパフォーマンスなのに、だからこそ、唯一無二の輝きを放っています。
 そんな、いずこねこですが、今年3月、プロデューサー・サクライ氏が、自身の体調を理由に終了することを発表。プロデューサーといっても、サクライ氏は、おおまかな方向性を企画・決定する役割にとどまりません。全楽曲の制作に加え、グッズのデザインから衣装からほぼ全てを手がけています。ボーカルのいずこねこ、こと茉里とサクライケンタ。2人でいずこねこといってもいい、このプロジェクトにとってかけがえのない存在であり、サクライ氏が休業するとなれば、いずこねこ自体の活動休止をファン(ちなみに、いずこねこのファンのことは「飼い主」と言います)は受け入れるしかありませんでした。

 いずこねこの活動休止が決定したことで、残されたライブイベントが終了すれば、少なくとも「いずこねこ」という形で、いずこねこのライブを観られることはなくなってしまいます。
 しかし、いずこねこは、ただ、最後の時を座して待つだけの存在ではなかったんです。5/21に発表されたのは、いずこねこ最初で最後の主演映画『世界の終わりのいずこねこ』の制作。しかも、単なるいずこねこ主演の映画ってだけじゃない、いずこねこ楽曲の世界観を再現したかのようなストーリーになる、とか。
「■そこは、夢や希望を歌う“アイドル”が存在しない世界ーーー。■近未来の東京は原因不明の伝染病が蔓延し、まともに暮らせない土地になってしまった。ほとんどの人間は関西に移住し、しかも地球にはなんと隕石が近づいている…!■もう未来は無い。願えば叶うなんてこともない。そんな諦観に満ちた日々の中、今生きている姿を、歌とパフォーマンスを全宇宙ネットワークでインターネット配信し続ける一人の少女・イツ子。そんな彼女の元にある日、木星から使者が現れるーーー。■隕石の衝突が数日後に迫る中、イツ子が出会った“いずこねこ”とは一体?彼女が知る驚愕の事実、そして、地球の運命はいかにーーー」
 この作品において、いずこねこはイツ子と“いずこねこ”、二役を演じるそうな。ストーリーの概要だけ見てもそそられる内容ですが、さらに、本作の共同脚本の人気漫画家・西島大介氏によるコミカライズ化、劇場公開に合わせたライブツアー、サントラのリリース、さらに新曲も発表されるという! もうサクライケンタ氏によるいずこねこの新曲を聴けることはないーーーそんな諦念を見事に裏切ってくれた今回の発表。いっそ、活動休止も撤回してくれたら、と思わないでもないですが、それは色々と高望みが過ぎるというものなので、とりあえずはこの発表を、ただただ喜びたいところ。

※後編は後ほど公開

(文・ソレン)

オススメCD:『last summer EP』(silencio sounds)/いずこねこ
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