Linked Horizon、『進撃の巨人』との
壮大なコラボツアーが終幕
Linked Horizonが最新アルバム『進撃の軌跡』を引っさげ、国内外の様々な会場で熱いステージを展開してきた『Linked Horizon Live Tour 2017 「進撃の軌跡」』が、11月10日(金)のカルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)公演にて幕を閉じた。
舞台を覆うスクリーン一面に映し出されるのは、人類と外の世界を隔てる巨大な壁。どこからともなく聴こえてくる、吹き荒ぶ風の音……。会場に一歩足を踏み入れた瞬間、そこはまさに『進撃の巨人』の世界へ聴衆を誘う入り口となっていた。物語の中で、壁の内側に住む少年が外へ出ることを夢見たように、ライブの開始を今か今かと待ち構えるオーディエンスたち。開演時間になると、その想いを乗せたかのように映像が動き出し、カメラの視点は壁を乗り越え、暗い森を抜け、赤く染まった海へと到達する。そこに立つのはLinked Horizonの主宰、Revoの姿――。今年7月にスタートし、国内外の各地を回ってきたツアーの34公演目となる千秋楽は「二ヶ月後の君へ」で幕を開けたのだった。
『進撃の巨人』の物語と、Linked Horizonによる音楽が文字通りにリンクして、壮大にして鮮烈な世界を描き出す今回のツアー。「もしこの壁の中が一軒の家だとしたら」~「紅蓮の弓矢」~「14文字の伝言」と続く序盤は、主人公 エレン・イェーガーの幼少期から兵士として戦いに身を投じるまでの軌跡をアニメ本編の映像とライブパフォーマンスで追体験するかのような構成になっていた。TVアニメ『進撃の巨人』Season1の前期オープニング主題歌として大ヒットした「紅蓮の弓矢」ではアニメのオープニング映像も使用され、印象的な『イェーガー!』のフレーズで会場の全員が声を合わせる。そうした高揚感が得られたかと思えば「14文字の伝言」では自らの命を賭して我が子を守ったエレンの母・カルラの大きな愛が、聴く者の胸にズシリと重いものを残していく。熱さ、激しさ、悲しさ、苦しさ……さまざまな感情を一度に味わえるという意味でも、このライブは『進撃の巨人』という作品が内包する魅力を如実に再現していたといえる。
中盤以降も「紅蓮の座標」「自由の翼」「自由の代償」という歴代のTVアニメ・劇場版の主題歌で会場を熱く盛り上げ、「最期の戦果」「双翼のヒカリ」「彼女は冷たい棺の中で」では物語の中で激しく戦った女性たちの生き様、死に様を歌い上げていく。前述の「もしこの壁の中が一軒の家だとしたら」「14文字の伝言」と合わせ、ソロのボーカルを担当した5人の歌姫はいずれも『進撃の巨人』の世界を見事に表現してくれていた。変わったところでは、クワイアがメインとなる「神の御業」で客席の聴衆が作中に登場するウォール教の教徒に扮し、両隣の人と腕を組む独特なお祈りのポーズを再現するという試みも。映像を見る、音楽を聴くだけではない形で『進撃の巨人』の世界に溶け込むことができるという、Revoからの嬉しい提案だった。本編ラストはTVアニメ『進撃の巨人』Season2のオープニング主題歌「心臓を捧げよ!」。『捧げよ! 捧げよ!』と高らかに歌い上げるサビに合わせた振り付けで、演者も聴衆も垣根なく心がひとつになっていた。
アンコールではSound Horizonとして発表した2曲を披露した後、TVアニメ『進撃!巨人中学校』オープニング主題歌「青春は花火のように」で、本編とは打って変わったお祭り騒ぎのようなエンディングを迎える。ここまでの公演を支えたバンドメンバー、歌姫、ダンサー、クワイアを見送って、ひとりステージに残ったRevoは言う。
『“二ヶ月後の彼"に何を言えば良いのか、僕には未だに分りません…』
そうパンフレットに書いて始めたツアーを終え、さらに、先日発売された別冊少年マガジン最新号を読むに至ってもなお、“彼"=エレンにかける言葉は見つからないということに気づいたと。
『だけど、歌はちゃんと寄り添い続けているんじゃないかと思った。「紅蓮の弓矢」はエレンのテーマだ!』
本ツアーはこの公演で千秋楽を迎えたが、来年1月13日、14日に“Live Tour『進撃の軌跡』総員集結 凱旋公演"が横浜アリーナで開催されることが決定している。今年で発足から5周年となるLinked Horizonがこのプロジェクトの集大成を描くことになる。
2013年に放たれて、エレンと共に飛び続けてきた嚆矢が進む先はどこなのか? 横浜の地でLinked Horizonがどんな答えを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
