T.MORIYAMMER

T.MORIYAMMER

【T.MORIYAMMER インタビュー】
“こんな状況だからこそ楽しもう”
っていうものにしたかった

難しいことはできないけど、
カッコ良いことはできる

今回のソロを“T.MORIYAMMER”という名義にしたのは、35年前のソロとの差別化のためですか?

35年前のソロとは全然違うわけで…レコーディングスタイルも違うし、いいスタジオでやれないし、あんなにお金をかけられないから、原始的というか、アマチュア時代に戻るわけじゃないけど、そういう発想で作るべきだし、そうせざるを得ない状況だった。だから、“MORIYAMMER”という、ちょっと面白い芸名というのもいいかなって。まぁ、ロック的なジョークですね(笑)。

そして、岩川浩二さんと制作に取りかかるわけですが、おふたりでやられているTHE GANG BUSKERSの延長みたいな意識もあったりするのですか?

それはあんまり意識はしなっかたけど、浩二が小さなハウススタジオを持っているから、まずは浩二に連絡をして、ふたりでやろうって伝えて。いろんなミュージシャンを呼ぶと、それだけコロナのリスクが高くなるけど、ふたりだったらそこまでのリスクはないだろうからって始めた…まぁ、そうなるよね。THE GANG BUSKERSじゃないにしても、あいつは若い頃から俺の音楽性をぼぼ知ってるから、THE MODSとは違ったツーカーの仲だし。だから、作業も早かったですよ。

岩川さんと作業する上で何か話し合ったりしたのですか?

というか、状況が状況だけに、あいつもすぐに理解してくれましたね。“35年前のソロのようなことは自分にはできないけど、森山さんが今持って来ている楽曲に関しては、自分のアレンジで良ければお手伝いします”って。そこは同じような音楽を聴いてきてるし、レーベルメイトでもあったわけだし、ツアーも一緒にやったりしたから、もう分かってるんだよね。俺がギターを持って口移しで聴かせるだけで、あいつはギターを持って合わせてくるし、そのままレコーディングに入るみたいな。だから、一日に3曲くらい録れた…もちろん、あとから歌い直したり、細かい部分を差し替えたりはしたけど、それくらいのペースでやれてましたね。

もともとはアコースティックツアーに向けて作られていた楽曲だったそうですけど、どれもバンドサウンドでのロックンロールナンバーになってますよね。

アコースティックツアーに向けて作っていたのは、あくまでもTHE MODSのためのものだったから、そこは一旦ストップしたんですよ。だから、それ用に作ってた曲は一曲も入ってないです。新たにソロ用に作った曲ばかりになります。メロディーや歌詞に関して“これはTHE MODSじゃないな”っていうものばかり…とはいえ、聴くのはTHE MODSのファンだから、ニュアンスとして8ビートの曲を入れたりはしたけどね。

岩川さんがいろいろな楽器を?

そう。リズム関係もそうだし。なかなか評価されないけど(笑)、そういうところはすごく器用で、素晴らしいミュージシャンなんですよ。あいつのスタジオにしても、決して広くはないけど、機材はビンテージのものにこだわってたりしてて。

フレージングにしても、いい意味でのロックの定番的なもののカッコ良さを感じました。

まあね。難しいことはできないけど、カッコ良いことはできるんですよ(笑)。俺が“これはプレスリーふうにいくから”って言うと、あいつはどうしてほしいか分かってるし、“ここはメロディーじゃなくてコーラスで”って言うとばっちりなコーラスを入れてくるし…そういう意味では、長い付き合いだし、バンドとはまた違う関係性があるんですね。あと、仕事っていうことを考えずにできる。THE MODSだと“いいものを作らないといけない”や“メッセージを届けたい”っていう…仕事とは思ってないけど、いい意味でのプレッシャーを抱えながら作ってるからね。まぁ、それが楽しんだけど。でも、このソロはそういうことが一切ないんですよ。“もう好きにやろうぜ”、それだけ。それが、今、ファンにとっても嬉しいというか、感じてもらえるんじゃないかなって思うし。

そういう部分が明確なのが、やはり歌詞ですよね。“こんな状況だからこそ楽しもう”というものでありつつ、しっかりと時代を切り取っているし。

そこはね、やっぱりやらないと。ただ楽しい曲だったり、ただのラブソングだったら、俺が歌う意味がない。それはTHE MODSだろうが、ソロだろうが関係ないですから。自分が書く歌詞は…まぁ、THE MODSほどではなくても、多少は今の時代というものをぶち込んでおきたいってのはありますね。

そんな今作のタイトル曲が「GET YOURSELF」。この曲が表題ということは、今回の方向性を示しているということですか?

