【OLDCODEX】“Silent”と“Roar”が
共存したステージに上がる まさにそ
の瞬間
L→R Ta_2(Vo)、YORKE.(Painter)
デビューから4年、さまざまなアプローチで楽曲を発表してきたOLDCODEX。その多くの点を線でひとつに結んだのが、1年2カ月振りのアルバム『A Silent, within The Roar』だ。音楽に対する純粋な想いが、貪欲に表現された作品になった。
取材:榑林史章
俺たちがふたりでやっている その証明となるアルバム
前作『CONTRAST SILVER』から1年2カ月振りのアルバムですが、ファンに向けて、今度はこういう曲を聴かせたいとか、おふたりの気持ちも高まっていたのでは?
Ta_2
1年2カ月経っているとか、考えたこともなかった。シングルを3枚出したし、ツアーもたくさんやっていたから、そんなに空いた印象はまったくなくて。言われて、そうなんだ!って(笑)。でも、“こういう曲を聴かせたい”みたいなのは、最初は正直言ってなかったんですよ。音楽をやるのって、どこか自分たちの我がままを通すみたいなところがあるから、そういう気持ちで作り始めてしまったら、雑な言い方だけどリスナーに媚びたものになりかねない。だから、まずは俺たちの色とか遺伝子みたいなものが、もっともっと反映されて色濃く練り込まれたものを作りたいって気持ちでしたね。それがトリガーになった上で、クリエーションの部分が触発されていくわけで。その時には、みんなで盛り上がれるところを作ったら楽しいだろうなとか、考えるんだけど…。
我がままというのは、OLDCODEXらしいですね。
YORKE.
自分たちのやりたいことをブレずにやるために、どう我がままを通すかということかな。そのために、ファンにもスタッフにもちゃんと気持ちを伝えて、受け入れてもらった上で、ようやくアルバムが出せる。だから、そういうプロセスに対しては、絶対に手を抜かないようにしているし。つまり、俺たちの我がままというのは、より理想に近づけるためのプロセスなんです。例えば、今回のパッケージの仕様もすごく素敵だけど、それでもいくつか諦めたアイデアがあったし。ツアーでもできなかった演出があった。でも、その中で、いかに諦めずより理想に近づくためのアイデアを考え抜くかっていう。そういう時間が、一番閃く時かもしれない。
今回の制作では、最初に方向性を決めたりしましたか?
Ta_2
そうですね。今回は自分たちの中のちょっとしたフラストレーションに焦点を当てつつ、これまでバラバラだったリスナーの印象や見ていた方向性だったりが、実は全部一緒だって一枚で理解してもらえるものにしようと思いました。今まで『hidemind』『CONTRAST SILVER』とアルバムを作ってきたけど、そのたびに何かが変わっているという、俺たちっておかしなプロジェクトで(笑)。ファンの中でも、ここから先とここから前では音楽性が違うと思われていることも多々あって、それを全部解消したいという気持ちがありました。それは何でかと言うと、これまでやってきたことも全てOLDCODEXに変わりないし、以前やっていた音を二度と出せないなんてカッコ悪いし。1回立ち止まったことがあっても、振り返ったことがあっても、それら全てをまるっとまとめて、ちゃんと前を向けるんだよということを提示したかったんです。あと、この1年でシングル3枚をアニメのタイアップでリリースできたのは、すごく恵まれた環境だと思っているんだけど…タイアップという意味では、純度100パーセントのOLDCODEXではないわけで、そこには少なからずアニメサイドとOLDCODEXとの歩み寄りによって音楽的に変わった部分があったと思うし。だからOLDCODEXオンリーを出しつつ、攻めの一枚にしたいと。
YORKE.
『CONTRAST SILVER』の制作途中で、ふたりになったこともひとつあって。あの時はすごくバタバタしてしまって、試行錯誤して一生懸命やったけど、単純に音や詞に対しての反省点も多く見つかった。それでツアーを回ってみたら、たくさんのファンが待っていてくれて、いっぱい背中を押されて、また作りたいって力が沸いてきた。もちろん、Ta_2の言う純度100パーセントのOLDCODEXの話も理解できるし、単純に後悔なくいいアルバムを作りたいし、今できる全部を出したいし。だから、そのためには何でもやろう!って。
2月のツアーで、各アルバムからいろいろな楽曲を披露していて、それらが違和感なくひとつになっていましたね。このアルバムを聴いて、それにすごく近い感覚がありました。
Ta_2
いろんなビートが俺たちの中にあって、それをなかったことにするんじゃなくて、全部“ほら、俺らの中にあるでしょ!”って言えちゃう作品にしたかったから。それが、俺たちがふたりでやっていることの証明にもなると思ったし。
YORKE.
最近気付いたけど、善くも悪くもこの1年はまだR・O・Nの存在を引きずっていたところがあったのかも。でも、今回のツアーの最後で、1stミニアルバム『OLDCODEX』のラストに収録している「mono frontier」をやった時、やっとそういう感じが消えたんですよね。前はステージの下手に行くのは気が引けていたんだ、彼がいた場所だったから。でも、最後にはそんなのまったく気にしなくなっている自分がいて。「mono frontier」は確かにR・O・Nが作った曲だけど、ちゃんとOLDCODEXのものにすることができたという感覚があって、それは精神的にもすごく大きく、アルバムの制作にもすごく影響があったと思う。
Ta_2
なんだかんだ言って俺たちって、今まで関わってくれた人のことを、むちゃくちゃ大事にするんです(笑)。本当にピュアに接していたから、R・O・Nの脱退を消化するまでにこれだけ時間がかかってしまった。「mono frontier」をライヴでなかなかやらなかったのもそういう理由だったし。そういう意味では、2月のZeppのステージとこのアルバムは、かかった時間の結晶かなって思います。今でも心のどこかには残っているんだろうけど、それを考えているより前を向きたい。階段を一段だけ上がれたかなって思います。
アーティスト
OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
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