Photo by 佐藤祐介
Text by 仲上佳克
舞台を覆うスクリーン一面に映し出されるのは、人類と外の世界を隔てる巨大な壁。どこからともなく聴こえてくる、吹き荒ぶ風の音……。会場に一歩足を踏み入れた瞬間、そこはまさに『進撃の巨人』の世界へ聴衆を誘う入り口となっていた。物語の中で、壁の内側に住む少年が外へ出ることを夢見たように、ライブの開始を今か今かと待ち構えるオーディエンスたち。開演時間になると、その想いを乗せたかのように映像が動き出し、カメラの視点は壁を乗り越え、暗い森を抜け、赤く染まった海へと到達する。そこに立つのはLinked Horizonの主宰、Revoの姿――。今年7月にスタートし、国内外の各地を回ってきたツアーの34公演目となる千秋楽は「二ヶ月後の君へ」で幕を開けたのだった。
『進撃の巨人』の物語と、Linked Horizonによる音楽が文字通りにリンクして、壮大にして鮮烈な世界を描き出す今回のツアー。「もしこの壁の中が一軒の家だとしたら」~「紅蓮の弓矢」~「14文字の伝言」と続く序盤は、主人公 エレン・イェーガーの幼少期から兵士として戦いに身を投じるまでの軌跡をアニメ本編の映像とライブパフォーマンスで追体験するかのような構成になっていた。TVアニメ『進撃の巨人』Season1の前期オープニング主題歌として大ヒットした「紅蓮の弓矢」ではアニメのオープニング映像も使用され、印象的な『イェーガー!』のフレーズで会場の全員が声を合わせる。そうした高揚感が得られたかと思えば「14文字の伝言」では自らの命を賭して我が子を守ったエレンの母・カルラの大きな愛が、聴く者の胸にズシリと重いものを残していく。熱さ、激しさ、悲しさ、苦しさ……さまざまな感情を一度に味わえるという意味でも、このライブは『進撃の巨人』という作品が内包する魅力を如実に再現していたといえる。
中盤以降も「紅蓮の座標」「自由の翼」「自由の代償」という歴代のTVアニメ・劇場版の主題歌で会場を熱く盛り上げ、「最期の戦果」「双翼のヒカリ」「彼女は冷たい棺の中で」では物語の中で激しく戦った女性たちの生き様、死に様を歌い上げていく。前述の「もしこの壁の中が一軒の家だとしたら」「14文字の伝言」と合わせ、ソロのボーカルを担当した5人の歌姫はいずれも『進撃の巨人』の世界を見事に表現してくれていた。変わったところでは、クワイアがメインとなる「神の御業」で客席の聴衆が作中に登場するウォール教の教徒に扮し、両隣の人と腕を組む独特なお祈りのポーズを再現するという試みも。映像を見る、音楽を聴くだけではない形で『進撃の巨人』の世界に溶け込むことができるという、Revoからの嬉しい提案だった。本編ラストはTVアニメ『進撃の巨人』Season2のオープニング主題歌「心臓を捧げよ!」。『捧げよ! 捧げよ!』と高らかに歌い上げるサビに合わせた振り付けで、演者も聴衆も垣根なく心がひとつになっていた。
アンコールではSound Horizonとして発表した2曲を披露した後、TVアニメ『進撃!巨人中学校』オープニング主題歌「青春は花火のように」で、本編とは打って変わったお祭り騒ぎのようなエンディングを迎える。ここまでの公演を支えたバンドメンバー、歌姫、ダンサー、クワイアを見送って、ひとりステージに残ったRevoは言う。
『“二ヶ月後の彼"に何を言えば良いのか、僕には未だに分りません…』
そうパンフレットに書いて始めたツアーを終え、さらに、先日発売された別冊少年マガジン最新号を読むに至ってもなお、“彼"=エレンにかける言葉は見つからないということに気づいたと。
『だけど、歌はちゃんと寄り添い続けているんじゃないかと思った。「紅蓮の弓矢」はエレンのテーマだ!』
本ツアーはこの公演で千秋楽を迎えたが、来年1月13日、14日に“Live Tour『進撃の軌跡』総員集結 凱旋公演"が横浜アリーナで開催されることが決定している。今年で発足から5周年となるLinked Horizonがこのプロジェクトの集大成を描くことになる。
2013年に放たれて、エレンと共に飛び続けてきた嚆矢が進む先はどこなのか? 横浜の地でLinked Horizonがどんな答えを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
Photo by 佐藤祐介
Text by 仲上佳克
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