【ライブレポート】<猪苗代ソーラー
>、湖畔で初開催「ここはロケーショ
ン最高!」
午前11時前。タイムスケージュールでは開会式と書かれていた時間帯に、佐藤タイジと司会のジョー横溝が登場した。うわ、近っ! スタッフの方からお聞きしたところによると、ここは国立公園内で、大規模かつ恒久的なステージは作れないとのこと。ゆえに今回のそれもたぶん高さ50センチぐらいで、最前に柵もない。好きなミュージシャンを見るのにはスペシャルすぎる環境だ。至近距離の二人が話し始める。
「<THE SOLAR BOUDOKAN>晴れ記録更新中。こんなフェスないよ(笑)」──タイジ
「それだけじゃなく、この壮大な景色!」──ジョー
「ここはロケーション最高! たぶんこれから暑くなるんで水着も持ってきております」──タイジ
「この景色で泳いだらネッシーみたいになる(笑)。では開会宣言を!」──ジョー
「素晴らしい自然と再生エネルギーによる音。<猪苗代THE SOLAR BUDOKAN>ここに開会しまーす!!!」──タイジ
「2011年の震災から8年経ちますけど、タイジさんはじめスタッフの方々はひとときもこのフクシマのことを忘れたことはありませんでした。ここで<THE SOLAR BUDOKAN>ができるのは本当に嬉しい。しかも音がいいんですよね?」──ジョー
「コンセントに来てる電気は発電所から距離を経てノイズが乗ってる。でもここの太陽の光が作った電気は穫れ立てで音がいい。音がいいからいいミュージシャンも集まる。必ずこの国も再生エネルギーで回せるようになると信じております(お客さん、拍手)──タイジ
といった想いを伝えたのち、トップバッターの紹介へ。
「ゆくゆくはここビーチフェスにしたいよね。やたらみんな水着(笑)。出演者もみずから全裸」──タイジ
「今日は宣言してるバンドもありますし。“ネイキッド”って」──ジョー
そんな感心をさせつつ「Eric.W」「Can't remember」といったおなじみの曲をやったのち、原が言った。
「あれ? うちの大将がいない?」──原
「トイレで一部がネイキッド(笑)?」──荒井
たわいもないMCをしてるうちに小暮が姿を現した。
「いやー、近くにトイレあるの知らないで遠くまで走っちゃって」──小暮
え、本番中に本当にトイレへ? ふだんのライヴ会場じゃ考えられない事態に、この場所が発するおおらかな空気を再確認した。以後、自らネイキッド・ネタを披露しつつ、でもハイグレードかつこの環境にあった生な演奏を聴かせて去っていった彼らだった。
「ありったけの愛」。歌ってるうちにタイジの顔がみるみる赤くなっていく。それほどの熱唱。新たな場所での最初の歌、という想いも重なっていたのかもしれない。デュエットしていたのは福原美穂。外に向かうパワーの強さといい笑顔の大きさといい“女タイジ” “男フクハラ”どちらでも言える二人だった。
3番目のゲストは渡辺俊美。出てくるなり自分が生まれた福島県の住所を口にした彼はその名も「I love you & I need youふくしま」という曲からスタートした。ソウルセットのナンバーとかよりはぜんぜん直球で、ゆえに郷土愛がビシビシ伝わってくる。そこにさらに加わったのがバンアパの荒井。昔、バンアパで二本松のスタジオを使ったことなどを話しつつ、微笑ましい先輩・後輩ノリで桑田圭祐の「明日へのマーチ」をデュエットした。再登場したタイジと渡辺の組み合わせでは忌野清志郎バージョンの「500マイル」が。一見ランダムな選曲のようでいて、詞の内容を聴けばこの場所にふさわしい歌が選ばれていることがよく分かる。
「日本のソウルレジェンド!」という呼び込みで登場したのは小坂忠。御年70歳にしてこの場に1mmの違和感もなく溶け込んでいる。1960年代にデビュー、1970年代からゴスペルシンガーとして活躍してきた方だけに“SOUL SESSION”にハマるのは当然、なのかもしれない。「Hot or Cold」から「ゆうがたラブ」まで、初めて聴いても分かる、それでいてグルーヴィーな言葉使いはさすがだった。そしてセッションのシメは「もう一度世界を変えるのさ」。様々な世代のミュージシャンたちが共演することで説得力が一段と高まっていた。
たとえば、この場所は震災直後からソーラーバッテリーが常備されていたそうだ。今回はそれを楽器まわりの供給に使い、さらに中津川のソーラー発電会社からの応援を得て、その他の電力を賄ったのだとか。そんな部分でも<猪苗代>と<中津川>は繋がっていたわけだ。
この時間帯、ちょうど太陽が出演者を直撃するタイムでもあった。というか、ここへきて見事に空が晴れ上がったのはさすが<THE SOLAR BUDOKAN>。桜井は強い日差しをさけて舞台の奥の方に引っ込んで水を飲む。「ソーラーのイベントでソーラーから逃げる」と笑うYO-KING。ふとステージ隣のネットラジオ『Backstage Cafe』のサテライトスタジオに目をやると、通りががりっぽいさかいゆうが立ったままマイクを持ってしゃべっていた。
