【高槻かなこ インタビュー】
聴けば聴くほど
ハマる曲になったと思う
作品の世界観がまずあって、
それに寄り添えるように自分を変える
ジャケットやアー写も前回とは違うテイストで、お洒落だし素敵ですね。打ち込みのダンスミュージックはK-POPっぽさもあって、そこにピンクの髪というのがぴったりです。そういうところも含めて高槻さんが考えられているんですか?
髪型も含め、事前にジャケットデザインのイメージをもらっていたので、それを見て“これなら髪もピンクベースの紫でデザインカットのほうがより映えるな”と思って、ジャケ写撮影の前日にこの髪型にしました。前回のシルバー寄りの髪色も、衣装やジャケ写やMVの案をいただいた上で、“この色にしよう!”って決めて染めたんです。そういうことを考えるのも楽しいですね。
切ったり染めたりすることに躊躇がないんですね。
ないですね(笑)。MVやジャケットはずっと残るものだから、ひとつの作品としてパーフェクトにしたくて。それには髪型や髪色もすごく大事だと思うし、そこはK-POPの考え方に近いかもしれないです。K-POPのアーティストもリリースのたびに髪型が変わるから、私もそういう感覚に近いというか。だから、作品の世界観がまずあって、それに寄り添えるように自分を変えていきたいと思っています。
カップリング曲の「金魚」はギターロック系のサウンドという。歌詞は声優として演じるキャラクターと素の高槻さんとの葛藤が込められているように感じました。
そういうところもありますね。これは詞先だったんですけど、以前に金魚が展示されている水族館に行って、憂鬱に感じたことをもとに書きました。確かに自分と重ねた部分もあって…水槽の中で泳いでいる金魚を見て、みんなは一匹一匹を見比べて楽しんだり、“きれいだね”とか言ったりしているんだけど、金魚にしてみたらそういうふうに見られることに疲れているんじゃないかなと思ったんです。
《人間に作られた金魚》というフレーズも印象的だったのですが。
金魚は観賞用に品種改良されているという意味です。だから、水槽の中には金魚がいっぱいいて、その一匹一匹に命があるけど、個人の意思を持たないというか…持てば金魚もしんどくなるだけじゃないですか。でも、それは現実社会の中で組織やグループの一員になることと同じだと思ったんです。もしも自分が休んだら周りが心配してくれるけど、心配されることが私にはしんどかったりするので。そういうことを、金魚を見て感じて、自分と重ねました。
金魚を見ながら“同じだね”って?
“お互い大変だね~”みたいな(笑)。
でも、曲調としてはさわやかさがあって涼しげな雰囲気ですよね。
はい。歌詞の内容は重めだし、メロディーやコードもマイナー調ですけど、楽曲としてはバンドサウンドなので、聴く人の心の状態によって解釈が変わる曲かなと思いますね。
3曲目の「soda」はまさしく夏の曲という感じですね。
夏にやりたいことを書きました。花火とか、海とか。“あの時は楽しかったな~。また行きたいな~”みたいな感じです。夏っぽい題材を探していた時に、メロンソーダとかいろいろ出てきたので、タイトルは駄洒落的な感じで“soda”とつけました(笑)。編曲は歌詞とメロディーがほぼ同時に浮かんだので、“こんな感じでアレンジをしてください”とスタッフにイメージを伝えて作ってもらったんです。
2番は声が加工されていたり、波の音も入っていたり。
はい。あと、楽器は少なめで、少し緩くてチルっぽい感じでとお願いをしました。最後にソーダの炭酸が抜けるシュワ~という音を入れてほしいとか、2Aは時の流れを遅くしたいとか…たくさん提案をしました。
“時の流れを遅くしたい”というのは、映像がスローモーションになるみたいなイメージですか?
そうです。ここはサンセットの情景を描いているので音数もより少なくして。
なるほど。ちなみに夏の思い出ってありますか?
歌詞にも書いたんですけど、3~4年前の夏に友達と水鉄砲で遊ぶことにハマっていました。
それは海やプールで?
いえ、道端とか公園で(笑)。出会ったらプシュッ〜って水鉄砲で戦うという。服が濡れてもすぐ乾くし。またやりたいですね。
3〜4年前って、もう結構な大人ですよね(笑)。
大人になってからやるのが楽しいんですよ(笑)。
《フェスに⾏こう キャンプしよう》ともありますね。
行ったことがないから行きたいなと思っていて。なので、歌詞では《初めてだけど君と一緒ならOK》と書いています。
取材:榑林史章