高橋大輔が新たな挑戦へ! フルプロ
デュース公演『滑走屋』で公開練習

昨年競技を引退し、現在はプロフィギュアスケーターとして活躍する高橋大輔がフルプロデュースするアイスショー『滑走屋』が、2月10日(土)から3日間にわたって上演される。会場はオーヴィジョンアイスアリーナ福岡(福岡県)。その練習の様子が、上演に先駆けてプレス向けに公開された。
オープニングナンバーは14分!『滑走屋』は異例づくめの75分
アンサンブルスケーターたちと共に、オープニングナンバーの練習を繰り返す高橋大輔
『滑走屋』は「フィギュアスケートやアイスショーに縁のなかった人にも届くように」と、高橋がこれまでのアイスショーの概念を超え、さまざまな試みを盛り込んだ新たなアイスショーだ。
「実は準備期間があまりなかったことが発端でもあるんです(笑)。動き出したのは11月くらいからで、タイミング的に海外のスケーターは呼べないので、だったら日本のスケーターだけでやろうと。ならば若いスケーターを集めて迫力のあるショーやりたいと思ったんです。『滑走屋』というのは、日本のスケーターだけなので、英語表記じゃないものにしたかった。それと、ショーの内容をイメージさせるものではなくて、自分たちのチームの名前というか、“滑走屋”というパフォーマンス集団がショーを演じる……。この先、そういうものにしていきたいという思いを込めて名付けました」(高橋)
公開練習時ではオープニングナンバーの練習が行われたが、なんとこれは5曲をシームレスにつなぎ、アイスショーとしては異例の14分にもおよぶ壮大な演目になるという。
「もちろん、これも大きな見どころの1つです。大人数で迫力のあるものが見せられると思います。構成も見応えがありますよ。このオープニングに始まって、上がって下がってを繰り返すような目まぐるしい展開で、一気にショーは進んでいきます。曲は僕自身が選びました。メインのスケーターの方たちにも、自分の方から曲を指定しました。だから、ショー全体として音楽的な雰囲気もつながりのあるものになっているはず。75分間、目が離せない圧倒的なものになっていると自負しています」(高橋)
高橋が語るように、ショーは75分ノンストップで続く。この構成もアイスショーとしては異例といえるだろう。このあたりにもプロデューサーとしての高橋の想いが込められている。
「初めての方々に観ていただきたいので、通常の2時間半は長すぎるかなと。会場は寒いですし(笑)、初めてだとなかなか集中して観られないと思うんです。75分でも一気に見られるような見応えがあるものが表現できれば楽しんでもらえるはずだし、また観に来たいと思っていただけるんじゃないかと。
気軽に来ていただきたいという意味では、チケット料金も下げました。自分自身、アイスショーの価格は高いと感じることもあって……。氷を張ることなどに費用がかかることも理解しているんですが、もうちょっと手が出しやすい値段にできたらいいなと思っていて。今回は日本のスケーターだけの公演で、海外からスケーターを呼ぶわけではないので、そういう部分でも値段を抑えられると思って、ぎりぎりのところまで下げました。1日3回公演なので、時間が合うところで来ていただければ嬉しいです」(高橋)
鈴木ゆまの振付が新たなアイスショーを生み出す
振付を担当した鈴木ゆまが、マイクを通してスケーターたちに指示をおくる
この日の練習で指揮を執っていたのが、振付を担当した鈴木ゆまだ。劇団四季出身で、現在は東京パノラマシアターを率いる俳優&振付師。高橋と共演歴はあるものの、アイスショーの振付は今回が初めてとなる。
「他のジャンルの方に振付をしてもらうことで、何か新しいものが生まれるんじゃないかという思いは、以前からあったんです。それで、鈴木さんの演出した舞台を観に行ったら、振付はもちろん、会場全体の使い方、構図の描き方がむちゃむちゃ面白いんですよ。それで一緒にやったら面白いことができるんじゃないかと。実際、今回も他のショーにはない構図の描き方で、驚かれる方も多いと思いますね」(高橋)
「最初に話をもらったときは、『えっ、私、スケート滑れないんだけど!?』ってびっくりしました(笑)。でも、大輔さんからショーでやりたいこと、若いスケーターたちの未来を広げてあげたいという思いなど、『滑走屋』のビジョンをうかがって、私もどんどんのめり込んでいきました。私が考えた振付を、氷上で踊れるものに落とし込まないとならないんですけど、こんなにクリエイティブな現場はないなと思うほど、毎日が刺激的ですね」(鈴木)
そんな鈴木の振付は、やはりスケートを専門にやっている振付師とは一味違うようだ。
「むずかしいです(笑)。同じ動きでも、曲の雰囲気によって、全然ニュアンスが変わって、意味合いが変わるんです。それを氷上で表現するのはむずかしいですけど、見応えのある素晴らしい振付だと思いますね」(高橋)
「スケーターのみなさんからはトリッキーって言われます(笑)。ダンスを踊ったことのない方も多いですし、しかも私のダンスは細かくて複雑なので、みんな苦戦しているみたいです。冷や汗をかきながら笑顔で練習していますよ(笑)。でも、すごく楽しみながらやってくれています。ダンスの振付を覚えることで、『自分もこんな表現ができるんだ』と新しい可能性を見出してくれているみたいで、そんな前向きな彼らの姿にすごく感動しました。振付師冥利に尽きますね。それに、スケートにしか出せないものがたくさんあって、振付していて面白いんです。オープニングナンバーで、4人のスケーターが円を描きながらものすごいスピードで滑るシーンがあるんですけど、そのスピード感はスケートならではのものですね」(鈴木)
若きスケーターたちの未来のために…有望なニューカマーを大抜擢
振付は実演しながらアドバイス
疑問点や問題点はその都度話し合って解決していた

