【キノコホテル】
『キノコホテル創業10周年記念大実演
会<サロン・ド・キノコ~飼い慣らさ
れない女たち>』
2017年6月24日 at 赤坂BLITZ

 支配人マリアンヌ東雲の4回のお召し替え、どこか昭和を感じさせる紫ベビードールたちによるエロティックなダンス。創業10周年のひとまずの区切りとなるツアーファイナルを、支配人は自身の音楽的エゴではなく、バーレスクやレビューにも似た圧倒的なエンターテインメントで見せつけた。とにかくマリアンヌ東雲という人は、まだるっこしくアカデミックな表現を嫌う人であることは十二分に分かった。そんな無粋なことを彼女は許さない。

 現在のキノコホテルの実力を知らしめる新作(リテイク集というのはなんだかしっくりこない)『プレイガール大魔境』の聴きごたえを実演会(ライヴ)という場でより鮮明にした「あたしのスナイパー」や「悪魔なファズ」のアグレッシブでいてどこか洗練されたテイスト。そして、個人的なハイライトだったのが、おおくぼけい(アーバンギャルド)をピアノに迎え、ジュリエッタ霧島がアップライトベース(そもそも彼女はジャズ畑出身だが)に持ち替えての「荒野へ」と「月よ常しえに」。ジャジーとか大人の雰囲気とか陳腐な表現を超える、おおくぼの山下洋輔もびっくりなフリーキーなプレイとマリアンヌの電気オルガンのアンサンブルが鮮烈に印象に残った。また、イザベル=ケメ鴨川がペダルスチールでサイケデリックなサウンドを鳴らし、極限まで他の楽器の音を削ぎ落とした「風景」では、それこそOGRE YOU ASSHOLEやROVOファンにも体感してほしいほどの人力トランシーな演奏が展開された。

 男性だからロジカルで女性だから直感で…というのはあたらないと思う。キノコホテルのセンスは性別を超えている。ただ、アウトプットの仕方がとても癖のあるエロティックなものだというだけだ。マリアンヌが電気オルガンにまたがり鞭を振るおうが、ランジェリー姿のダンサーがお立ち台でくねくね踊ろうが、その全てがプロフェッショナルなだけに、ただただ“カッコ良い!”と感じる。自分の好きなものはこれなのよ!と明言できるカッコ良さ。今のマリアンヌ、そしてキノコホテルは女が惚れる女を地でいくバンドに進化していた。

 “10年なんて言っても私たちなんかより長く生きてる人の方が多いと思うのね。当たり前のようで決して当たり前ではない10年、何かを頑張っても褒めてもらえることなんてあまりない。でも、今日はこんなにたくさんの方がお祝いに駆けつけてくださった。キノコホテルの10年は私の10年であり、皆様の10年でもあります。皆様のささやかなレジャーとして存在できることに喜びを感じております”と感謝を述べた支配人。加えて“最近この”レジャー”って言い方が気に入ってるのね”と付け加えたあたりに彼女のアーティストとしての矜持を見た想いがした。

撮影:大参久人/取材:石角友香


セットリスト

  1. 1.Inst.~おねだりストレンジ・ラヴ
  2. 2.球体関節
  3. 3.あたしのスナイパー
  4. 4.Fの巡回
  5. 5.愛はゲバゲバ
  6. 6悪魔なファズ
  7. 7.還らざる海
  8. 8.Taboo(Inst.)
  9. 9.荒野へ
  10. 10.月よ常しえに
  11. 11.白い部屋
  12. 12.もえつきたいの
  13. 13.風景
  14. 14.愛人共犯世界
  15. 15.愛と教育
  16. 16.セクサロイドM
  17. 17.キノコノトリコ
  18. 18.#84
  19. 19.キノコホテル唱歌
  20. <ENCORE1>
  21. 1.ゴーゴーキノコホテル
  22. 2.恋はモヤモヤ
  23. <ENCORE2>
  24. 1.タイトル未定(Inst.)
  25. 2.真っ赤なゼリー
キノコホテル プロフィール

全ての楽曲を手がける鬼才・マリアンヌ東雲を中心に創業された謎めいた女性だけの音楽集団。2010年2月にアルバム『マリアンヌの憂鬱』でデビューする。キュート&クールなルックスと強烈なキャラクター、楽曲のクオリティーや実演会(ライヴ)での爆発力は唯一無二。パンク/ニューウェイヴ、60'sロックンロール、プログレ、ラテンなど、さまざまなサウンドを昇華した濃厚な音楽性で、老若男女、メジャー/アンダーグラウンドを超えて幅広く浸透しており、その中毒性は高く、“いつか視た幻”のような既聴感を憶える“ありそうでなかった音楽”を提供し続けている。キノコホテル オフィシャルHP

OKMusic編集部

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