大阪☆春夏秋冬がフリーライブで締め
た“東京夏の陣”

 さらに13日深夜放送の『アフロの変』(フジテレビ)でも大阪☆春夏秋冬を取り上げ、メディアまでもが注目する存在に。そんな彼女たちが、お台場、渋谷と続いた8月の東京行脚を締めくくる場所に選んだのは、代々木公園の野外ステージだった。8月14日午前11時からのフリーライブである。
 このフリーライブ、実は急きょ決定したもので、告知できたのはわずか2日前のこと。お盆とは言え平日の午前中というのもネガティブな要素である。しかも大阪☆春夏秋冬にとって、東京での野外ライブには苦い思い出もあった。ちょうど1年前の2014年8月8日、初の東京遠征として上野・水上音楽堂での「Big Bang Fes.」に登場した彼女たちを観に来たのは、わずか20人ほどだったのだ。

 ほぼ定刻にステージへと現われた7人のメンバーたち。その表情には若干の緊張感が浮かぶ。代々木の野外ステージから見る光景はどんなものか。そこには、視界いっぱいに広がる数百人のファンが夏空のもとに詰めかけていた。わずか2週間前まで東京ではほぼ無名だった彼女たちが、いまや悪条件をもろともしない集客力を発揮するようになったのである。

■M01 Kill the King

 フリーライブという不特定多数のファンを念頭に置いたのか、1曲目に持ってきたのはカバー曲の『Kill the King』(Rainbow)。しゅかしゅんらしい激しさを表現できる曲だ。その冒頭で彼女たちはいきなり、跳んでみせた。いま話題の大阪☆春夏秋冬を初めて観たファンは、「こんなに高く跳ぶアイドルなんて見たことない!」といきなりの熱さに驚かされたことだろう。
 一気にファンの気持ちを掴んだ彼女たちは、初っ端からフルスロットルだ。頭を振り、髪を振り乱し、全身を躍動させる。メインボーカルの舞奈はファンを挑発し、天を向いて叫び、ステージ上を転げまわる。

「なんなんだ、これは!?」。これまで観たことのないパフォーマンスを目の当たりにした初見のファンは、なぜ彼女たちがTIFで見つかったのか、たちどころに理解したことだろう。
■M02 カメレオン少女

 30分だけのステージにすべてを懸けるべく、すかさず2曲目を投入。お次は磨きこまれたダンスで魅せるオリジナル曲の『カメレオン少女』。7人そろっての動きもあれば、シンメトリーな動きもありと、まるでカメレオンのようにその姿を有機的に変えつつも、計算されたフォーメーションは目に楽しい。

 激しい動きの中でもメンバーたちは、しっかりと釣りを狙ってくる。ダンスメインの作りこまれたステージングかと思いきや、満面の笑顔でレスをぶっこんでくるのだから。観ているほうはたまらない。おそらくこの日も何十人ものファンが、ハートをぐさりと射抜かれたことだろう。
■M03 SHINE

 間を空けずに投入したのは、7th系のコード進行と明るい曲調で最近のアメリカンガールズポップを思わせる『SHINE』。8月8日のライブで限定発売された4thシングル曲だ。こちらは打って変わって柔らかい振り付けのダンスで、メンバーの表情をじっくり楽しむことができる。

 通常なら曲を追うごとに激しさを増す方向のセットリストが定番だが、今回はあえてその逆をいった形だ。いま話題をさらっているとは言え、未だ自分たちを知ってもらう段階にある彼女たち。まずは激しさでオーディエンスの心をつかんでから、徐々にいろんな引き出しを見せていくという今回の流れは、客層がバラつくフリーライブでは正解なのかもしれない。
■MC

 3曲を終えて、ここでやっとMCに入る。ただ時間に限りがあるため、自己紹介も含めてきっちり4分で終わらせた。実に23分を費やしたワンマンライブのMCに比べればショートショートサイズであろう。


「代々木公園で、野外ステージでこうして単独ライブをさせていただくことが急に決まったんですけど、こんなにたくさんの方に来ていただいて、本当にありがとうございます!」

「昨日ね、夜中のテレビに、フジテレビの『アフロの変』という番組で私たち紹介していただいたんですが、観た人いる? うわー、めっちゃ観てくれてる~ ありがとうございます!」

「私たち最近ね、テレビで紹介されるようになったりとか、雑誌とかにも取材いただいたり、ホンマありがたいです。でもね、これも来てくださった、応援してくださった皆さんのおかげなので、今日はこのステージ、感謝の気持ちを込めていきたいと思いますので、最後までついてきてください。よろしくお願いします!」
では、ライブ後半戦からアンコール、そしてライブ後の独占インタビューも!フリーライブ後半戦、そしてメンバーインタビューも

