三谷幸喜の新作舞台『大地(Social
Distancing Version)』が開幕へ!
初日前のフォトコールをレポート
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
物語の舞台は、とある共産主義国家。独裁政権が遂行した文化改革の中、反政府主義のレッテルを貼られた俳優たちが収容された施設があった。強制的に集められた彼らは、政府の監視下で、広大な荒野を耕し、農場を作り、家畜の世話をした。過酷な生活の中で、なにより彼らを苦しめたのは、「演じる」行為を禁じられたことだった。
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
その理由はどうであれ、みな、役者としてしか生きる術を知らない俳優たちだ。彼らが極限状態の中で織りなす、歴史と芸術を巡る群像劇の幕が上がる……! というあらすじになっている。
前説をする三谷幸喜
冒頭、「舞台俳優たちは今、なかなか舞台や演劇に携わることができなくて、演劇関係者はすごく苦労しているところでございますけれども、(この舞台は)それとほぼ同じような設定で、『演じることができない』人たちが集まっている、と。本を考えたのは去年なのですが、我ながらなんという先見の明なのかと……」と話し、早速笑いをとる。
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
例えば、舞台となる有刺鉄線に囲まれたおんぼろの収容所は、八百屋舞台(※客席に対して舞台奥が高くなるように、傾斜のついた舞台)に8つのベッドを格子状に配置して表現。三谷は「リアルで考えればベッドは並ぶはずですが、俳優たちは基本的にそれぞれの穴(スペース)の中で台詞をいいます。部屋の中の設定なのですが、換気がいいように隙間があって……」と、やや苦し紛れな(?)解説をしていた。
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
ブロツキーやチャペックのほか、女形の役者であるツベルチェク(竜星涼)、ものまね芸人のピンカス(藤井隆)、学生のミミンコ(濱田龍臣)、大手劇団出身・演出家兼務のツルハ(相島一之)、サーカス 団出身のプルーハ(浅野和之)、大手劇団出身のバチェク(辻萬長)と個性豊かなメンバーが共同生活をしていた。指導員のホデク(栗原英雄)が、収容所にいる俳優たちをドランスキーに紹介してゆく序盤のシーン、約20分間が公開された。
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
公開されたフォトコールの中で印象的だったのは、濱田が演じるミミンコの「きっとまた昔の暮らしが戻ってくる。その頃までなんとしても生きのびなくてはいけない」という台詞。収容所の中で、登場人物たちは行動に制限がある設定だと理解はしているのだが、やはり新型コロナウイルスの感染拡大によって、公演が中止になったり延期になったりして“制限”されてきた現実の演劇人の思いと重なり、胸が熱くなった。
舞台『大地(Social Distancing Version)』フォトコールの様子
SPICE
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