千葉雄大インタビュー~主演舞台『ジ
ャズ大名』はギャル魂に溢れたブチア
ゲ演劇!?

千葉雄大主演の舞台『ジャズ大名』が、2023年12月9日(土)よりKAAT 神奈川芸術劇場<ホール>にて上演される。本作は江戸末期を舞台に、アメリカから漂着した黒人奴隷と音楽好きの藩主が出会い、身分や人種の壁を超えてジャムセッションを繰り広げる異色のコメディ音楽劇。演劇や映像の世界で活躍する演出家の福原充則が、過去には映画化もされた筒井康隆の原作小説を令和に蘇らせる。ビジュアル撮影を控えた都内のスタジオにて、主演を務める千葉雄大に本作出演への思いを聞いた。

■時代劇やジャズの印象を覆すポップさ
──『ジャズ大名』出演のお話を受けて、どんなお気持ちでしたか?
率直に「おもしろそうだな」と思いました。ただ、「後半20分は踊り続ける」と聞いて心配になったので「ダンスはあまりできないけれど大丈夫ですか?」と確認しました。「ちゃんとしたダンスというよりはノリが大事」ということだったので安心してお受けすることにしました。
──台本は完成前と聞いていますが、台本の叩き台にあたるものを読まれたそうですね。どんな印象でしたか?
この作品の舞台は江戸時代末期ですが、いかにも時代劇っぽい雰囲気かというとそうではなく、もう少しポップなイメージです。語り部の人の話し方も「時は元禄◯年!」みたいな感じではなくて、「と、まあこんな感じで……」みたいに肩の力の抜けた感じでおもしろいですね。あとは読んでいても想像のつかない場面も多くて、今はそれが逆にすごく楽しみです。
──ジャズにはどんな印象をお持ちですか?
僕、正直なところあまり通ってなくて……。暗がりでかかっていて、少し敷居が高いイメージがあるけれど、この作品でそういう先入観が覆されるのかなと思っています。
──原作に忠実な台本だとしたら、千葉さんはクラリネットを演奏されることになります。楽器の練習はお好きですか?
大学生でバンドを組んでいた時のギターの練習は楽しくなかったです(笑)。でも、お仕事のための練習は好きなんです。こういう機会がない限り、クラリネットに触れることもなかったと思いますし。
以前ミュージカル(『ポーの一族』2021年)に出演した時にも思ったんですが、作品のために練習したものって、それが終わってからも自分の中に残るじゃないですか。自分の武器が増える、みたいな感覚がちょっとあると言うか。大変は大変だけど、そういう意味でもやりがいがありますね。
──ちなみに、お芝居のための練習がきっかけでハマったものはありますか?
ボイストレーニングには、たまに行くようになりました。あと、自分ではやらないのですが、将棋とか水球には興味を持って見るようになりましたね。

■犬の散歩で3万歩
──千葉さんがかねてよりファンと公言されている藤井隆さんと共演されます。
藤井さんはずっと憧れの存在です。藤井さんが出演されていたバラエティ番組が大好きで、グッズも買ってました。「ナンダカンダ」(2000年リリースの藤井隆デビューシングル)は今もカラオケで歌います。お芝居ももちろん素敵ですし、共演できるのは本当にうれしいです。
──藤井さんが、感染対策に気を配りつつも「中華街に一度くらいは行きたいなぁ、と思っています」とコメントを出されていましたね。
それができたらまじで最高です。みんなでデカい円卓を囲んで。僕、2020年以降、年に1〜2本舞台に出させてもらってるんですけど、ずっとコロナだったので、みんなで打ち上げして楽しかった、みたいな思い出がないんです。お話は稽古場でもできるけれど、ご飯を食べる時はみんな席に座ってまっすぐ前を向いて、みたいな状況で。だからコミュニケーションを取りづらい部分がありましたね。
──稽古は10月からだそうが、その頃は状況が落ち着いていますように。新しい現場が始まる時には、いつもどんなお気持ちですか?
「平和であれ」と思っています(笑)。今回はいつもよりお稽古の期間が少し長いんです。だから、共演者の皆さんともより親密になれたらいいなと思います。僕よりもずっと舞台経験をお持ちの方がたくさんいらっしゃるので、色々教えてもらえたらいいなと。あ、でも色々言われすぎると「ちょっとごめんなさい……」って思っちゃうかも(笑)。そういうこともそのまま伝えられるくらい、平和な関係になれたらと思います。
──新しい現場にはすぐ慣れる方ですか?
どうでしょう……。でも最初の顔合わせが一番緊張しますね。猫を被っちゃいがちなんですよ。
──打ち解けるにはどのくらい時間がかかりますか?
周りから言われるのは、連続ドラマが全10話だったとしたら8話あたりだって。
──結構後半ですね(笑)。
でも、映像よりは舞台のほうが早い気がします。8話と言わず、稽古中に距離を詰めていけたらと思います。
──お稽古が通常より長いのは、準備が大変な場面があるからかもしれないですね。
後半20分ダンスですしね。それ、ほんとなのかな?
(KAATスタッフ 「最後は踊り続けて、倒れるまで踊ってもらう」と福原さんがおっしゃっていました。)
──倒れるまで! ……となると体力勝負ですね。日頃から何か体力作りは?
朝晩の犬の散歩ですね。夏はさすがに少し短めになるけど、それ以外の季節だと調子のいい時は3万歩くらい歩きます。
──えっ、すごい距離ですね!
普通に家から歩いて、広めの公園でわーっと遊んで、また帰って。そうすると気づいたら3万歩くらいになってます。