■M04 BABY CRAZY

 後半戦に入り、逆V字に並ぶメンバーたち。ファンからは「このフォーメーションは!?」の掛け声も入るなどおなじみの曲になりつつあるのは、ホーンセクションが効いたファンク色がイカす『BABY CRAZY』だ。隣のメンバーの肩に手を置くラインダンスが特徴的な、あの曲である。

 この曲は、メインボーカル舞奈の実力を示す曲でもある。Aメロの演奏はイントロから続くリフを繰り返すのみで、歌の助けになるメロディーラインもコード伴奏もない。日本のポピュラーミュージックでは珍しい組み立てだが、そのぶん、リフの上を自由に舞い踊る舞奈のボーカルが際立つ。

 2回目のサビ後には、そこまで統制のとれたダンスで魅せていたのがいきなり、激しさを増す。そんな静と動の対比もこの曲の魅力だろう。その特徴ある曲調ゆえ初見のファンでも曲目を特定しやすく、しゅかしゅんらしさの詰まった曲と言えそうだ。
■M05 Let you fly

 ラストに持ってきたのは、いまの大阪☆春夏秋冬を象徴するナンバーとなった『Let you fly』。TIFのステージで、ファンの度肝を抜いた曲である。ビートの効いた揺れるような縦ノリの演奏に、攻撃的で熱いダンスが突き刺さる。そのなかを縦横無尽に泳ぎ続けるボーカルが頼もしい。

 この曲を象徴するのが、タイトル通りの「fly」だ。とにかくその高さと対空時間が半端ないのである! かつて初代タイガーマスクが海外遠征した時に現地のファンが「人が空を飛ぶ!」と驚いたと聞くが、こちらでは「アイドルが空を飛ぶ!」との驚きを禁じ得ないのである。
 そしてこの曲のお楽しみは、「♪歌い続けるボクらの歌!」、「♪君を連れ出したいのさ!」というファンとしゅかしゅんとの大合唱だ。先月まで聴いたことのなかった曲に合わせて声を響かせるうち、「これが話題の大阪☆春夏秋冬か、やっぱすげえや」という気持ちが素直に湧き上がってくるのは間違いない。

 いつしかオーディエンスたちは見知らぬ者同士で肩を組み、大合唱の狭間に2小節分のヘドバンで会場を波立たせる。その様子は『ムスメトレイン』か、はたまた『圧倒的なスタイル』のラインダンスか。これほどにみんなの心をひとつにできるグループが、ほんの2週間前に見つかったばかりという事実に、あらためて驚かされる。
■EN1 C'mon!

 全5曲でライブを終えた大阪☆春夏秋冬。だが今日のオーディエンスたちは欲しがりだ。アンコールがあるかどうかもわからない状況ながら、数百人の「アンコール!」が代々木の空にこだまする。果たして制限時間30分のステージながら、彼女たちは再び戻ってきてくれた。おそらくこのために、MCもショートバージョンにしてくれたのだろう。

 本当のラストを飾る曲は、「Join Join, Join now!」のフリが気持ちいい『C'mon!』。まさに、「おいでよ!」としゅかしゅんの世界にオーディエンスをいざなってくれる曲である。すっかりおなじみとなった「ダーララダラ、ダーラララー♪」の大合唱が鳴り響く。みんな、この時間を楽しみぬきたいのだ。

 そしてこの曲のダンスは、長年のダンススクール経験で鍛えられたワザのショーケースだ。様々な振り付けの引き出しを次々と開けてみせる、ジュエリーケースのような曲なのである。フリーライブでこれほどいろんな顔を見せてくれるのは、今こそすべてを惜しみなく見せるべき時期だということを運営側がよく理解している証拠だろう。
■華やかな物販もまた楽しい

 終演後はステージの前で物販。今日のオーディエンス全員が並んでいるのではと思わせるほどの長い列ができる。日差しを遮るもののない青空のもと、女子高生らしい可愛らしい笑顔でファンを楽しませるメンバーたち。水鉄砲でメンバーに撃たれるファンの表情が、実にうれしそうだ。

 これで、TIFから走り続けてきた大阪☆春夏秋冬の“東京夏の陣”は、ひとまず終了。次の来京は9月の予定だ。この代々木フリーライブもまた語り草となり、さらにしゅかしゅんへの期待を高めてくれるはず。早くも9月以降の展開が楽しみである。
【代々木フリーライブ セットリスト】

M01 Kill the King
M02 カメレオン少女
M03 SHINE
 <MC>
M04 BABY CRAZY
M05 Let you fly
<アンコール>
EN1 C'mon!

