【ほのかりん インタビュー】
作詞に時間はかかったけど、
初心に戻ることができた
最初の2行がすごく大切で
こだわりを持って作った
また、前半の歌詞に《貴方を好きになっては いけない理由を/探すのに 必死になってる/本当に私なんかでいいの》とありますが、まさにここは歳の差があるカップルならではだと感じました。
そうそう。最初はブレーキをかけているんだけれど、歌詞が進むにつれて次第にほぐれていって、その感じがストーリーをなぞっているというか。ストーリーが進む過程を結構意識して書いていきました。心を開いていく様子がとても見える歌詞なんじゃないかと思っています。
普段も曲を作る時はそういうことは意識します?
ストーリーを進めることもありますけど、基本は停滞が好きというか。“私、ここにいるんです!”というのが好きなので、あまりハッピーエンドの曲を書かないから珍しいかもしれないですね(笑)。未来の話とか、周りの目とか、年の差とか…そういった自分でかけてしまっていた呪いが解けていくみたいな感じです。そう言えば、おまじないって漢字変換すると“お呪い”になるんですよ。文字入力をしてから知ったので、“めちゃくちゃ怖い!”と思いました(笑)。
ちょっと毒がある言葉ですよね(笑)。あと、中盤で出てくる《二つ並んだ 歯ブラシみたいに/二人並んで そばにいて》というところは、ほのかさん独特の目線だと思ったのですが。
人の家に行って歯ブラシを置くという行為が好きなんですよ。また行った時に“あっ、まだある”って思うとか。それを確かめるのが趣味で(笑)。ふたつあると嬉しくなるんです。親密な仲にならないと歯ブラシがあるという状態にならないじゃないですか。歯ブラシが並ぶことによって関係性が深まったといった感じで、ふたりがそばにいるようになる…みたいな。
さらに進んでいくと《あの日くれた ネックレスみたいに/私もちゃんと 残してて》とあって。
ネックレスが『30禁 それは30歳未満お断りの恋。』のストーリーに出てくるんですよ。いろいろあって、年下の男の子が頑張って買ったブランドのネックレスをもらうというシーンがあるんです。その渡し方が素敵で、“こんな渡され方をされたい!”と思って歌詞に入れてみました(笑)。
なるほど(笑)。
アクセサリーは残るじゃないですか。“物に罪はない”と言えども、元カレにもらったネックレスって捨てようと思ったりするし。そのアクセサリーをもらった…気持ちを残すみたいな感じが伝わればいいなと思ってます。
ネックレスはあくまでも象徴であるんですね。
そうです。それを残すということは、気持ちが残るから残しているんだと思うんです。“あの日くれたネックレスみたいに、私もちゃんと心の中で残しててね”みたいな。
この曲は歌謡曲的な懐かしさも感じますが、作曲についてはどんなことを考えましたか?
「おまじない」を制作するにあたっては、メロが違うものを4曲くらい書いたんです。その中でも《私が幸せに なるためのおまじない/ゆっくり 私にかけて》という最初のメロディーと歌詞はずっと変わらなくて。それを使いたいがために違うメロを書いていくみたいな感じだったので、その2行にすごくこだわりを持っていました。
そこを活かすために、どんな曲にすればいいかを考えた?
そうです。そこが大切すぎて、もはやサビとか分からないみたいな。その2行ができた時点で、とても満足していたんですよ(笑)。
その冒頭の部分は本当にスッと入ってきます。
冒頭の2行で“何かあったな”という感じじゃないですか。それこそ冒頭のメロディーは他のサビとかにもまったく出てこないので、そこを一番大事に作りました。
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