真心のステージは後半「どかーん」「サマーヌード」といったおなじみの曲を披露。最後はたぶん彼らがステージから見ている光景そのまま“空にまいあがれ どこまでも高く”と歌う「空にまいあがれ」だった。
歌もめちゃくちゃ伸びやかだったし、ギターもアコギでありながら様々な奏法を繰り出して、飽きさせない工夫があった。さらに。30代になってから世界を旅するようになってジャングルを分け入ってアフリカの山まで登った、などと意外なぐらいにワイルドな話も披露。レミオロメンではうかがい知れなかった彼をいろいろ見た想いだった。とはいえ「南風」はバンアパ同様、二本松のスタジオで作ったことを報告。「粉雪」「3月9日」といったヒットチューンも熱唱してみせた。会場外の観光客たちも立ち止まらせながら。
ラストも同様。「(ステージ脇のスタッフに確認して) え、あと1曲? 福岡のツアーファイナルから2時間睡眠で来たんだから3曲ぐらいやらせろよ」とわめいた直後に「迷ったことが足元を照らす。『朱い群青』」──歌とMCの二重人格で沸かせた彼だった。
“オレンジ色の砂を蒔いた 黄金色光る夕暮れに音を重ねよう”という、まさにこの瞬間の歌「赤橙」。
“Free star 世界は変わる 僅かに残された光”と歌う「FREE STAR」。
「やがてこんなに美しい世界も終わっていく。そのことを悲しむんじゃなく、この瞬間をいかに楽しむか」と語った「世界が終わる夜」の前振り。
「ALMA」のタイミングで雲間からでてきた太陽に向かって大木が言ったひとこと、「照明さん、ありがとう!」。
いつもはモッシュで終わるラストナンバー「Your Song」でさえ歌い出しは“When I look up the blue I feel so empty inside”だ。
様々なタイプのアーティストが至近距離のお客さんに向けて音楽を放ったイベントは最後に、歌と自然を繋いで終わりを告げた。
次回は泊りがけで来ようと思った。ゆるやかな空気と本物しか出ない出演者とスゴすぎる自然。これだけたくさんのフェスがあっても、この組み合わせはここしかないと思うから。
取材・文◎今津 甲
■<猪苗代 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
7月6日(土) 11:00-19:00 福島県 猪苗代野外音楽堂
※福島県耶麻郡猪苗代町大字中小松字四百刈乙1959−2 天神浜オートキャンプ場内
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月28日(土) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
▼9月28日(土) 出演者
シアターブルック / Anly / the band apart / The BONEZ / CHAI / Dragon Ash / DJ:SHINICHI OSAWA(MONDO GROSSO) / 福原美穂 / FLYING KIDS / フルカワユタカ / HEY-SMITH / 勝手にしやがれ / LOW IQ 01&THE RHYTHM MAKERS / まらしぃ / 武藤昭平withウエノコウジ / NakamuraEmi / NAMBA69 / never young beach / No Party For Cao Dong(From Taiwan) / OAU(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND) / ROCKIN' QUARTET 中津川 SPECIAL(大木伸夫・ホリエアツシ・山田将司) / ROTTENGRAFFTY / 田島貴男(ORIGINAL LOVE) / 10-FEET / 打首獄門同好会 / 和田唱(TRICERATOPS) / ヤバイTシャツ屋さん / and more...
▼9月29日(日) 出演者
ACIDMAN / a flood of circle / THE BACK HORN / THE BAWDIES / ブルーズ・ザ・ブッチャー+うつみようこ / Char / DJ:TOMOYUKI TANAKA(FPM) / go!go!vanillas / THE GROOVERS / 一青窈 / 木村カエラ / 9mm Parabellum Bullet / LUCKY TAPES / 真心ブラザーズ / majiko / ものんくる / Nothing’s Carved In Stone / SCOOBIE DO / SHIKABANE [佐々木亮介(a flood of circle) / 菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet) / 村松 拓(Nothing's Carved In Stone) / 山田将司(THE BACK HORN)] / 佐藤タイジ&華純連 / SOIL&”PIMP” SESSIONS / ストレイテナー / TENDOUJ / TENDRE / TRI4TH / Yogee New Waves / 頭脳警察 / and more...