公開練習で披露したのは壮大なオープニングナンバーの1部だったが、その練習は地道で着実なもの。1つ1つの振付やフォーメーションを確認しながら、疑問点や問題点が発生すれば、その都度話をして解決していく。アンサンブルスケーターとして一緒に演じる若者たちに、高橋が頻繁に声をかける姿も印象的だった。それは先輩スケーターとしてのアドバイスでもあり、プロデューサーとしての指示でもあったようだ。
「細かい部分を揃えないとショーが成立しない部分があるので、それを1つ1つ説明しているんですけど、伝え方って難しいなと実感しています。どの言葉を使えば伝わるのか、人によって全然違いますから。言わなくてもわかってくれることもあるし。ただ、アイスダンスを経験して、2人で細かい動きを合わせてきたので、その経験は生きているかもしれないですね」
アンサンブルスケーターとして出演する彼らは、実は高橋が直接スカウトしたのだという。
「スピード感のあるショーにしたいと思って、力強いスケートができる選手に声をかけました。アイスショーに出演するのは初めてという子も多くて、ダンスは難しいので大変だと思うんですけど、これをやることでペアで滑る面白さやダンスの楽しさを感じてもらえたらと思います。普通のフィギュアスケートの練習ではないことなので、彼らにとっても良い経験になるといいですね」(高橋)
そんな若き才能たちは、レジェンドとも言える高橋との共演に胸を高鳴らせている様子。練習会場では代表して4人のスケーターが意気込みを語ってくれた。
大島光翔
「出演するすべてのスケーターのレベルが高くて、毎日付いて行くのに必死ですが、やりがいもすごく感じています。大輔さんは幼い頃から一番の憧れの選手。そんな人と一日中一緒にいて、練習のやり方や取り組む姿勢を間近で見られるというのは、本当に勉強になります。そんな大輔さんの足を引っ張らないように…むしろ自分が盛り上げていけるように頑張りたいです」(大島光翔)
木科雄登
「高橋大輔さんをはじめ、素晴らしいスケーターの方々とショーを作り上げるというのは、素晴らしい経験だと感じています。高橋さんには自分のレベルアップにつながる指導をしていただいているので、しっかりと学べば、ショーを終えた後、スケーターとして成長できているんじゃないかと自分でも楽しみです。みんなで教え合いながら、よりよいショーを作り上げようと頑張っていますので、みなさん楽しみにしていてほしいです」(木科雄登)
奥野友莉菜
「やったことのない振付で不安だったんですけど、高橋大輔さんや村元哉中さんに直接教えていただいて、すごく貴重な経験になっています。高橋さんは、腕や足の動きやターンなど、1つ1つがすごく正確です。振付がない部分でも観客を惹きつける動きをされていて、すごく参考になります。多くのスケーターの方々と一緒に滑るので、一体感を忘れずに素晴らしいショーを作り上げたいと思います」(奥野友莉菜)
三宅咲綺
「アイスショーは初めてで、大勢のスケーターと一緒に滑るもの初めてで、難しく感じる部分もたくさんあるんですけど、みなさんがアドバイスをくれて、みんなで作り上げるものなんだと心強くも感じています。高橋さんは、子どもの頃にアイスショーを観て、“スケートとはこういうものなんだ”と魅了された選手なんです。自分もそういうスケーターになりたいと思っています。まずは大輔さんが描く世界観を大事に精一杯頑張ります」(三宅咲綺)
さて、いよいよ開演に目前に迫った『滑走屋』。最後にその見どころを鈴木と高橋に語ってもらった。
鈴木ゆま
「アイスショーというと、明るくポップなものが多いと思うんですが、『滑走屋』はそうではありません。大輔さんが描くのはちょっとダークで激しくて、内面をえぐるような毒気のあるもの。これまでにないショーになっていると思うので期待していただきたいです。私の振付も、これまでのアイスショーにはなかった構図や表現を取り入れました。息つく暇もない濃厚なショーなので、きっとのめり込んで見ていただけると思います」(鈴木)
高橋大輔
「今、公演に向けて細部を詰めているところです。自分が想像しているものが出来上がれば、必ず喜んでもらえるものになると思っています。自分も含めて、メインのスケーターもいろいろな場面に登場しますので、誰がどこで出てくるのかも見どころです。久々に自分のソロナンバーもあるんですけど、僕のナンバーに入るまでの流れも見応えがあると思うので、楽しみにしていただけたらと思います。是非、滑走屋の誕生を皆さんと共有したく、会場でお待ちしています!」(高橋)
撮影:辰根東醐

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