MOROHAという名の2人組アーティストを
知っているだろうか?

かねてよりコアな音楽ファンのあいだからは強烈な支持を得ていた2人組だが、日本サムスン『ギャラクシー』のテレビCMにおける特徴的なナレーションや、2018年4月よりスタートしたテレビ東京系のドラマ『宮本から君へ』のエンディングテーマを担当したこともあり、音楽ファン以外にもその認知が広がってきた。また、自身も出演し音楽を手がけた映画『アイスと雨音』がヒットし、2018年5月20日にはフジテレビ系『Love Music』に登場して『革命』を演奏するなど、2018年に入ってから、MOROHAの名前は急速に広まりつつある。

そこで、「MOROHAってどんなアーティストなの?」ということを今一度振り返ってみたい。
本日6月1日、行定勲が監督を務めた『革命』MVが公開!!!まだMOROHAをしっかり聞いたことがないよ、という方はぜひ!
MOROHAとは?


MOROHA(もろは)は、アフロ(MC.)とUK(Gt. 読み:ゆーけー)からなる2人組。2008年に高校の同級生だった2人で結成された。出身は長野県。
MCのアフロ
GtのUK

アコースティックギター1本によるシンプルで研ぎ澄まされたバッキングと、メッセージ性の強いリリックが特徴。ラップをベースとしているがジャンル分けは難しく、ポエトリーラップ、ヒップホップ、パンクロック、オルタナティブ等に分類されることが多い。

2010年、『SUMMER SONIC』出演オーディション『出れんの!?サマソニ!?』にて1次落ちするも、審査員の曽我部恵一に「MOROHA、本当にヤバい。事件だと思います」とまで言わしめ、曽我部恵一賞を受賞。のちに、曽我部恵一率いるROSE RECORDSから1stアルバム『MOROHA』をリリースした。

MOROHAの音楽は、よく「魂の叫び」という言葉で表現される。この言葉がこれほど似合うアーティストもいない。というか、MOROHAの音楽を聴いてしまったら、もうこの言葉を容易に使うことはできなくなるだろう。


アフロ:胸ぐらを掴み、心をえぐるリリック
(MOROHA『tomorrow』MV)

MCであるアフロの歌声は非常に聞き取りやすく、『tomorrow』のMVを観ながら曲を聴いてもらえばMOROHAの良さは一発でわかるので、あえてリリックをどうこう言うのも野暮なのだけど、しいて言うとするならば、アフロのリリックには、「これは自分の歌だ」と思わせる力がある。

『tomorrow』では、プロ野球選手に憧れた少年時代から現在に至るまでのアフロの物語が、私小説のように語られる。多くの優れた私小説がそうであるように、アフロのリリックも、「自分をさらけ出す」ことが大きな魅力のひとつだろう。

さらけ出されたアフロの姿は、決してカッコ良いものではない。むしろ自分の醜さに焦点を当てている。
Photo by MAYUMI-kiss it bitter-

焦れば焦る程道は狂う 僻みや妬みで歪んでく目付き どす黒い思い 底知れぬ闇 呪い 怨み 怒り その果てには お前さぁ本当の事を言ってみ? お前も腹じゃ笑ってるんだろう?バカにしてんだろ? 言えよ? 言えよ! (MOROHA『tomorrow』より)

こうしたアフロのストレートすぎる言葉に、リスナーは自分を同化させ、共感する。そして、まるで自分のために歌われているかのような感覚に陥り、気付いた時には心の奥のいちばん深いところを鷲掴みにされてしまう。

だから、MOROHAの楽曲はBGMになりにくい。映画やドラマさえ「ながら視聴」が当たり前になった時代でも、MOROHAの音楽を「ながら視聴」することはかなり難しい。聴き手の人生にあまりにも踏み込んでくるからだ。

サビで繰り返される次のフレーズは、聴く者の心に何度も重大な問いを叩きつける。

どのツラ下げて 何処ヘ向かうの? 結果的には嘘つきじゃねえの? (MOROHA『tomorrow』より)

そして終盤、この歌の主人公(アフロ)が感情を爆発させる時、聴いているこちらの感情も同じように爆発してしまうだろう。このように、聴く人、観る人の胸ぐらをつかんで引きずりこむアフロのパフォーマンスとリリックの熱さが、MOROHAを構成するもっとも大きな要素のひとつだ。

さらに言えば、聴いたあとに思わず「自分語り」をはじめてしまうということも、MOROHAの音楽の特徴だろう。アフロのリリックに刺激されて「自分にもこんなことがあった」と語りたくなってしまうのだ。

ある意味、アフロのリリックは、深いコミュニケーションを誘発しやすいものなのだと言えるかもしれない。
Photo by MAYUMI-kiss it bitter-

UK:超絶ギターテク

MOROHAの楽曲にリズム隊(ドラムやベース)が必要ないのは、おもにUKがスラム奏法(ギターのボディを叩いてドラミングすること)を得意としていることによる。しかもUKのスラム奏法は、手や腕だけでなく肘まで使う。それにより、ギターにまじってパーカッションやドラムのような音が聴こえてくる。音だけ聴くと、まるで複数のバンドメンバーが演奏しているようだ。こんな弾き方をするギタリストはかなり珍しい。
(MOROHA『それいけ!フライヤーマン』MV。UKの右肘の動きに注目)

