パリの展示レポート:ブリヂストン美
術館の名品−石橋財団コレクション展

フランス、パリのオランジュリー美術館で現在展示中の『Chefs-d’œuvre du Bridgestone Museum of Art de Tokyo, Collection Ishibashi Foundation ブリヂストン美術館の名品−石橋財団コレクション展』へ足を運んできました。
このオランジュリー美術館は、ルーブル美術館とオルセー美術館から徒歩圏内にある美術館で、貴重な印象派の作品所蔵で知られています。特に壁一面に展示された巨大なモネの『睡蓮』を観るために、世界から観光客が集まる場所としても有名です。ルーブル美術館のように大きな美術館に比べて人ごみもなく、ゆっくりと、そして間近で世界的に有名な印象派の作品たちを鑑賞できるので、パリの穴場美術館と言ってもいいでしょう。
展示はまず株式会社ブリヂストン創業者の石橋正二郎氏の銅像が迎えてくれます。来場者はもちろんほとんどがフランス人のようでしたが、フランス語の解説の横に表示された日本語解説をじっくり読み込む、日本人来場者の姿もちらほら見られました。
解説によると、石橋正二郎氏のコレクションは、日本人画家たちによる西洋画からスタートしたとのこと。世界最先端だったパリの影響を受けた有数の西洋画が勢ぞろいし、青木繁をはじめ日本の重要文化財とされる代表的な作品や、パリで名を馳せた藤田嗣治の作品にも、思わず魅入ってしまいました。
石橋氏がこうした日本人画家たちの作品から収集し始めたのには、きっと彼自身が日本人の起業家として、同じく世界で活躍する日本人アーティストを応援したいという思いがあったからではないか、と想像が膨らみます。

藤田嗣治の作品
展示会中盤、コレクションのメインである印象派の絵の中には、マネの自画像など世界的にみてもとても貴重な作品も。他にも、マネやピカソ、ルノワールと巨匠の作品が並びます。この展示会で紹介されている作品は計76点ですが、石橋氏のコレクションは、代々子息にもその哲学とともに引き継がれ、合計2600点にも及ぶそうです。
普段は日本で展示されている貴重なコレクションを、多くの作品が誕生したパリの空気の中で鑑賞するのは、日仏の歴史的文化交流の一端を味わえるものでもあり、興味深い展示会でした。

イベント情報
Chefs-d’œuvre du Bridgestone Museum of Art de Tokyo,
Collection Ishibashi Foundation
(ブリヂストン美術館の名品−石橋財団コレクション展)

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