【04 Limited Sazabys
ライヴレポート】
『MYSTERY TOUR 2020』
2020年1月24日 at CLUB CITTA'

2020年1月24日 at CLUB CITTA'

 当日まで決してツアーゲストは明かされないという謎に包まれた全国ツアー、その名もずばりな『MYSTERY TOUR 2020』。1月24日のCLUB CITTA'を皮切りに計12公演を行ない、ファイナルのみワンマンという。もちろん、対バンを公言しないツアーはバンドにとっても初の試みだ。振り返れば昨年9月に発売されたニューシングル「SEED」もCDではなく、缶という特殊形態(ダウンロードカードやさまざまなグッズが封入)で売り出して大きな話題をさらった。実際に手に取ったり、現場に足を運ばないと、何が隠されているか分からないアイテムだったのだ。そんなワクワクやドキドキ感を提供し続けるフォーリミのツアー初日をレポートしたい。

 ゲストを明かさない対バンツアー『MYSTERY TOUR 2020』初日。場内に入ると、満杯に埋め尽くされたフロアーはいつも以上にザワザワしていた。今日の対バンは誰なのかーー。そんな中、幕越しに音が聴こえ、ゲストがクリープハイプだと分かった瞬間、悲鳴にも似た歓声が沸き起こり、ドドーッと観客たちが民族大移動のごとくステージ前へと押し寄せる。フォーリミが描いたサプライズは見事に大成功だ。「栞」で始まり、ラスト曲「HE IS MINE」まで多くの人たちが大声で歌い上げていた。“こういうパターンは緊張するな。先輩なのに、こんなことさせるよね(笑)”と漏らす尾崎世界観(Vo&Gu)のMCも印象深かった。

 それを迎え撃つフォーリミは2ビートを用いた「My HERO」で序盤から猛攻撃を仕掛けていく。続いて「fiction」「escape」とイケイケのナンバーを投下し、会場を焚き付ける。また、最新シングル「SEED」収録の「Cycle」もプレイされ、バンドの原点とも言えるメロディックパンクの駆動力を存分に発揮。最近は大きな会場で観る機会が増えた彼らだが、CLUB CITTA'という規模感もあるのか、ライヴハウス然とした場所で体感するフォーリミは実に新鮮だ。何よりがむしゃらに突き進むパンキッシュな勢いに身も心も熱くなるばかりでだった。後半、結婚を発表したLiSAに届けと「milk」を披露し、さらに“クリープハイプの日本語を研究した”とGEN(Vo&Ba)は彼らの楽曲に影響を受けたことを告げたあとに「Feel」を披露するなど、普段はあまりうかがえない表情まで垣間見える内容だった。今ツアーは各地で“その場所”だけのスペシャルな公演を期待していいだろう。

撮影:ヤオタケシ/取材:荒金良介

04 Limited Sazabys

フォーリミテッドサザビーズ:2008年に名古屋にて結成された4ピースロックバンド。15年に1stフルアルバム『CAVU』をリリースしメジャー進出。16年からは毎年春に地元・愛知県にてバンド主催の野外ロックフェス『YON FES』を開催しており、19年にはさいたまスーパーアリーナで単独公演『YON EXPO』を初開催。23年4月8日(土)&9日(日)に『YON FES 2023』を主催し約2万人を動員。そして、バンド結成15周年を記念し、11月11日(土)&12日(日)に日本武道館ワンマンライブを開催。GEN(Vo&Ba)の少年のようなハイトーンヴォイスから繰り出されるグッドメロディーかつ疾走感あふれる楽曲と、圧倒的なライヴパフォーマンスは観る者の心を掴む。