降谷建志

降谷建志

【降谷建志 インタビュー】
ソロは音楽的探求心というか
自分の身体だけでどこまでやれるか

今のままではロックシーンはダメになる

ほとんどをひとりで作っているということは、曲の発端もビートから生まれるのかメロディーからなのか、それともこの楽器を使いたいからとか、いろんな可能性があると思うんです。曲はどのような流れで出来上がるのでしょうか? 

基本はビートで音楽を聴くんで、ドラムとかリフからっていうのが多いかな…でも、説明しにくいな。ひとりで連想ゲームをやるっていうのが近いし、空耳みたいなものも近い。例えば、“こういうリズムで”ってメインテーマみたいなものを4小節叩いて、それをコンピューターでループさせて、ピアノを弾いたり、ギターを弾いたり、ベースを弾いたりして、ベーシックが生まれてくるんだよね。それをずーっと流してると空耳が聴こえてくるのよ。それをどんどん具現化していく。そういう作業なんだよね。空耳で薄ーく聴こえたものを超慎重に手繰り寄せて音にしていく。で、今度はその音が入った分、何かがかき消されて、また何か空耳が聴こえてくるから手繰り寄せて曲にする。それを聴いてたら自然と“次はこういう構成で”ってなってきて、そういうのを連想していくっていう。

そういう作り方を聞いていると、ほとんどの作業をひとりでやるという発想がすごく自然なんだろうなって思います。ひとりでやったほうが早いというか。

いや、そんなことはないよ。ソロのバンドのメンバーはクッソ上手いし、理解度も高いからね。でも、ソロでやるっていうプランで始めてるからね。バンドとやるならアルバムも降谷建志としてではなく、The Ravensとして出せばいいと思うし。ソロは音楽的探求心というか、自分の身体だけでどこまでやれるかっていうことを見ていきたいんだよね。

音楽家として正しい欲求だと思います。

CDが売れにくい今の音楽シーンって、予算も時間も非常に限られてる。俺らだけじゃなくてね。だから、ライヴを1年間に何十本もやって、そのライヴ中心で生活していくのが大半のバンドマンの生き方なのね。そういう中で誰にも負担にならずに音楽をやるには、ひとりっ切りでやるのがいいっていう、逆説から全部ひとりでやることにしたの。“じゃあいいよ、俺、スタジオ持ってるし、ひとりでやるわ”って。ただ勘違いしないでほしいけど、これはDragon Ashにストレスがあるからじゃないよ。

はい。

俺、今のままではロックシーンはダメになると思うんだよね。みんな現場の量とか死ぬほど入れてるから体も壊していくし、喉も痛めていく。でも、やっぱバンドマンだから、ライヴに呼んでもらえたら行きたいんだよね。その螺旋を続けることによって、どんどん制作は遅れていくし、作品の数は減っていく…っていうことがここ何年かだと思ってんの。破綻寸前なんじゃないかな。でも、ライヴハウスやフェスはいっぱい人が来てくれるし、みんな楽しそうにしてくれるから、ライヴシーンとしては最高なのよ。でも、終わりは来るじゃん。だから、そういうことに左右されない、自分の努力でどうとでもなることっていうのが、ソロを始めたきっかけでもあるんだよね。

こういうやり方をロックシーンやバンドマンに提示したいという気持ちはあるんですか?

いや、それはない。バンドなんて非合理的なものだって、みんな分かってるし。でも、それを愛してバンドマンは人生を送っているから。

でも、生き方のヒントにはなりますよね。

そう。この時代じゃなきゃできないことだしね。ハードディスクでレコーディングして、全部パラで録れないとさ。昔みたいに“せーの”でテープに録る時代ではできないから。

じゃあ、ネガティブだけではなく、ポジティブに今の時代をとらえているとも言えますね。

うん、そうそう。だから、結果的にはポジティブなんだよ。

ネガティブな感情だったスタート地点から、音楽家として向上心を持つことや今のテクノロジーを利用することで、ポジティブな感情に転換したというか。

うんうん。

そういう曲を仲間と楽しく演奏してお客さんが喜んでくれるって、本当に健全ですよね。

ほんとそうだよ。健全だよ。

ソロのライヴの雰囲気はどうなんですか?

普段のステージから考えるとめちゃめちゃ静か。

(笑)。慣れました?

10代の頃から盛り上げ競争の中に20年も居たから、わりとそうじゃないところが怖かったりするのね。椅子ありの会場でもやったことがないくらいだから。あ、弾き語りやアコースティックセットはやってきたけどね。あんまり静かな環境には慣れていないから違和感はあったんだけど、この前、ライヴのあとに鍵盤のシュンちゃん(渡辺シュンスケ/Schroeder-Headz)に言われたのは、“筋肉が動いてないだけで楽しんでるんだよ。伝わっていないわけじゃない”って。そういうことなんだなぁって。だから、今は静かに聴いている人たちに、懸命に表現して伝えようと考えています。まぁ、でも、このアルバムが出てライヴハウスでやったら雰囲気も変わるだろうね。アッパーになると思うよ。

そうですね。そして、アルバムタイトルは直訳すると“振り子”ですが、どういう意味を込めているのですか?

感情の起伏とかさ、音が静かになったり激しくなったりするのもそうだし、ポジティブ/ネガティブとか。揺れれば揺れるほど、その逆に行くわけじゃん。強い光が差せば差すほど、裏側に濃い影を落とすわけじゃん。そういう感覚。

取材:高橋美穂

アルバム『THE PENDULUM』2018年10月17日発売 Getting Better Records
    • 【生産限定盤A(DVD+Tシャツ付)】
    • VIZL-1468 ¥5,980(税抜)
    • 【生産限定盤B(DVD付)】
    • VIZL-1453 ¥3,800(税抜)
    • 【通常盤】
    • VICL-65062 ¥2,800(税抜)

『降谷建志1st LIVE TOUR 「THE PENDULUM」』

10/22(月) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
10/23(火) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
11/12(月) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
11/14(水) 宮城・仙台Rensa
11/21(水) 広島・CLUB QUATTRO
11/22(木) 福岡・BEAT STATION

降谷建志 プロフィール

フルヤケンジ:1979年生まれ、東京都出身。97年にDragon Ashとしてデビュー。フロントマンとしてバンドを牽引し続ける。プロデュースや客演などさまざまな形態で音楽作品を発表する他、映画、ドラマなど俳優としても活躍。15年にDragon Ashの活動と並行するかたちで自身初のソロプロジェクトをスタートさせ、同年6月に1stソロアルバム『Everything Becomes The Music』を発表した。降谷建志 オフィシャルHP

降谷建志
降谷建志
アルバム『THE PENDULUM』

「Playground」MV(YouTube Ver.)

「ワンダーラスト」MV

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。