【終演後インタビュー with 舞奈&由奈】

――今日のフリーライブ、お疲れ様でした! 代々木屋外ステージのことは知ってましたか?

由奈 なんとなくは聞いてましたけど、実際に見るのは初めてでした。

舞奈 野外と言えば、ちょうど1年前に上野の水上音楽堂でライブをやらせてもらったんです。でもその時は全然ファンの方がいなくて、20人おったかなあ。

由奈 前のアイドルさんが終わったら、さーっとお客さんがいなくなったんですよ。

――そんな経験があったんですね。その1年後に今度は代々木でライブをしたわけですが。

舞奈 代々木の野外ステージでライブをやらせてもらえるってことにビックリしました! なあ?

由奈 (渋谷クアトロでの)ワンマンの後に代々木の話を聞いたんですが、めっちゃ嬉しかった。

舞奈 でも、またあんな感じ(昨年の野外ライブ)になるんかなってちょっと不安にもなりました。一回それを経験しているので。

由奈 平日の昼のライブってのが一緒やったし。

舞奈 ほんまに不安やったんです。「どうやろ? 急やし」って。でも実際にステージに立ってみたら、めっちゃたくさんの方が来てくださって、「めっちゃありがたいわ、みんな!」って思いました。

由奈 急に決まったライブなのに、大阪から遠征の方がホテルを1日ズラしてくれはったり、嬉しかったです♪

――大阪でこういった野外ステージの経験は?

由奈 あ、あれちゃう? 「肉汁」とか。

舞奈 ああ、そうやなあ。

――肉汁って?

由奈 あはは、「肉汁フェス」(4月30日@西梅田スクエア)っていうのがあったんです。

舞奈 そのステージが野外で、夜にライブやらしてもらいました。

――千里セルシーとかは?

由奈 しゅかしゅんではないですね。舞奈ちゃんは経験あるよな?

舞奈 万葉シャオニャンのときに出たことがあります。

――ほかにどんな屋外ステージの経験がありますか。

舞奈 最近だと関ヶ原(SEKIGAHARA IDOL WARS)がありました。

由奈 でもやっぱ、TIFが一番大きかった!
――SMILE GARDENですね。その時の印象を教えてください。

由奈 夜なのもあったかもしれないですけど、最後列が見えなくて、人がすごいことになってたんです!

舞奈 ウチらジャニーズになったんかなあ? って(笑)

由奈 あんなのは初めてだったです。でも野外楽しいな、やっぱり。

舞奈 いつかはしゅかしゅんだけで、あのSMILE GARDENくらい人を集められたらなって。

――それにしても今日は代々木、明日は大阪、明後日は名古屋と、一気に忙しくなってきました。

舞奈 いつも決まるのが急なんです! もともとは明日の大阪も入ってなかったんですよ。

由奈 それがいきなり、「15日はライブです」って。

舞奈 だから大阪に帰っても、ちょっとしか家におらん(笑)。でも望んでいたことがどんどん叶っている感じやん?

由奈 そうやなあ。まだまだだけどな。

――ライブだけでなく、昨晩は『アフロの変』(フジテレビ)でも紹介されていました。

由奈 遅い時間やったから私はまだ観てないんですけど、ほかのメンバーで観てた子はおるし、録画もしてあるので早く観たいです。

舞奈 ウチら昨晩、爆睡やったから(笑)。でもほんま、ありがたいです。ツイッター見てたら、「アフロの変に出ていた大阪☆春夏秋冬が気になって調べてみた」という方も多くて、今日来てくれはった人もおるんです。

由奈 あと、TIFでウチらを観てくださっていた方が、番組を観て「やっぱ、しゅかしゅん注目されてるな」ってつぶやいてくださったり。

――そのおかげもあってか今日は数百人が集まりました。天気にも恵まれましたね。

由奈 ウチ、晴れ女がおるんです!(舞奈を指さす)

舞奈 ムフフ~(ドヤ顔)

由奈 アイドル横丁夏祭りで野外のステージがあって、前のアイドルさんの時までは雨降ってたんですけど、しゅかしゅんがステージに立った瞬間……。

舞奈 全部、晴れました! 舞奈ね、絶対晴れるんです。

――持ってますねえ。これからも安心して野外でできますね。

舞奈 いやいや、100%じゃないかもしれないじゃないですか(苦笑)。でも90%くらいは晴れる自信があります。

――今から物販ですが雨が降らないといいですね。

舞奈 今日は大丈夫だと思います!

(撮影・文/カゲ)

■大阪☆春夏秋冬 公式サイト
■大阪☆春夏秋冬 公式ブログ
■大阪☆春夏秋冬 公式ツイッター

アーティスト

新着