故郷に聞いて欲しい話はなんですか?
いきものがかりの「帰りたくなった
よ」

この親しみのある名前をもつバンド、いきものががりの「帰りたくなったよ」を今回取り上げたい。

この曲は劇場版「砂時計」の主題歌に使用されている。主人公の植草杏(うえくさあん)が、両親の離婚をきっかけに越した先で出会った北村大吾(きたむらだいご)との恋愛を描いた物語。ヒロイン杏の、少女から大人になる心の葛藤と成長を描いた芦原妃名子原作の少女漫画は読者の心をつかんで離さない。

その主題歌に使用されたいきものがかりの「帰りたくなったよ」は、この曲はプロデューサーの小林武史は「本当にいい曲。個人的には、今年のフェス(ap bank fes '09)を"この曲を演った年"として記憶するっていうくらいに大きかった」とこの曲を絶賛しており、またボーカル吉岡もラジオ番組の中で「この曲は名曲になると思った」と語っている。

いきものがかりの人気の秘密の一つには、自分の弱さを唄った歌詞にある。





子供の頃に過ごした部屋には、長年使った机、大好きだったピアノ、夢中になっていた小説が家を出たときのまま静かに佇んでいる。夢を追って飛び出した頃のまま。そして、自分を見失いようになったときに大切なことを思い出させてくれる場所。帰りたくなる場所に待っていてくれる変わらない家族。帰ると駅のホームで嬉しそうに手を振って迎えてくれる家族を見ていつも涙がとまらなかった。




うちのめされた自分に見えなかった事を、故郷は気づかせ、大切なことを教えてくれる。大切だと思っていたことは「心の穴」を埋めるためのもの。夢の続きを諦めた時に「心の穴」が出来た。故郷が気付かせてくれたのはその事だった。くじけてしまう弱い自分と一緒に前を向いて進もうと思わせてくれた。




駅のホームで「いつでも帰ってきていいよ。」という母の言葉を聞くたびに、もう少し頑張る力をもらっている。聞いて欲しい話をしたいのも、笑ってもらって励まして欲しいからではなくて、自分の変わらない夢の話を聞いて、両親に「ああ、大丈夫だ」と、安心して欲しいからだ。それは自分を勇気づけていた。




時々、見失ってしまったものを探しに故郷に帰りたいと思う。
社会という自分の能力を試される場所で、変わらない大切なものに出会う時間を自分にプレゼントしたいと思うからだ。




TEXT:丸・美和子

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