(C)2018「虹色デイズ」製作委員会(C)水野美波/集英社

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【インタビュー】『虹色デイズ』恒松
祐里「監督面談のとき、『この役を乗
り越えれば俳優として成長できるかも
』と感じました」

 映画『虹色デイズ』が7月6日(金)から全国公開される。ちょっとおバカでお騒がせな4人の男子高校生を中心に、彼らが恋と友情を繰り広げる様子を描いたみずみずしい青春映画だ。本作で、男嫌いだが実は寂しがり屋の女子高生・まりを演じたのが、「真田丸」(16)、『散歩する侵略者』(17)など、数々の作品で活躍する期待の若手女優・恒松祐里。俳優として新境地に挑んだ本作の舞台裏を語ってくれた。
-まず、出演の感想をお聞かせください。
 高校生の男の子と女の子が一生懸命生きている作品なので、撮影現場もすごくまぶしかったです。同世代の人たちでお芝居を作っていく雰囲気だったので、みんなでどう面白くしていこうかと話し合うなど、活気にあふれていて。「青春だなぁ…」と思いながら演じていました(笑)。
-ご自身の高校時代と重なる部分もありましたか。
 私の高校生活はあんなにキラキラしていませんでした(笑)。こんな高校生活があったらいいな、という憧れがたくさん詰まった映画になったと思います。悩みもあって、本人たちは苦しんでいるのでしょうけれど、それも含めて青春!という感じです。
-どのようにして出演が決まったのでしょうか。
 監督面談です。ただ、そのときからすごく難しい役だと感じていました。私は普段、誰とでも分け隔てなく話すことができるのですが、まりは、今にも爆発しそうな感情を誰にも打ち明けられず、ため込んでいる女の子。それを私が演じられるのかな、という不安がずっとありました。
-その結果は?
 今まで、自分で訳が分からなくなるぐらい感情が爆発するようなことはなかったのですが、この監督面談のとき、パニックを起こしたように、まりがため込んでいた気持ちを伝える芝居ができたんです。そのとき、「この役を乗り越えれば、俳優として成長できるかも」と感じました。だから、受かったときは、うれしい半面、不安もありました。
-役作りはどのように?
 この映画の前に出演した「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」(テレビドラマ版と映画版あり)という作品では、いかに原作に近づけるかを重視して演じていました。だから、今回もそのときと同じように、漫画を参考に、しぐさや顔の表情をまねて役を作ったんです。でも、本読みのとき、飯塚(健)監督からそれを全部はぎとられて…(笑)。その代わり、もっと面白くするためのヒントをたくさんいただきました。
-監督からはどんなアドバイスがありましたか。
 まず「まりはいろいろな顔が見えた方が得」と言われました。怒るときも、本人は一生懸命怒っているんだけど、見ている側には、その表情やしぐさが面白く見える方がいい、と。具体的には、怒っているときは目を見開くとか、「ふぅーん」と言うところを「はぁ~ん?」にするとか…。そんなアドバイスをたくさんいただいたので、それをどう見せるか毎日考えながら現場に行っていました。
-まりの恋の行方も見どころですが、相手役のまっつんを演じた中川大志さんの印象は?
 中川さんはお芝居が上手で…。私は自分のお芝居のことで悩んで、毎日精いっぱいでしたが、中川さんがうまくフォローしてくださったおかげで乗り切ることができました。お芝居は言葉のキャッチボールなので、返しがいいと、私もより、まりに近い気持ちで言葉を交わせるんです。だから、中川さんには本当に助けていただきました。
-2人が心を近づけていく様子も丁寧に演じていましたね。
 まりは男嫌いという設定なので、距離感が難しかったです。しかも、劇中では夏になったり、春になったり、季節の移り変わりが早いんです。その間にまりはまっつんと心を通わせていくのですが、その距離感が本当に数ミリ程度の微妙な変化。その繊細さを出しつつ、面白おかしく演じるのが難しくて…。だから、気持ちがどう動いていったのかを想像して、メモを取るようにしていましたが、撮影の順番がバラバラなので大変でした。
-恒松さんと中川さんというと、「真田丸」を思い出します。
 そういえばそうですね。同じ作品に出るのは「真田丸」以来ですが、あのときは共演する場面がなかったので、時代を越えてようやく共演できました(笑)。
-この映画を経験して、演技に対する意識は変わりましたか。
 この映画では、飯塚監督のカラーに染まる意味もあって、原作を捨てて自分の感情で勝負することになりました。戸惑いもありましたが、原作に頼れない状況に追い込まれた私のもがきや苦しんだ部分が作品に出ています。それを見たら、「意外に私は追い込まれて伸びるタイプかも…?」と(笑)。
-今後はまた違った恒松さんのお芝居が見られそうですね。
 そうなるといいですね。こういう感情を爆発させるような役は一度、原作を落とし込んでから全部捨てて、自分を追い込んで行くアプローチもあるのかなと気づきました。頑張ります(笑)。
-この作品も含めて、今年は出演した映画が数多く公開されますが、俳優として感じる映画の魅力は?
 テレビドラマの場合、1時間のものを10話ぐらいかけて演じていくので、その人物の人となりが徐々に分かっていきますが、映画は2時間の間にどういう人かを見せなければいけません。そこが面白さでもあり、難しさでもあります。ただ最近は、うまいだけでなく、もっと深いお芝居ができるようになりたいと思っています。そうすれば、「この人のお芝居いいな」と感じてもらえるのかなと…。
-そういう意味で、目標とされる俳優は?
 最近見た映画では、『孤狼の血』(18)の役所広司さんがすごかったです。どの角度から見ても役所さんなんですが、後ろ姿だけで、その人の心情や人柄が伝わってくる…。深いお芝居って、こういうことかなと思いました。
-そういうお芝居が目標でしょうか。
 そうですね。ただそれには、自分がもっといろいろな知識を得て、深い人間にならなければ…と思っています。演じるのは結局、私自身ですから。そのために、これからも勉強を続けていくつもりです。でも実は、やってみたいのはカッコいい女スパイ役です(笑)。
(取材・文/井上健一)

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