“なんとなく、今、この気分だな”っていうことですね。だから、今の俺の気分を一番表している曲です。

セミアコの絡みとウッドベースのウォーキングベース、コーラスワークやグルーブが60年代あたりのロックの香りを醸しているのですが、森山さんのルーツが出たということですか?

もちろん新しいものを求めていた時代もあるけど、もう年齡的にもいい歳だし、俺たちが新しいものを追い続けすぎてもね、ろくなことにならないから(笑)。新しいものは新しい世代がやるのが一番いいし、的確だと思うんですよ。そういうものを聴いたり、ちょっとした影響を受けることもあるけど、俺たちは俺たちが一番好きなことをやるべきだと思うし、そうなるとどうしてもルーツ的なロックになるよね。逆にそれを今の自分として出せば、俺にとっては新しいものになるから、それはそれでいいんじゃないかなって。ロックンロールってそうやって転がっていく音楽だし、そこに多少なりとも若い子が引っかかってくれたら素敵なことだと思うし。

ルーツロックが持っているものでもあると思うのですが、張り詰めた感じではなく、どこか肩の力が抜けているというか。そこが“とにかく楽しもう”というグルーブにつながってますよね。

そこは意識したところだからね。THE MODSじゃないわけだし。THE MODSは来年40周年だから、アルバムを出したいと思ってるんですよ。まぁ、どうなるかは分からないんだけど、俺の中ではヒリヒリするようなものになるんじゃないかって気がしてて。だから、そうじゃないもの、逆側の“ロックンロールは楽しんだよ。これを聴いて元気を出して、頑張って乗り越えていこうぜ”っていうメッセージが送れたらいいなって感じですね。

《自由に歌おう 自由に跳ぼう》とあるし、まさにタイトル通り“自分を取り戻そう”ということですね。

自粛期間中は友達にも会えないし、みんな精神的にも経済的にも決していい状態じゃないんですよ。だからって、仕事は辞めれない…“ロックを辞めるか?”っていうのは、また違う話だからね。じゃあ、グダグダ言わず、できることをやっていくしかないわけで…それは俺もそうだし。つらい想いをしているファンはいっぱいるだろうから、これを聴いている間くらいは楽になってほしい…そんな感じです。

《閉じ込めた声を 吐き出してごらん》とあるように、みんな耐え忍んでいるわけですからね。

俺もそうですから(笑)。

2曲目の「GOOD ROCKIN' DAYS」はThe Beatlesっぽいと思って聴いていたら、歌詞にThe Beatlesの曲名が散りばめられているという。森山さんと岩川さんが楽しみながら作っている絵が浮かびましたよ。

この自粛中、あまりにも暇すぎてね、映像作品を観直したんですよ。映画もそうだけど、音楽作品を…例えば『ザ・ビートルズ・アンソロジー』っていう5枚組のDVDとかね。買った当時は観たけど、それっきり観てなかったんですよ。だから、“こんなに時間があるんだから観てみよう”って。で、一気に観てみたら“やっぱりThe Beatlesは最高だな”って改めて思えて、そこからThe Beatlesの他の映像も観たりしていると“あぁ、俺もここから始まったな”って思ったりして。The Beatlesを聴いていた当時の気持ち…十代の頃の想いで作ってみたいと思ってガチャガチャやっているうちに、あの歌詞とメロディーがきたんです。

それを岩川さんに聴かせたら、すぐに乗ってきた?

すぐにアレンジして、“サビのメロディーはこう変えましようよ”とか言ってきましたね(笑)。コーラスも全部、あいつがThe Beatles風にやって…そういうのが得意ですから。ほんと楽しみながら、あっと言う間にできましたよ。

まさにソロだからこその曲ですね。

これをTHE MODSに持って行くには勇気がいるよね、あまりにも個人的すぎて。だから、その微妙な境目が面白いんじゃないかな? 歌詞を書き換えると全然違うものになると思うし。あのユニークなところはTHE MODSでは難しいけど、ソロだったらできるっていう。そういう自由なところは、THE MODSのレコーディングとは違った意味で楽しかったですね。

OKMusic編集部

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