【宮野真守】“今”だからこそ切り開
く ココが新たなる最前線――

経験を経ての『FRONTIER』が 踏みしめ
るテンポにつながっている

今、“想いを人に示す”という言葉が出ましたが、となるとアルバム内で比較的高い割合を占めているように見えるラブソングも、単なる恋愛の歌ではないと?

そうですね。例えばラストの「ただ、そばにいて」は、大切な誰かに温かい言葉を掛けてもらったことで迷いや不安を振り払い、また前を向いて歩いていける…という曲なんですけど、それって僕がライヴなどでファンの方々からもらう言葉や想いを表していたりもするんです。やっぱりみんなが常に側にいて、支えてくれるからこそ僕自身も歩いていけるんですよね。そうやって僕の想いを描いているのとは対照的に、役者として曲の世界に入り込んで演じている「Naked Tango」もあったりと、いろんなタイプのラブソングが存在しています。

タンゴをモチーフにした「Naked Tango」は、音楽ジャンルという意味でも新しい挑戦ですよね。

僕の楽曲の中でみんなが聴いたことのない、新しい印象のジャズを入れたかったんです。そこで作曲の市川(淳)さんからバンドネオンというアイデアをいただいて。バンドネオンはよくアルゼンチン・タンゴで使われる楽器ということで調べてみたら、すごく情熱的でセクシーで、この大人な世界観は新しいなと思いました。実際に制作を進めていったら、生音で入れたバンドネオンの音色が、まぁ素敵で! もう、聴き入っちゃうんですよ。しかも情熱的な世界観のテクニカルなジャズなのに、ヴォーカルは淡々と歌っています。

言わば“静かなる情熱”ですね。その他、クール&アダルトに変身したシングルカップリング曲「Magic」のリミックスといい、今作は一貫して洗練された印象が強いです。

確かに、関係者の方々からも“洗練されてきているね”という感想をもらいました。なんて言うんだろう…本気感!というか。なんか“これがやりたいんだ!”みたいなものが表れているらしいです(笑)。

分かります。ポップスもロックもヒップホップもR&Bもジャズも完璧に宮野真守のスタイルになっていて、いわゆる“挑戦”という単語が想起させる荒削りなイメージとは、まるで違う。

だから、新たな開拓ではあるけれど、突拍子もないことをやっているわけではないんです。しっかり経験を経ての「FRONTIER」にしたかったので、それが表題曲の“歩くテンポ”にもつながっているんですよね。ガムシャラに突っ走るのではなく、大地を踏みしめながら歩く姿を背中で見せられればいいなと。今回の制作で大きな刺激になったのが、たくさんのクリエイターの方々とセッションさせていただけたこと。WISEさんの他にも新たな出会いがたくさんあって、それぞれに意見交換したり、実際にレコーディングの場に来ていただいたり、音楽に対しての向き合い方も学ばせていただけたんです。例えば、恋愛応援ソングの「Fight for love」はニューカマーのSHOWさんの作品で、お若いんですけど、とっても素敵なポップスを書く方で。レギュラーラジオで10代のリスナーさんから淡い恋愛相談を受けることがあって、歌でもみんなの背中を押せたらいいな、と今回コンペの中から選ばせていただきました。バラードの「Can’t Ever Let You Go」では編曲の久保田光太郎さんと初めてお会いして、ヴォーカルディレクションまでしていただけて。R&Bを歌う時の心構えだったり、大事にする部分をたくさん教えてもらうことができたんです。

そこがまた、さっきの“本気感”につながっているのかもしれませんね。

本当に嬉しかったですね。アーティスト活動をする上で、歌に自分の想いを乗せるという責任感だったり、心構えを、また新たにさせてもらうことができました。そこで聴き心地が良いヴォーカルを探っていった結果、より肩の力が抜けたことで大人な感じも増したんじゃないかと思います。

ライヴと言えば、拳が突き上がるフロアーが目に浮かぶ「DON’T STOP!」のような曲もあって、11月からの全国ツアーも楽しみです。

僕の中では、楽曲制作の先に常にライヴがありますから。「DON’T STOP!」ではAmon Hayashiさんとの共作詞というのも新たなチャレンジでしたし、ロックサウンドというのも今後どんどんチャレンジしていきたい部分なので、盛り上がってるフロアーを思い浮かべながら、ガツッ!と力強く歌いました。なので、このツアーに来てくださる方々には、ライヴまでにアルバムを聴き込んで、ぜひ曲を体に入れてきてもらえると嬉しいです! なぜならアルバム曲はもちろん、シングルのカップリングも含めて、今回のツアーは新曲祭りになるんですよね。なので、そこに向けてまずは僕自身がしっかりイメージを持ってステージングしていきたいです。それが現時点での決意表明かな。

そして、ファイナルは年明けの日本武道館2デイズ。今年3月にも日本武道館2デイズは経験済みですから、今さら何の不安もないでしょうけれど…

いやいや! もう、“武道館”って聞くと、背筋がピンッ!とします。でも、こうしてコンスタントに武道館でやらせていただける事実というのは、ほんとに嬉しくて喜ばしいことなので、しっかりとそこでパフォーマンスできる人間になっていけたらなと。2016年はアーティスト活動以外でもチャレンジなことが山積みで、まさに“DON’T STOP!”な感じなんです(笑)。だからこそ、このアルバム制作で得られたものは今後いっそう大事にしていきたいですし、アーティストとしての自信を持って、しっかり歩いていける人間になっていきたいですね。
『FRONTIER』2015年09月16日発売KING RECORDS
    • 【初回限定盤 (Blu-ray付)】
    • KICS-93258 3888円
    • ※32Pフォトブック封入&スペシャルケース仕様
    • 【初回限定盤 (DVD付)】
    • KICS-93259 3888円
    • ※32Pフォトブック封入&スペシャルケース仕様
    • 【通常盤】
    • KICS-3258 3240円
宮野真守 プロフィール

ミヤノマモル:『DEATH NOTE』『機動戦士ガンダム00』『ポケットモンスター ベストウイッシュ』『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズ『ちはやふる』などのアニメ作品に加えて、『ファンタスティックビーストと魔法使いの旅』などの吹き替えにも出演する人気声優。2008年よりアーティスト活動をスタート。声優、俳優の現場で培った豊かな表現力と類い稀な歌声、そしてダンスを駆使した高いライヴパフォーマンス力を武器に、独自のエンターテインメントを追求し続け、日本武道館やさいたまスーパーアリーナでの単独公演も成功させている。宮野真守 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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