L→R YORKE.(Painter)、Ta_2(Vo)

L→R YORKE.(Painter)、Ta_2(Vo)

【OLDCODEX インタビュー】
OLDCODEXが魅せる新たな進化と牙

結成10周年に放たれる「Take On Fever」はOLDCODEX史上最も激しい楽曲であると同時に、TVアニメ『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-』のオープニング主題歌として自身の“90秒の答え”を追求した妥協なき一作。音にも映像にも“OCDにしかできないこと”が詰まった、まさしく彼らの名刺に相応しいシングルだ。

自分たちなりの
90秒の答えを見せる

新曲の「Take One Fever」は現在敢行中の『LADDERLESS』(2019年7月発表の6thアルバム)のリリースツアー初日(10月17日@恵比寿LIQUIDROOM)でも演奏されていましたが、初披露とは信じられないくらい盛り上がっていましたよね。

Ta_2
お披露目だったし、初日の緊張もあったんで、正直言って自分ではよく分かんなかったです。ただ、結果的にOLDCODEXの楽曲の中で一番音数が多い曲になったから、爆音の洪水に驚いてほしいっていうところはあったかな。
YORKE.
既存曲の「Growth Arrow」(2018年2月発表の15thシングル)とか「One Side」(2018年4月発表の配信シングル)に近いものもあるから、違和感なくセットリストの中に入り込んでましたね。

“これぞOLDCODEX!”と感じました。ラウドかつアグレッシブで、まさしくライヴチューンだなと。

Ta_2
でも、実はライヴのことをがっつり考えて作ったわけでもないんですよ。制作が完全に『LADDERLESS』と同時進行だったんで難しくて。アニメサイドから来たオーダーが“攻撃的なナンバーが欲しい”というものだったから、自分たちがアルバムを超えた先で、どこに目を向けたら攻撃的になるのかってことを、まず考えたんです。『LADDERLESS』自体に自分たちの枠を広げるだとか、今まで光の当たってなかった楽曲たちを陽の下に曝すっていうテーマがあったんで、そこから“大人っぽくなった”という解釈を持たれたら嫌だなと。ちょうど結成10年というタイミングでもありましたからね。

なるほど。進化はイコール“成熟”ととらえられがちですからね。

Ta_2
そうそう。だから、もっと自分たちの棘だったり、牙みたいなものを剥き出しにした切り裂くような楽曲で、OLDCODEXの荒々しさは健在なんだというところを提示できたらいいなって。ライヴに例えるなら“やり切り型”みたいなイメージですよ。全部バーンとぶちまけて、机をひっくり返したまんまで帰る!みたいな。たまにYORKE.がフェスの時とかに言う“ペンキひっくり返して、ぶん投げて帰ったろか!”みたいなイメージに近い。
YORKE.
それ、やっちゃいそう! で、怒られる(笑)。
Ta_2
ただ、ひっくり返すだけだと単にグッチャグチャな曲になっちゃうから、そこに“自分たちなりの90秒の答えを見せる”という制限を設けたんです。アニメのオープニングには90秒という決まりがあって、その中で楽曲を構成することの難しさも最近はメディアを通して知られつつあるから、その中で自分たちなりの答えをひとつ出してみようという。ある意味で野心的な試みですね。だから、サビのメロディーは大事にして、他の箇所でぶちまける!っていう構成にしたんです。ドラムにしても、あの速さの中で馬鹿みたいにタム回ししたり、シングルペダルのドラムでずっとツインで鳴らしてもらったり。ギターも普通はやらないようなフレーム移動が満載で、ベースもサビ中ずっと動いてるから、ルートを弾いてる箇所はほぼない!
YORKE.
イヤモニで聴いてるとすごいんだよね! ベースがTa_2の歌より歌ってるから、ライヴになると引っ張られちゃって頭の振り方が分かんなくなる。あそこは歌詞も言いたい放題だしね。自分自身で“ちょっと今、頭おかしいかも”って感じるより、他人に“お前、頭おかしいよ”って言われたほうがドキッとするじゃん。歯向かいたい気持ちも出てくるし。

“明白な狂気が俺を殺す”という英詞の間に、狂気的なバスドラ音が挟まっているのも絶妙なマッチングですよね。結果的にOLDCODEX史上一番激しい曲になって、また新しいOLDCODEXを提示できたわけですから“攻撃的なナンバーを”というオファーでラッキーだったのではないかと。

Ta_2
結果的にはそうですね。もともとTVアニメ『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-』を作っているプロデューサー陣とは、「Deal with」(2016年7月発表の13thシングル)とか「One Side」(2018年4月発表の配信シングル)でも一緒にお仕事させていただいてたんで、俺らの攻撃性というものをよく分かってくださっていたんです。とはいえ、ブチまけるだけではタイアップにはそぐわないんで、アニメ用に納品するものはベース&ドラムの帯域を切ったり、音量バランスを調整してギターを上げめにしたり、声やコーラスもより抜けてくるようにして、テレビのスピーカーから聴こえやすいようにしました。そうやってOLDCODEXとしての主張を入れつつも、90秒の答えというところも含めて作品サイドとのクリエイティブも諦めずに詰められたので、10年目の第一作目としては、すごく良いシングルになりましたね。

どうりでCD音源とテレビのオープニングで印象が違うわけです。ちなみに歌詞はどういった視点で? 歌詞を読んでいて、もしや主人公サイドだけじゃなく、敵方からの視点も交じっているのではないかと感じたのですが。

YORKE.
両方ともありますね。おかげで誰にでも当てはまるような余白があるし、そもそも善悪は紙一重じゃないですか。でも、『トクナナ』は警察が主人公だから、どっちかって言うと警察視点ですよね。『トクナナ』という部署をカッコ良いものとして、偶像的に表現してる。アニメの映像を観た時に結構アーバンなイメージを持ったので、それを歌詞にどんどん組み込んでいったかたちです。

叫ぶではなく、犬になぞらえての“吠える”という表現も攻撃的ですよね。ちなみにタイトルの頭文字を並べた“T.O.F”に何か意味は…

YORKE.
想像にお任せします。タイトルに関して言うと、最初に『トクナナ』のロゴを見たときにカッコ良いなと思って、“ナナ(=7)”と言ったらフィーバーだよなと。ただ、そのまま“Fever”を使うとハッピーすぎるから、“フィーバーによって自分はどうするのか”ということを問い掛けたくて“Take”という単語を付けたのね。連れて行かれるのか、引き連れて行くのか、拳をグッと握った時に熱くなるこの感じをどう使うのかっていうものにしたかった。

なるほど! 

Ta_2
まぁ、作品のあらましだったり、キーポイントとなる言葉やキーワードは投げ掛けたりしてたんで、歌うにあたっても入り込みやすかったです。
YORKE.
そこが僕たちにとっての大きな武器で。Ta_2自身が『トクナナ』に声優として出演しているから、脚本以上のことを僕も知ることが出来るんです。“ここはこうとらえていいのかな?”と訊けばヒントをもらえる。そこはすごく武器ですね。
Ta_2
共演者のみんなに曲を聴かせた時も、それで作品の方向性が伝わったというか。“これ、すごくいいね!”って意識を共有できた、その現場に立ち会えたというのも強かったです。
YORKE.
それで役者さんのテンションを上げられたら、OLDCODEXとしてはすごく嬉しいことだよね。

OKMusic編集部

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