【高槻かなこ インタビュー】
聴けば聴くほど
ハマる曲になったと思う
TVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』第1シーズンのOPテーマ「Anti world」でソロデビューを果たした高槻かなこの新曲は、同アニメ第2シーズンEDテーマとなる「Subversive」。自身で手がけたラップや作詞、制作秘話等を語ってもらった。
自分にしかできない
表現ができている
TVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』の第1シーズンは、それぞれの重めのバックグラウンドが明らかになっていきましたね。
第1シーズンは出会いやキャラクターのパーソナルなところをメインに描いていたので、OPテーマ「Anti world」は主人公たちの気持ちに添った曲だったんです。第2シーズンはさらにハードな戦いになるので、「Subversive」はより世界観に寄り添った曲になりました。
「Subversive」は打ち込みのクラブミュージックで、激しいロックナンバーだった「Anti world」とは曲調も一転という感じですね。
そうですね。正直に言うと、音楽チームから楽曲を聴かせていただいた時は、自分に歌えるのかという不安がありました。自分で作詞をして歌入れを終えたあとでも、自分が歌いこなせているのか、自分のものになっているのか、まだ少し不安がありますけど、聴けば聴くほどハマる曲になったと思います。
少しダウナーな感じのラップがカッコ良かったですよ。
ありがとうございます。最初にデモをいただいた時は、ラップの部分が空白で“あれ? メロディーが入ってないぞ!?”ってなったんですよ。
ガイドのメロディーが入ってないということは、ラップのフロウを自分で考えてくださいということだと?
はい。だから、歌詞を書きながら自分で考えたんです。普段からラップの曲を聴くのが好きだから、自分なりに韻を踏んでみようと思って。その部分では新しいことに挑戦できて良かったです。
ラップを考える上で誰か参考にした人はいますか?
今回の制作に入る少し前に、私が別でやっているユニットのBlooDyeで「Terrestrial paradise」というラップが入った曲を歌ったんですけど、その時にラッパーの友達が歌詞を書いて指導をしてくれたんです。
その友達とは?
おお〜、心強い味方だ!
韻を踏む時の強調の仕方とか、リズムをとる時に気持ちをずらすとか、いろいろテクニックを教わったことを念頭に置きながら、chelmicoや他の日本人ラッパーの曲をたくさん聴いて、自分なりに考えて作りました。今聴くと自分らしくできていると思うし、自分にしかできない表現ができているんじゃないかと思います。歌もラップも。
フェイクもたくさん入っていますが、フェイクのメロディーも自分で考えて?
フェイクは仮歌で入っていたんですけど、部分的に自分で歌いやすいように変えて歌ったりしました。フェイクはすごく気持ち良くて、レコーディングが楽しかったです。
ライヴでどんなふうに歌うか楽しみですね。
確かに。打ち込みだからバンドでもないし、どういうステージになるのかと想像しちゃいますね。MVではダンサーさんがいるので、ダンサーさんに出ていただいても面白いかなって。
MVはどんな感じですか?
ダンサーさんが踊ってくれていて、ちょっとダークな世界観で、カメラが360度回って私を撮っていて…曲が進むに連れて私がアップデートされていくみたいなイメージです。初回限定盤のBlu-rayにはメイキングも収録されているので、ぜひ観てほしいですね。
[q]歌詞はどういうイメージで書いていったんですか?
アニメ制作側からは“命”をテーマにいただきました。
“命”ですか。確かに第1シーズンの最後のほうでは、本当に人を殺してしまったと気づいて“命の価値とは?”みたいな話になっていましたね。
そうなんです。第1シーズンの最後にみんなが一度立ち止まって自分たちを振り返って、第2シーズンは命の重さを背負いながらの戦いになっていくんですね。でも、みんなは戦いたいわけではなく、大事なものを守るために戦うんですけど、敵にも敵の正義があるわけで。結局、戦いってその繰り返しなんですよね。小さな争いから大きな争いまで、そこにあるものは同じで、まるで歯車のように繰り返されていく。そんな戦いを歌詞のテーマにして書きました。
タイトルの“Subversive”という言葉がすごくカッコ良いのですが、よく見つけましたね。
“破壊”とか“覆していく”という意味の言葉を探していて見つけました。サビでは《Subversive conflicted》と歌っていて、“conflicted”をつなげるのは文法的に正しくはないのですが、この言葉が一番合うと思ったんです。
矛盾や葛藤を抱えながら、それを覆して戦う…みたいな感じですか?
そうですね。それぞれの正義がある中、主人公たちが大きな矛盾を抱えて、それをいかに破壊していくのかと。実際の戦いだけでなく、心の中の戦いも込めています。
結構深いところを書いているんですね。
意外とそうなんです(笑)。題材は決まっていたので、それをどういうストーリーで歌詞にしていくかで時間がかかりましたね。繰り返しをテーマにしているので、歌詞も繰り返すところを入れたりとか、パズルっぽい感じでいろいろ工夫しました。
高槻さん自身は矛盾や葛藤を感じる時はありますか?
常にあります(笑)。今みたいに人前で自分の思いを口にできる立場になって、そういうことが楽しくて、それを夢見ていたんですけど、やっぱりしんどくなる時もあって。でも、そういうのは誰でもあると思うんですよ。遊ぶ約束をしていたけど、当日になったら怠くなっちゃったりとか、みんなも小さな矛盾と常に戦っているんじゃないかなって。
しんどくても仕事に行かなきゃいけない時は、どうやって気持ちを切り替えているんですか?
ファッションでテンションを上げたりしますね。買ったばかりの新しい服を着たり、いつもよりちょっと派手めな服を着たりします。あと、好きな音楽を聴いたりとか。みなさんもこの「Subversive」を聴いて気持ちをアゲてほしいですね。“ひとつ大事なものに気づけたら戦っていけるよね!”みたいな曲なので、ぜひ聴いてほしいです。