【American Short Hair】
取材:ジャガー
今回は視野を広げて、人に向けて書いて
いる
オモチャ箱のようにキラキラ輝く1stアルバム『にや』。さまざまなカラーで聴く者を魅了していき、飽きさせることなく全10曲が自然と入ってくる。全作詞、作曲を手がけた迫水(Vo&Gu)は、こう語る。
例えば、1曲目の『あわわわオモチャ箱』の歌詞はすぐ書けましたね。メロディーラインにどういう歌詞を乗せるかって話になった時に、“ばっしゃんがっしゃん”っていうサビの擬音語が見えて。“それは何で鳴ってるんだろう?”って考えた時に、その歌詞の背景が自分の頭の中に出てきたんです。普段よりも、少しおかしさを重視して書いた詞ですね。
彼の描く世界は実体があるようで、曖昧に表現されていることが多い。万華鏡と同じように、覗く角度が変われば、見え方も変わるのだ。
聴く人の方で、いろんなイマジネーションを膨らましてもらいたいっていうのがあって。限定したイメージで歌うよりも、曖昧なものでいい。聴く人によって捉え方がまったく違う方が面白いですからね。
今年6月には1ヶ月間、ひとりアメリカ修行を行なった迫水。貴重な経験から得たものは大きく、その後のレコーディングや音楽に対する意識がさらに高まったという。
日本でたまたま僕たちのライヴを観て、好きになってくれたアメリカ人がいて。その人を訪ねる形でいろいろライヴもしてきました。彼は日本語が分からないのに、僕たちの曲を気に入ってくれたので、自信はあったんですけど…誰も知らない、言葉も通じない場所でいざ歌ってみたら、振り向いてもしてくれなかった。でも、僕が日本語だけど必死になって“何か伝えよう”って思って歌っていくと、こっちを向いてくれるようになったんですよね。その瞬間、音楽ってきっとこういうことなんだっていうのを感じました。
最後に今作は自分たちにとってどういう作品になったのか訊いてみた。
今まで出し切れなかったAmerican Short Hairの色見を出すことができたと思います。前作までは自分だけの世界で終わってしまっていた歌詞も、今回は視野を広げて、人に向けて書いているので、そのメッセージを自分なりに解釈してもらえたらいいな。それで前向きな気持ちになってもらえるとうれしいですね。曲順も、自分が好きなように並び替えてもらって聴いてほしい。自由に楽しむことができるのが音楽なので。