【VAMPS】海外にアプローチするとい
う意味では最大のチャンス
バンドとして育っていくには いろんな
ところに行かないと
『SEX BLOOD ROCK N' ROLL』はK.A.Zさんにとってはベスト盤と海外に向けての1stアルバム、どっちのほうがより気持ち的に近いですか?
K.A.Z
それはホント両方だと思う。ただ、今まで海外に向けて正式にCDの発売がされてなかったっていうところで言えば、やっぱり1stアルバムかな。もともとVAMPSは海外を視野に入れて活動したいというところで始まっているものでもあるから、逆に“ようやく”っていう感じもあるし。
ようやく、っていうのは分かる気がします。
K.A.Z
簡単にできそうなのにできなかった歯痒さっていうのがずっとあったから。流通っていう部分では、音楽の分野に関しては日本は遅れてるなって思っている。日本にもいろいろ音楽はあるのになんでもっと外に向けたアプローチを流通サイド的にしないんだろう?って。スポーツや映画ではやってるのに、音楽はすごく遅れてる気がする。そこをしっかりやっていかないと、音楽自体もそうだけどビジネスとしても発展がないじゃない? 日本国内だけである程度のビジネスにはなるかもしれないけど、レコード会社にしても外にも目を向けているほうがより強いし、バンドサイドから見ても頼もしいと思うんだよね。
ある意味、今作はそうした状況に一石を投じる一枚と言えるかもしれないですね。
K.A.Z
そうだね。実は簡単なことだと思うんだけど、海外の人にも聴いてもらうっていう発想が日本のシーンにはあんまりなかったんだと思う。
ベストアルバムを出すということに対しては何か思うところはありましたか?
K.A.Z
オリジナルアルバム2枚しか出してないけど大丈夫かな?っていう(笑)。
でも、その2枚の楽曲を5年間、ずっとライヴでやり続けてきているわけで、言うなれば26曲全てがVAMPSの代表曲とも考えられるじゃないですか。だから、選曲は結構、難しかったのでは?と。
K.A.Z
でも、意外とそうでもなかったかも。ここに入ってるのはライヴの中でもメインになる曲だったりするしね。選曲は難しいっちゃ難しいけど。
HYDEさんが挙げた曲にK.A.Zさんが意見を出して、すり合わせていったとうかがいました。
K.A.Z
最初にHYDEのほうで大体のセレクトをしたものを見せてもらって、自分がなんとなく考えていたものと照らし合わせていった感じだね。海外で流れた時のことを考えると、例えば「MYFIRST LAST」とか、アジア圏のミュージシャンがやったらすごく説得力のある曲を持っていきたいとは思ってて。
そこはK.A.Zさんがすごく推していらしたとHYDEさんもおっしゃってました。
K.A.Z
今回、歌も全部録り直して、発音からしっかりやってるけど、向こうにはロックバンドって山ほどいるじゃない? ましてや向こうではまだ大半の人にVAMPSっていう名前が知られていないのが現状で。でも、「MY FIRST LAST」みたいな、ヨーロッパとかアメリカの人には真似できないような独特の世界観を持った曲だったら“これ、どこの国のバンド?”って興味を持ってもらえるかもしれない。
海外で流れることを考えると、きっと効果的でしょうね。
K.A.Z
それは「Life On Mars?」なんかもそう。VAMPSのオリジナル曲もいいんだけど海外で流れた時に“あれ? これ、デヴィッド・ボウイの曲だけどアレンジが全然違って面白いね”とか、向こうの人が何かしら引っかかるものを落としておいたほうがいいなって。耳を傾けてもらうきっかけというか、耳に留まらせるっていう意味でも「MY FIRST LAST」「Life On Mars?」はいいフックになると思ったから。
これだけの楽曲を、歌は全曲、演奏も一部を録り直し、ミックスまでやり直したという、その作業自体は相当大変だったのではないかと思いますが。
K.A.Z
歌はかなり大変だったと思うよ。でも、確かに一度完成させた曲を、もう一度触るっていうのは、結構大変で。正直言うとあんまりやりたい作業ではないんだ。あんまりその曲をいっぱい存在させたくないっていうか、同じ曲のバージョン違いがいろいろあると、どれがオリジナル?みたいになっちゃう気がするから、あんまり増やしたくなくて。そう言った意味ではちょっと難しい部分はあったかな。
そもそもベストを作ろうとなった時に、HYDEさんとはどんな会話をされました?
K.A.Z
歌詞を英語に書き直して、歌も録り直したいっていう。ただ、歌が変わるからミックスも変えなきゃとは思ったけど、楽器に関してはフレーズをそんなにいじる必要ないと思ってたんですよ。「ANGEL TRIP」はバッキングのギターが変わったりしてるけど、刻みひとつでもアクセントの位置が変わるから、そうやって、どんどん変えていくとそれこそドラムやベースの根本から再録し直さないといけなくなるんです。でも、最初にその曲を完成させた時点で楽器隊もそれぞれシビアに演奏してるし、曲としてしっかり構築されてるわけだから、それを崩す必要はないし、これで全然大丈夫って。
音楽に懸ける意気込みがすごいなと改めて思いました。それこそ、オリジナルのままでいい、できればバージョン違いは増やしたくないと言いつつ、やるとなったらとことんまでこだわって。
K.A.Z
そうだね。でも、やっぱりHYDEが英語的な部分でこだわりたかった部分がすごくあったっていうのも大きいし、海外に進出するにあたって大切な部分だと思うし。そこが、このアルバムの肝だと思う。
このベストアルバムにしてもそうですけど、5年間、VAMPSをやってきて、すごく育ったなって実感したりはされますか?
K.A.Z
それはあるね。昔から応援してくれる人はもちろんだけど、未だに新しくファンになってくれる人もいっぱいいるしね。応援してくれる人が増えてるっていうことはバンドもそれだけ育ってるってことだから、このタイミングでもっと大きくしていけたらいいなと思う。それこそ海外にもっと目を向けて、今まであんまり行けていなかった場所にも足を運んだりとか。バンドとして育っていくにはいろんなところに行かないと。音楽を広める作業をしていかないとね。一カ所だけでやってるのもいいかもしれないけど、それだと外を知らないままになっちゃうから、逆にどんどん小ちゃくなっていっちゃうと思うんだよ。
今なお大きく育っていきたいと思えているのが素敵です。
K.A.Z
もう背は伸びないんだけどね(笑)。その分、別なほうで伸ばしていかないと。
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『SEX BLOOD ROCK N’ ROLL』2013年09月25日発売Delicious Deli Records
- 初回限定盤A(SHM-CD+Blu-ray)
- UICV-9036 5800円
- 初回限定盤B(SHM-CD+GOODS)
- UICV-9037 10500円
ヴァンプス:2008年にHYDE(L'Arc〜en〜Ciel)とK.A.Z(Oblivion Dust)により結成されたロックユニット。全国のZeppを中心に連続公演を繰り広げる“籠城型ツアー”をはじめ、毎秋恒例のVAMPS主宰『HALLOWEEN PARTY』など、多彩なスタイルのライヴを展開。13年にレーベルをユニバーサルミュージックに移籍。海外レーベルSpinefarmと契約し、世界で2枚のアルバムをリリース。アジアを含む世界13カ国でのツアーを行ない、海外活動に関してはモトリー・クルーの事務所、10th STREET ENTERTAINMENTと契約。VAMPS オフィシャルHP
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