【YUKI】『The Present』2010年6月1
5日 at Bunkamuraオーチャードホール

撮影:三吉ツカサ/取材:編集部

“今日を ありがとう”。入場時に配られたパンフに記された直筆コメント。念願だったという公演は、2夜限りのプレミアム。クラシックホールで30人から成るビッグバンドオーケストラを従えたスタンスは、イメージからすれば異次元空間に思える。“お上手に歌うのではなく、心を込めて一曲ずつ大切に、今という時間を過ごしたいと思います。一生懸命歌います”。言葉通りに2曲を歌い終えたMCだが、客席に緊張の色はない。なぜか?… 幕開けは、静かに立ち上がるクラシカルなイントロに歓声より感嘆が漏れ渡った。だが、相反するようにソデから現れたのは華やかな黄色のつぼみ。着ぐるみ??的な驚きの連鎖が客席を波打つと同時に、空気が和んでいく。これが何をしても絵にできる、天賦の才。環境は関係ない。中盤MCで、公演が決まった喜びで気合いを入れて作ったと衣装説明。“エチケットブラシのようと言われた…(笑)。ホコリは取れませんが、皆さんの心のほころびを取ります”とさりげなく笑いを誘う。ジャジー、スウィング、最良のアレンジが施された楽曲たちを巧みに操る中、圧巻は「ティンカーベル」。“みんなの声をステージに投げてほしいの”と煽り、一体化するさまはゴスペルのクワイヤーさながらで、客席とビッグバンド、双方の想いをYUKIが紡ぐ瞬間だった。そして、随所で目を惹いたのは、バレエダンサーのような振舞いだ。ターン、ステップをしなやかに彩り魅せ、まるでミュージカルでも見ているような錯覚に陥らせた。そして、アンコール「恋愛模様」の冒頭で聴かせたスキャットは、“すっごい練習したの”と言うだけあって、この日に馳せた秀逸の極みだった。テーマである“今”を大切に楽しむ“全肯定”の意味を、五感フルパワーで堪能させてくれ、プレゼントしてくれた一夜。今日を、ありがとう。

セットリスト

  1. 夜が来る
  2. Home Sweet Home
  3. WAGON
  4. ミス・イエスタディ
  5. 汽車に乗って
  6. 歓びの種
  7. うれしくって抱きあうよ
  8. ハミングバード
  9. プリズム
  10. チャイニーズガール
  11. 66db
  12. ティンカーベル
  13. ランデヴー
  14. ドラマチック
  15. COSMIC BOX
  16. 朝が来る
  17. 恋愛模様
YUKI プロフィール

JUDY AND MARY解散後も、倉持陽一(YO-KING)との結婚、Charaやちわきまゆみとのガールズ・バンドMean Machineの活動などなど、話題を振り撒いてきたYUKI。そんな彼女が、シーガル・スクリーミング・キス・ハー・キス・ハーの日暮愛葉による全面プロデュース・シングル「the end of shite」で02年にソロ・デビュー。
枯れた音質の中に淫靡な艶かしさを育むガレージ・サウンドとYUKIの新境地、低音ヴォイスが絶妙に絡み合う。また、愛葉によるエロティックな女の直情を吐露した歌詞がYUKIの口から発せられる瞬間、熟した果実をほおばるごとき欲情をそそられ昇天必至。そして、同年3月、待望の1stアルバム『Prismic』を発表。愛葉だけでなく、ミト(クラムボン)、ズボンズ、スピッツ、ラッセル・シミンズ(ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン)など豪華ゲスト陣を迎え、YUKIの煌びやかなアーティスト性が一気に開花した好盤となった。
03年3月には早くも2ndアルバム『Commune』をリリース。プロデューサーの會田茂一(FOE)らしい、ざっくりとしたギター・サウンドを軸に、変化に富んだサウンドが展開され、YUKIも気持ちよさそうに歌っている。05年には3rdアルバム『joy』をリリース、より音楽を楽しむことを追求したこの作品は、チャート首位を獲得するなど大ヒットを記録している。オフィシャルHP

OKMusic編集部

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