【サイダーガール インタビュー】
人生で一番悩んでいた時に、
こういう歌詞があったら心が救われた
Zepp DiverCity Tokyo公演もソールドアウト! 着実に階段を昇るサイダーガールから2019年第一弾シングル「クローバー」が届いた。全てがサビと言えるほどのシンプルな構成と心に響く歌詞。自分を探して揺れる思春期に…いや、《息苦しい 見せかけの自由》の中で葛藤する全世代に聴いてほしい。
思春期の子に限らず、
幅広く届くメッセージソング
「クローバー」は思春期に出会いたかったと思えるような勇気付けられる歌詞なんですが、作詞作曲者のYurinさんとしてはいかがでしょうか?
Yurin
もともとのテーマとしては“人間は生きているだけで偉いよね、頑張っててさらに偉いね”みたいな感じだったんです。そこでディレクターから応援歌っぽいものを作ってほしいって言われて、自分が生きている上でとか、思春期の時とかにもやもやしていたことを俯瞰で見て、自分で自分を鼓舞するような気持ちで書きました。
思いもよらないことが起きる世の中を生き抜く糧になるような歌でもあると思ったのですが、そういった時勢を反映させたところはありますか?
Yurin
SNSって一見自由に発言できるようでも、実はそんなに自由じゃなかったりするじゃないですか。大人になるにつれて、できることが増えていくと思っていたのに、実際は子供の頃のほうができたこともあったし。最近もニュースとか見ていて、本当はもっと自由に生きられるはずなのに、委縮してしまう流れになっているのは嫌だなぁっていう想いはありますね。
知さんとフジムラさんは、この歌を聴いて思春期を思い返したりしましたか?
知
僕は思春期というより、今の自分として共感するというか。いろんなものに縛られている気持ちはずっとあるし。思春期の子に限らず、幅広く届くメッセージソングなんじゃないかな。
確かに、そうですよね。《誰かが願ってもこの世界はきっと 優しくはならないとわかっているけど》って15歳の時に言われたら、“そんなこと言わないでよ!”って思うはず。
それに、思春期に抱えていた想いって、大人になったら解消されるかと思いきや、そうでもなかったりするし。
知
ずっと引きずって生きているところはありますからね。でも、思春期の子に聴いてほしい気持ちはありますよ。今だからこそ“君たち、もっと自分の気持ちを大事にしていいんだよ”って言えるけど、当時の自分は誰かに言ってもらわないと分からなかったし。
フジムラ
僕の場合、今でも悩むことはあるんですけど、思春期に焦点を当てると、中学生の時はバレーボール部だったんです。同じ学年が誰もいなかったから、めちゃめちゃ下手なのに部長として後輩を引っ張っていかなきゃいけなくて。たぶん、人生で一番悩んでいた時期ですね。本当は辞めたいのに頑張らなきゃいけない。その時にこういう歌詞があったら心が救われたと思います。
言葉も分かりやすいですけど、構成もシンプルですよね。サビ、Aメロを繰り返し、サビっていう。
Yurin
ちょっと前までややこしい曲を作るのが自分の中でブームだったんですけど、それが嫌になって(笑)。“そろそろ簡単なのを作ろう!”っていうだけだったんですけどね。
構成がシンプルだからこそ、演奏の細やかな変化が際立って聴こえてきますよ。
Yurin
今までみたいにシーケンスで鳴っている音がそんなにないので、ちゃんとバンドでアレンジをしておかないとっていうのがありましたね。シンプルだけど、難しいよね。
フジムラ
難しい。ベースも細かいビブラートや運指で苦戦しました。
Yurin
レコーディングでも“これ、一生弾けねぇわ”って言ってたもんね(笑)。
フジムラ
今までのレコーディングで一番時間が掛かったかもしれません。
知さんはどうですか?
知
プロデュースしてくれたのがakkinさんなんですよ。akkinさんってギタリストじゃないですか。Yurinくんのデモをブラッシュアップしてくれたイメージがすごく良かったので、それを壊さないように、ちょっと自分の手癖を入れたくらい…だから、ギターは難しくなかったですね。
あとは、《君は君の為にあるんだ》などと歌う4行、ここだけが違うメロディーじゃないですか。特に強調したい部分、歌詞だったんでしょうか?
Yurin
ここは大サビというイメージでしたね。なんなら普通のサビはBメロくらいの感じだったんです。明るい感じの曲だったんですけど、これが入ることによってアンニュイさが出たかな。
さわやかというだけじゃなく、エモーショナルな印象になりますよね。
Yurin
そうですね。コードも行ったり来たりしていて。マイナーコードとセブンスコードを交互に入れていて、そこも歌詞の葛藤している感じを出せたと思います。