小坂忠と松任谷正隆&さかいゆうのラ
ジオ対談が放送決定 ひと足早くト
ーク内容を一部レポート
2018年10月某日、小坂忠と松任谷正隆の対談が行われた。これは、11月26日に東京国際フォーラム ホールAにて、小坂の名盤『HORO』(1975年)を名だたるアーティストが再現するライブ『新日本製薬 presents SONGS&FRIENDS 小坂忠「ほうろう」』が開催されることを受け、ラジオ番組の収録として実現したもの。
当日のライブには小坂本人も出演するほか、松任谷が総合演出を手がけることとなっており、同ライブへ向けた話題はもちろん、かつては“小坂忠とフォージョーハーフ”、“ティン・パン・アレー”として共に活動するなど、40年以上にわたって盟友として親交を重ね、同時に日本の音楽史に名を残してきた両者だからこそ語ることのできる、貴重なトークが繰り広げられた。
本来は番組スタッフが進行を務める予定であったものの、2人のトークがあまりにも滑らかに弾むため、ほぼフリートーク形式の対談となり、フォージョーハーフを結成するにあたり埼玉県の狭山を生活の拠点にしていた際のエピソードなど、興味深い内容も明かされた。
生活道具を揃えるために一緒にバザーに行ったこと、ボウリング場のナポリタンがご馳走だったこと、劣悪な環境でのイベントに“はっぴいえんど”らと出演したことなど、いつの世代のバンドマンも味わうような青春時代の思い出話、苦労話ではあるのだが、そんなエピソード一つ一つを取っても登場人物がレジェンド揃いであるため、収録スタジオには何度も驚嘆の声が上がっていた。
また、彼が歌うきっかけとなった存在としてレイ・チャールズやナット・キング・コールの名前が挙がり、そういったルーツと向き合った『HORO』という作品が、本格的なソウルシンガーとして活動する現在の小坂に至る、源流的な作品であることがわかる発言も。また、収録曲の「ボン・ボヤージ波止場」のリズムから松任谷がインスピレーションを受けたことで、とある名曲の誕生につながったことも明かされている。
小坂は、自身の歌やティン・パン・アレーのメンバーそれぞれの、音楽性における変化や重ねた経験がどのように作用するのかが楽しみだと語り、松任谷は自らと知り合う前の小坂の姿も『HORO』以降の小坂の在り方も、その両方が見える内容にしたい、と意気込みを口にしていた。
そして何より、円熟味と圧倒的なパワーを併せ持ち、まさしくレイ・チャールズを彷彿とさせるかのような、現在の小坂の歌声と魂はいま触れておくべきもの。『HORO』を愛聴している人、70年代の音楽シーンを体験してきた世代は当然のこと、後進たちの音を通して当時の音楽を知った世代にとっても、またとない貴重なライブとなることは間違いない。
文=風間大洋 撮影=高田梓
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