▼チケット
・2日通し入場券 ¥14,900(税込)
・9月28日(土)入場券 ¥9,400(税込)
・9月29日(日)入場券 ¥9,400(税込)
・プレミアムキャンプ付き 2日通し入場券 ¥23,900(税込)
・キャンプ付き 2日通し入場券 ¥18,900(税込)
・駐車場付き 2日通し入場券 ¥19,400(税込)
・駐車場付き 9月28日(土)入場券 ¥12,400(税込)
・駐車場付き 9月29日(日)入場券 ¥12,400(税込)
・プレミアムキャンプ券 ¥9,000(税込)
・キャンプ券(場内駐車場なし) ¥4,000(税込)
・場外駐車場 2日通し券 ¥4,500(税込)
・場外駐車場 9月28日(土)券 ¥3,000(税込)
・場外駐車場 9月29日(日)券 ¥3,000(税込)
・バイク駐輪場 2日通し券 ¥2,250(税込)
【各プレイガイド先行販売】
6月29日(土)10:00より
※各プレイガイドで先行チケット全券種が販売開始となります(全券種とも予定枚数を販売次第、終了となります)。
・イープラス https://eplus.jp/ntsb19/
・サンデーチケットセンター http://www.sundayfolk.com
・チケットぴあ http://t.pia.jp Pコード:入場券:153-172 / セット券・駐車場券:153-175
・ローソンチケット http://l-tike.com Lコード:入場券:47588 / セット券・駐車場券:47589
・Yahoo!チケット http://tickets.yahoo.co.jp/
・楽天チケット http://ticket.rakuten.co.jp/
【<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>公式アプリ】
全アーティストの出演日程に加え、自分だけのマイタイムテーブルの作成、アーティストのライブ定番ソングや今後のツアー情報などをチェックすることが可能。今後のアップデートでは、タイムテーブル(マイタイムテーブル)、エリアマップ、フード情報などを予定。
提供開始日:2019年6月5日(水)
対応OS:iOS 9.3以降 Android 5.0以降
価格:無料
▼ダウンロード
iOS:https://itunes.apple.com/jp/app/%E4%B8%AD%E6%B4%A5%E5%B7%9D-the-solar-budokan-2019/id1466179992?mt=8
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.eplus.solarfes
【<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>Spotify オフィシャル・プレイリスト】
昨年に引き続き、世界最大の音楽ストリーミングサービスSpotifyのオフィシャルプレイリストに<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>がラインナップ。
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWWRbgsSUpoCp?si=Dq9ckiyvQjisuhWJUlqEoA
10月13日(日) 月見ヶ丘海浜公園内特設ステージ
※徳島県板野郡松茂町豊岡字山ノ手42
▼出演
シアターブルック / a flood of circle / 怒髪天 / 藤巻亮太 / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / 真心ブラザーズ / NakamuraEmi / 四星球 / and more...
▼チケット
入場券 ¥5,500
駐車券 ¥1,000
保護者(20歳以上)1名につき、同伴の小学生以下2名まで入場無料
【yahoo!チケット独占先着先行】
受付期間:5/25(土)10:00~6/26(水)21:00
http://r.y-tickets.jp/solarbudokan_awanokuni2019
■関連リンク
アーティスト
- SOL(1)
- 佐藤タイジ
- the band apart (naked)
- the band apart
- 福原美穂
- さかいゆう
- 渡辺俊美
- NEE
- 忌野清志郎
- 小坂忠
- 真心ブラザーズ
- YO-KING
- 藤巻亮太
- レミオロメン
- 村松拓
- Nothing's Carved In Stone
- ACIDMAN
- シアターブルック
- Anly
- The BONEZ
- CHAI
- Dragon Ash
- SHINICHI OSAWA
- MONDO GROSSO
- ROSSO
- FLYING KIDS
- フルカワユタカ
- HEY-SMITH
- 勝手にしやがれ
- LOW IQ 01
- 武藤昭平
- ウエノコウジ
- NakamuraEmi
- NAMBA69
- never young beach
- OAU
- OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
- 大木伸夫
- ホリエアツシ
- 山田将司
- ROTTENGRAFFTY
- 田島貴男
- ORIGINAL LOVE(1)
- ORIGINAL LOVE
- 10-FEET
- 打首獄門同好会
- TRICERATOPS
- ヤバイTシャツ屋さん
- a flood of circle
- THE BACK HORN
- THE BAWDIES
- うつみようこ
- YUKI
- go!go!vanillas
- THE GROOVERS
- 一青窈
- 木村カエラ
- 9mm Parabellum Bullet
- LUCKY TAPES
- majiko
- ものんくる
- のん
- SCOOBIE DO
- SHIKABANE
- 菅原卓郎
- ストレイテナー
- TENDRE
- TRI4TH
- Yogee New Waves
- 頭脳警察
- 怒髪天
- 四星球
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