オーケストラと作り上げたスペシャル
な夜、家入レオ&加藤ミリヤ【Billb
oard JAPAN Women In Music vol.2】
オフィシャル・レポート

『Billboard JAPAN Women In Music vol.2』2023.2.8(THU)TOKYO DOME CITY HALL
家入レオ加藤ミリヤがフルオーケストラとともに力強い歌声とメッセージを届けるイベント『Billboard JAPAN Women In Music vol.2』が、2月8日(木)に TOKYO DOME CITY HALL にて開催された。この日の歌は全曲東京フィル・ビルボードクラシックスオーケストラの演奏と共に披露され、一夜限りのスペシャルなパフォーマンスとなった。本稿ではその一部始終をレポートする。
家入レオ
開演時刻に指揮者の齋藤友香理とオーケストラ・メンバーがステージに姿を現すと、続いて家入レオが登場。深々とお辞儀をして来場者に挨拶するとピアノの音色が鳴り、ライブがスタートした。オープニングを飾ったのは「ずっと、ふたりで」。家入の伸びのいい歌声とオーケストラの演奏が組み合わさり、リスナーを一瞬にして音の空間に包み込んでいく。次曲「君がくれた夏」もオーケストラの演奏により、いつも以上にドラマチックな雰囲気に。開始早々、「一瞬も見逃せない特別なライブになりそうだ」と来場者全員が感じたことだろう。中盤のMCでは「ここ数年で、女性としての道の切り拓き方を意識して曲を作ったり歌ったりするようになりました」「多様性の時代なので、性をもっと広げていいんじゃないかなと思います」などと思いを述べる。筆者がハッとさせられたのは、「女性が女性らしくあるためには男性の力が必要だし、このことは人間全員のテーマだと思います」という言葉。昨今は男女平等が謳われ、性別を問わず同じ条件で生きるような風潮があるが、大事なのはそれぞれの違いを尊重し合って助け合うことなのだと気付かされた。
家入レオ
家入はステージ後半に Bank Band with Salyu「to U」も披露。アカペラで歌い始め、前半はピアノやハープという最小限の音と共に歌い、後半はストリングスも含めた壮大な演出で届けた。家入の歌声とオーケストラの演奏が音のシャワーとなって会場内に降り注ぐ。それはまるで私たちリスナーも曲の世界に入り込んだと思うほどの没入感があった。また「太陽の女神」では身体を左右に向けながら歌唱し、歌声を一人ひとりに届けていることが視覚からもわかった。一部のラストに歌ったのは「空と青」。家入が間奏でくるくる回ったりリスナーも手拍子をしたりして、会場が多幸感に溢れた状態で締め括った。
加藤ミリヤ
休憩を挟んだ後にスタートした二部では、真っ黒なドレスに身を包んだ加藤ミリヤが登場。「みなさんの肌から細胞を通して心が震える瞬間がきっと何度もあるかと思います。この空気を伝って何かがみなさんに届く、そんな夜になっていくと思います。最後までお楽しみください」と伝え、「Goodbye Darling」や「With U」などを披露。オーケストラの演奏と加藤の歌声が相まって、原曲よりもダイナミックに仕上がっている。加藤の言葉通り、音が自分の肌を通って体内に入り、細胞まで届いてくる感覚があった。
中盤には「私は女性として生きてきたことをすごく自覚している人間で、それを愛しているし、楽しんでいるし、時に悲しんでいる。日々格闘しているんですが、そんなときに自分を助けてくれるのは音楽だし、自分自身が音楽を始めたのも女性アーティストがきっかけでした」と語った。そしてMC明けには、影響を受けた女性アーティストのカバー曲として宇多田ヒカルの「First Love」をパフォーマンス。オーケストラの演奏をバックにマイクを両手で握りしめて歌う姿はとても美しく、リスナー全員の心を鷲掴みにする見事な歌声だった。言葉ひとつひとつに余韻があり、歌声と演奏を贅沢に浴びていることを実感した。
加藤ミリヤ
その後には代表曲「Aitai」も披露。切ないラブソングに胸がぎゅっとなりつつも、音は心地よく、「まだ聴いていたい」と思わされる。そしてラストに届けたのは、加藤がふるさとを思いながら書いたという「JOYRIDE」。リスナーのクラップも合わさり、加藤とオーケストラとリスナーがひとつに。フィナーレにふさわしい高揚感が生まれていた。たくさんの拍手が鳴らされる中ステージを後にし、この日の公演は幕を閉じた。
【Billboard JAPAN Women In Music vol.2】
女性をエンパワーすることを目的に開催された本公演。歌声、演奏、MC での言葉、そして会場の一体感と、あらゆるところからパワーをもらえた 1 日となった。音に身を委ねて楽曲を楽しんだり、じっくり聴き入ったり MC の言葉に勇気をもらったりと、楽しみ方は人それぞれだったが、きっと誰しもが何かしらを感じとり、ライブ空間を堪能していたはずだ。J-POP とオーケストラが合わさることによる相乗効果も予想以上で、音楽のジャンルに垣根がないことも思い知らされた。この日会場に集まった人たちは、性別も年齢も好きな音楽もきっとバラバラだ。けれど、この日この場所で同じ音楽を聴いてひとつになったことはリスナーたちの忘れられない思い出になっただろう。
なお、本公演は U-NEXT で配信決定。詳細は後日発表される。
取材・文=伊藤美咲 撮影=石阪大輔

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