【この2.5次元がすごい】はじまりの
物語がついに開幕 ミュージカル「ジ
ョジョの奇妙な冒険 ファントムブラ
ッド」

 世代を超えて愛されている荒木飛呂彦氏の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」。その物語のはじまりを描くミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」が2月28日に帝国劇場で千穐楽を迎えました。3月には北海道公演を、4月には兵庫公演が予定されています。私にとって“ジョジョ”は少し特別。 “ジョジョ”がバイブルだという親友に漫画を勧められたとき、子どもだった私には内容が難しくハマれなかったのですが、「絶対面白いから」とアニメ化の際も諦めずオススメしてくれた彼女。そんな親友のおかげで今では大好きな作品のひとつです。海外にいるため今回“ミュージカルジョジョ”を見ることはできない彼女の思いも背負って、帝国劇場へ向かいました。
物語を引っ張っていく圧巻の演技
製作:東宝 (c) 荒木飛呂彦/集英社 舞台は全編を通して“ジョジョ”シリーズのなかで流れる黄金の精神、そして自分の正義を貫こうとするジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドーの対比を象徴的に描いていました。貴族階級のジョナサン・ジョースターをWキャストで演じるのは松下優也さんと有澤樟太郎さん。スラム街で生まれ育ったディオ・ブランドーは宮野真守さんが演じます。父親の背中を見ながら本当の紳士を目指す“ジョジョ”はどこか素朴で、ディオに追い詰められていく様子は胸が痛くなりました。一方のディオもスラム街の過酷な環境のなか、お世辞にもいい親とは言えない父親の下で生きるための道を探しています。ディオの心を救うことはできなかったのか、と考えてしまいました。呪いのようにディオにつきまとう父親の歌声が、物事を正しさと間違いでは分けられないと思わせます。
製作:東宝 (c) 荒木飛呂彦/集英社 何より感動したのはミュージカルでよかったと思わせてくれる役者たちの熱演です。特に「おれは人間をやめるぞ!」というセリフとともに有名な、ディオが石仮面を被るシーンは圧巻。ディオの人間らしさが葛藤しているような、切ない心の動きが歌声と演技によって見事に表現されていました。
 父親ジョースター卿や波紋法を教えてくれたウィル・A・ツェペリの想いを受け継ぐ“ジョジョ”と、過去を否定し決別するディオ。原作を知っている私たちにとってはここが終わりではありません。2人の正義から生まれた物語が、さらにはじまっていくという高揚感もありました。
“ジョジョ”の世界観をつくりあげるのは見たことがないセットや演出
製作:東宝 (c) 荒木飛呂彦/集英社 さらに衝撃だったのは、どうなっているのか一見するとわからないセットや演出でした。上下に分かれた構造の舞台や、回転する大きなセットはそれぞれ複雑な動きをしていて、物語をスムーズに進めてくれます。また、フライングや炎といった派手な演出も効果的。こんな方法があるんだ、と驚きの連続でした。一方で、アンサンブルによる力強いコーラスやアクションシーンなどもふんだんで、演劇や舞台の面白さが詰まった作品と言えます。
 このあと、ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」は3月26~30日に北海道・札幌文化芸術劇場hitaruで、4月9~14日に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで上演されます(4月13日午後5時からの兵庫公演、14日正午からの兵庫大千穐楽公演ではライブ配信を予定)。

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