■見知らぬ土地の盆踊りに出没
──千葉さんにとって『ジャズ大名』は2023年を締めくくる作品になりそうです。まだ気が早いですが、今年を振り返ると千葉さんにとってどんな年だったと言えそうですか?
挑戦の多い年でした。1月から始まったドラマ(テレビ朝日系「星降る夜に」)では手話に挑戦し、10月には『あの夜であえたら』という舞台演劇番組イベント生配信ドラマにも出演します。まだ公開されていませんが、他にもチャレンジングな企画があります。そういったあれこれを経て12月に『ジャズ大名』なので、踊り狂って今年を締めくくることになりそうです。
──踊り狂って締めくくると聞くと、なんだかワクワクしますね。
僕、お祭りが好きなんです。ブチあがる感じが好き。『ジャズ大名』もそういう気持ちで観に来てくれたらうれしいです。
──夏祭りといえば、千葉さんの地元の仙台だと七夕祭りですか。
僕の祭り人生はたしかに七夕祭りから始まりました。音楽を聴くのも好きなので、この季節にはロックフェスティバルにも行きます。あと、このお仕事を始めてから何度か、全然縁のない土地の盆踊り大会に出没するっていうのをやっていて。東東京の方の、普通に公園とかでやってるお祭りに。
──「あ、千葉さんだ」と気付かれますよね?
気付かれますね。でもそういう時はお酒を飲んでて陽気なので、声をかけられたら「イェーイ、楽しもうね〜(ギャルポーズ付きで)」って。一緒にいる友だちには「やめなよ、そういうの」ってたしなめられますけど(笑)。でも、みんな一緒くたでぐちゃぐちゃって状態が楽しいですよね。
──お祭りを楽しむための心構えはありますか?
恥ずかしがらないこと。これはお祭りに限らず、色んなことに言えると思いますね。舞台を観ているお客さんも、笑いたい時には声を出して笑えばいいと思う方です。まあ、そういうのを嫌がるお客さんもいますから、なんとも言えないのですが。でも、ライブなんかでも「ヒュー!」とか声出していいと思う。自分にとって「これは抑えきれない!」みたいな気持ちが湧いたら、絶対に抑えないほうがいい。祭りってそういう感じだと思うんです。自分を解き放つ、みたいな。
──『ジャズ大名』もまさにそういった解放感のある作品になりそうですね。では最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。
テンションブチアゲハチャメチャフェスティバル、みたいなギャル魂に溢れた舞台になるんじゃないかと思います(笑)。観ていただいた方に「今年も色々あったけど最後がよければオッケー!」と思ってもらえたらうれしいですね。それに、時代は違えど好きなことにひたむきになる人たちのお話なので、観る方にとっても何かに挑戦するための原動力になるんじゃないかと思います。ぜひ観に来てほしいです!
12月17日(日)13:00の<e+特別観劇会>を、e+ポーズでアピールしてくれました!

取材・文=碇雪恵
ヘアメイク:堤紗也香
スタイリスト:寒河江健

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