SEKAI NO OWARI、初の映画作品 秘密
のベールに包まれた『TOKYO FANTASY
』とは?

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 監督はフランス人のラファエル・フリードマン。ミシェル・ゴンドリーらが所属するプロダクション「パルチザン」に所属し、これまでシガー・ロスのPVを手掛けるなど世界を股にかけて活躍している映像作家だ。台本はなく、監督とメンバーの間の話し合いの中で、撮影のロケーションや演出プランが決められていった本作。撮影時期の3月下旬から4月にかけては、ちょうどSEKAI NO OWARIにとって初めての全国アリーナツアー『炎と森のカーニバル -スターランド編-』の準備期間、そしてツアー序盤戦とスケジュールが重なっていた。もちろん作中には、他では観ることのできないそのリハーサル風景や舞台裏などのシーンもカメラに収められているが、今回の写真を見ればわかるように、本作はいわゆるツアードキュメンタリーのような作品とは一線を画すものになっている。

 ラファエル・フリードマン監督は次のように語る。「『TOKYO FANTASY』は今までのドキュメンタリーとは違い、SEKAI NO OWARIというバンドと彼らの音楽を様々なスタイルの映像を織り交ぜながら表現し、まるで夢を見ているようなファンタジーと現実が行き交う世界を描いた作品です。ヨーロッパ人である私から見た、“SEKAI NO OWARIの物語”を映画に出来たらよいと思っています」

 現在も「炎と森のカーニバル -スターランド編-」ツアー真っ最中のSEKAI NO OWARI。先日、その合間に都内某所で行われた撮影現場を取材させてもらった。その日の撮影では、「あなたにとってSEKAI NO OWARIとは?」「あなたにとっての東京とは?」といったベーシックで本質的な質問から、今後の本格的な世界進出に向けての戦略まで、監督による多岐にわたるロングインタビューが各メンバーにマン・トゥ・マンで行われていた。その中で、監督自身からの「どうして外国人の監督を起用したのか」という質問にFukaseは次のように答えていた。

「日本人の監督に依頼すると、きっとその監督が持っている理想のバンド像や好きなバンド像を、僕らに投影してしまうんじゃないかと思ったんです。SEKAI NO OWARIを何か特定の“そうであるべき姿”に撮られるのは嫌だった。だから、僕らとは文化圏も違って、僕らのことをほとんど知らない監督に、感じたままの姿を撮ってほしかったんです」

 撮影現場での取材なので実際に本編に使われているかは未定だが、その日の撮影ではメンバー4人が「ファンからの質問に答える」というシークエンスもあった。その中での、8歳の男の子からの「Fukaseさんはどうしてそんなにクールなんですか?」という質問へのFukaseの答えがとても印象的だった。「僕は誰にも負けないからね」。そこから一拍置いて、まるでだめ押しをするように「誰にもだよ!」。

 日本のバンドシーンだけじゃない、日本の音楽シーン全体でもない、「誰にも負けない」その毅然とした姿勢のまま、世界に飛び立とうとしている2014年のSEKAI NO OWARI。映画『TOKYO FANTASY』には、その本当の姿と、本物のファンタジーが詰め込まれているに違いない。(宇野維正)

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