Layneと巡る湘南・藤沢。エモーショ
ナルな地元のタイム感

兼ねてより音楽好きの間で注目を集めていた4ピースバンド・Layne(レイン)が、2017年11月8日に1st Album「Be The One」をYouth Recordsからリリースした。果たして、Layneとはどんなバンドなのか。結成のキッカケでもあるライブハウスにはじまり、行きつけの古着屋、ソウルフード、スタジオ、そして青春の地へーー。中心メンバーである萩本あつしと、同じく藤沢出身の渡辺岳とともに地元を巡りながらバンドを形づくるピースを拾い集めた。

Photography_Yuya Wada
Text_Satoru Kanai


まずは藤沢駅南口エリアを紹介してもらうため、名店ビル敷地内「ハゼの木広場」の喫煙所から取材を開始。
左:渡辺岳 右:萩本あつし
前情報として、これまでに萩本が組んできたバンドは、そのどれも評価が高く、Layneも2014年の結成以降、幾度かのメンバーチェンジは行いつつも、早い段階で業界から注目を集めていたことは知っていた。
しかし今、ディスクユニオンの袋を下げてタバコをくわえ、何気ない会話を交わす彼らとMVに映る姿が、どうにも繋がらない。
Layne – ステイウィズミー (Official Music Video)

地元だからなのか、あまりにも自然に、その場に溶け込んでいる。しかしふたりのゆかりの場所を巡ることで、取材はエモーショナルに展開していくこととなる。

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古着屋からコーヒーショップへと続く道

タバコを吸い終え、バス通りを進む。萩本が作詞をしていたカフェチェーンや藤沢名物「里のうどん」の前を通り過ぎる。古着屋「SEGAL」は、萩本が高校入学後にライブ活動を始めてから衣装を求めて通うようになった場所。
アルバム収録曲の『スモーキンチャイルドフォーエバー』に“どんな派手なシャツが着れても いつかは似合わなくなるって聞いたよ”と言う歌詞があったが、萩本は「10代の頃、めっちゃ柄シャツを買ってました」と教えてくれた。
ライブ衣装のために柄シャツ――豊かな音楽の幅を持つ萩本ゆえ“型”へのこだわりがここで垣間見られていた。
「SEGAL」のオープンは1988年。藤沢出身のオーナーが場所を移りながらも“地元で営業し続ける”老舗の古着屋。歩いて数分の場所に位置する「Sound Wave Coffee Roasters」のマスターも地元・藤沢に住まい続けている。ここでまたひとつ、Layneを形づくるピースを拾っていた。

SEGAL
住所:神奈川県藤沢市南藤沢7-2
電話:0466-22-9989
営業時間:11:00〜20:30
STAFF BLOG
以下、「Sound Wave Coffee Roasters」に移動後、オーダーしながらLayneのファンだというマスターに軽いインタビューを。
――お店について

佐藤 : Sound Waveって音波のことなんですけど、ぼくはオーディオが好きなので「サウンドコーヒー」というお店をやりたくて、ここのオーナーは「ウェーブコーヒーにしよう」と。ふたつの言葉を合わせてみたら、いい感じに意味がこじつけられたので、この名前になりました。
――Layneを知ったのは?

佐藤 : ここが2017年3月にオープンしたので、その前の夏ぐらいじゃなかったかな。もともとはうちの奥さんが彼らの大ファンで、ぼくはほかのバンドを目当てにいったライブの対バンで聴いてから、ですね。
――Layneの魅力は?

佐藤 : 普遍性を感じる音。単純で力強い歌詞と分かりやすいメロディー。「おおきな空を眺めたら、小さい雲が飛んでいた」っていうサザエさんのエンディングテーマに構造が似てるなって(笑)。仲良くなったキッカケは藤沢出身だからなんですが、地元だから聴いたわけじゃないです。才能も感じるし、すごいバンドが出てきたなって思いますね。

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店主との会話を終えてテーブルにつくと、ふたりはカメラマンとのヤンキー話で盛り上がっていた。湘南・藤沢といえばマンガ『湘南爆走族』の舞台であり。2014年8月に公開された映画『ホットロード』のロケ地でもある。海沿いに続く国道134号線では、いまでも暴走族のアクセルミュージックが鳴り響いている。
そもそも萩本と渡辺は、同じ高校に通っていた先輩後輩であり、ともに音楽部に所属していた。渡辺曰く「学力は中の上くらい」の高校ということもあり、ヤンキー自体がそう多くはなかったという。

「おれの学年には一人だけヤンキーいたけど、めっちゃいいやつでクラスで一番仲良かった。『魁!!クロマティ高校』の林田みたいな髪型してて…片やおれはマッシュルームカットにタートルネックで通ってて。ウェッサイ(ウェストコースト発のヒップホップ・カルチャー)好きで、そいつから色々教わったよ。中学の時はやんちゃなグループに『これから(夜に)集まるけど、海浜公園行くべ?』みたいな感じで誘われて何度か行ったことあるし。案外いいやつばっかだった。地区によるんじゃない?」という萩本の言葉に、渡辺が「ヤンキーと仲良くなれるのがすごい」と返したのは、なんともおかしかった。
正直なところMVを観る限りでは、もっとクールなタイプだと思っていた。蓋を開けてみればファニーなキャラクターであり、取材に立ち会ったYouth Recordsの中村智裕もまた、「相当面白いんですよ。ぼくらもこの面白さに気づくまでに時間がかかりました。最初に出会ったときは、サングラスにハットを被って、バッキバキにモッズスーツできめていましたからね。でも、レーベル的にはむしろよかったなと。“カッコイイやつがカッコイイことしか言わないって、面白くない”じゃないですか」と語る中村が、もうひとつ興味深い話をしてくれた。
「ミッシェル(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)とか、バンドの型がもてはやされた時期もありましたが、彼らには不良性があったからこそ支持されたわけです。いまの子たちが不良を纏っても、どうしてもファッションに寄ってしまう。それ自体が悪いことではなくて、要は出し方のバランス」――これもLayneを形づくるピースのひとつだ。
Sound Wave Coffee Roasters
住所:神奈川県藤沢市南藤沢9-2
電話:0466-90-4030
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Layneと巡る湘南・藤沢。エモーショナルな地元のタイム感はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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