UKにとって、ギターはただの弦楽器ではなく、打楽器でもある。UKがいれば、ひとりで二役三役もこなしてしまうというわけだ。アフロのあまりにも熱いパフォーマンスと心をえぐるリリックについ注目が集中しがちだが、その隣では、とんでもないテクニックがしれっと披露されているのだった。

このように、UKのスラム奏法によって繰り返されるリズムと正確なで感傷を誘うリフが、楽曲の気持ち良さを増幅させる。UKのギターのおかげで、アフロの魂の叫びはリスナーの胸の奥に届きやすくなる。
Photo by MAYUMI-kiss it bitter-

ちなみにUKは、ライブでは床に座ってギターを弾く。これはかつてライブハウスに出演した際、スタッフからの嫌がらせで椅子を貸してもらえず、意地になってあぐらをかきながら弾いたことがはじまりだったのだそう。ちょっとしたきっかけが、他の誰にも似ていないUKのオリジナルのスタイルをつくることになった。なお、現在のライブでは、フロア後方からも見えるように台座を用意して、その上に鎮座しながら演奏する。


MOROHAに胸ぐらを掴まれ、心震わせられた人たち

『出れんの!?サマソニ!?』で注目した曽我部恵一だけでなく、ほかにも多くの超名人たちがMOROHAのファンを公言している。

たとえば、初めてMOROHA初の地上波テレビ登場を後押ししたのは、俳優であり“異色のジャニーズ”の名を取る生田斗真だった。2015年6月、『しゃべくり007』に出演した生田斗真が「今もっとも会いたい人」としてMOROHAのファンを公言。MOROHAが『三文銭』を披露すると、放送直後にはTwitterのトレンド入りはもちろん、オフィシャルサイトのサーバーがダウンするなど、大きな反響を呼んだ。

また、『しゃべくり007』には2016年3月にも出演。その際は、東出昌大が「戦いたい人」としてMOROHAを呼び、アフロと東出昌大によるフリースタイルバトルが繰り広げられた。なお上述したように、東出昌大は『tomorrow』のMVにも出演しており、プライベートでも仲が良いという(ちなみにその東出昌大にMOROHAを勧めたのは、池松壮亮だった)。

ポエトリーラップの世界で伝説的な存在である不可思議/wonderboy(ふかしぎわんだーぼーい)も、MOROHAを支持していたひとりだ。マスターピース『Pellicule』や、デビュー前のDAOKOがコーラスで参加していた『世界征服やめた』、谷川俊太郎とのコラボ『生きる』などで注目されていた不可思議/wonderboyが、デビュー前のMOROHAのライブ動画を見て、あまりの衝撃に「あやうく気が狂いそうになった」という。2010年の日記には、こんなふうに記されている。

僕のやりたいと思っていたようなことをすでに完成させていたからで、焦りというか今この動画の前で僕自身の存在価値や存在そのものが薄らいでいくような感覚に陥った。 (不可思議/wonderboyのブログ『不可思議奇譚』より、2010年5月20日のエントリ「新曲『偽物の町』フリーダウンロードとMOROHA」)

さらに、エリザベス宮地や松居大悟、行定勲などの映像作家たちからも熱烈に支持されている。多くのMVを撮影するだけでなく、エリザベス宮地はツアーに密着したドキュメント『其ノ灯、暮ラシ』をDVD化&劇場公開させ、松居大悟は映画『アイスと雨音』でMOROHAの2人を劇中にそのまま登場させた。
(『劇場版 其ノ灯、暮ラシ』予告編)
(映画『アイスと雨音』予告編)


MOROHA メジャーデビュー
結成10周年の2018年、MOROHAはユニバーサル・シグマからメジャーデビューすることになった。再録ベストアルバム『MOROHA BEST〜十年再録〜』をリリースし、12月にはZeppTokyoでのワンマンライブも控えている。「田舎の町の路上からいざ、絶景へ前傾姿勢で、キラキラ輝く光のシャワー(『上京タワー』より)」へと向かうMOROHAは、これからより多くの人々の胸ぐらを掴み、もっともっとたくさんの心を震わせるだろう。

真っ暗闇の未来に書き殴る 蛍光ペンを求めて 半径0mの世界を変える 革命起こす幕開けの夜 (MOROHA『革命』より)

ヒップホップもロックもジャンルじゃない それは魂の名前だ (MOROHA『革命』より)

結論。MOROHAとは何か?

それは魂の名前。半径ゼロメートルの革命を起こす、2つの魂の名前。

MOROHA 最新アルバム情報

MOROHA BEST~十年再録~(初回限定盤)(D
VD付)

1.革命
2.二文銭
3.俺のがヤバイ
4.ハダ色の日々
5.奮い立つCDショップにて
6.三文銭
7.恩学
8.勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ
9.tomorrow
10.バラ色の日々
11.スペシャル
12.四文銭

DVDには、エリザベス宮地監督によるドキュメンタリー作品「初恋」を収録。
「Zepp Tokyo 最速先行抽選シリアルナンバー封入」
2018.06.06 RELEASE / ¥3,996 (Tax in) / UMCK-9944
>>「MOROHA BEST~十年再録~」単独ツアー情報はコチラ

<MOROHA オフィシャルサイト>
http://moroha.jp

<MOROHA 公式SNS>
AFRO twitter
UK twitter

MOROHA 半径ゼロメートルの革命を起こす2人はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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