FM802DJの土井コマキが見つけた、自
分だけの宝物とは? 万博記念公園で
開催『関西蚤の市』レポート

関西蚤の市 2023.12.01(Fri)〜03(Sun) 万博記念公園
基本的に古道具や古着などが大好きな私、FM802DJの土井コマキが、4年ぶりに開催された『関西蚤の市』に行ってきました。そこでの体験は、パンフレットに書かれた「さがしにいこう、自分だけの宝物。」の文字通りでした。
改めて、『関西蚤の市』は2014年の初開催から、毎年クリスマスシーズンに阪神競馬場で開催され、今回、万博記念公園に会場を移して4年ぶりの開催となりました。張り切って、初日の午前中から出かけたのですが、すでにたくさんの戦利品を抱えた人たちで溢れていました! そんな中、可愛いものが大好きな友人が、しっかりお買い物も済んだ状態で登場。さすがです。まだ午前中なのに! ようし、私も宝物見つけちゃうぞ! 今回の私のお目当てはフラワーベースです。いい出会いありますように。
ゲートのデコレーションにも植物が使われていて素敵だったんですが、夢のように可愛いお花屋さんがたくさん出店されていて、ヨーロッパの街角みたい。生花だけではなくドライフラワーや、クリスマスリースや、しめ縄まで! ホリデーシーズンの準備にピッタリ。古いガラスの食器類は、日差しを受けてキラキラして私を呼びます。日本では見ない表情の古いぬいぐるみ達も私を呼びます。全然先に進めない。広い広い会場で、小さなビンテージのボタンに夢中になっている女の子達の姿って、本当に愛らしいですね。たくさんある椅子の座り心地を試している2人組は、2人の家に迎える子を探してるのかな、、、、とか妄想も捗ります。品物だけじゃなくて、品物を見ている人まで観察してしまうのでした。
お! 素敵なフラワーベースを発見! コロンとした楕円形のボディに短い足が4本あって、ベージュのようなオフホワイトのような絶妙な色に、中央に茶色いクロスの模様がある。洋風にも和風にも使えそうで、うおおおお可愛い。取材で来ているので、「とりあえず会場を一周見て回る」を最優先。あとで買い物しよう。広い会場の、多分まだ4分の1も見ていない。地図を開いてみるも、今どの辺にいるのか、さっぱり分からない楽しさよ! そうなんです、お店が規則的に並んでいないのが、海外の路地に迷い込む感じで楽しい。お目当てのお店に一目散も良いんだけど、ぐるぐる見て回って偶然出会うお得感があります。
デッドストックの食器、ビンテージ食器、古着、古本、使い込まれて良い味が出ている海外のエコバッグ、古い家具、看板、なんと空き缶まで! まさかこうして将来お宝になるなんて、当時は誰も想像していなかっただろうガラクタも楽しい。カメラマンは撮影の小道具に買いたいと取材中ずっと申しておりました。視力検査のレンズ、雑に台に散らかってるカトラリーは、それだけで絵になる。手に取るとずっしり重い。素敵。そしてヨーロッパの古道具だけかと思っていたら、作家さんの1点ものが並ぶお店や、日本の古道具、アウトドア用品などなど、幅広くて本当に飽きないです。全部欲しくなってしまう。
これ欲しいなぁとずいぶん悩んだのが、カーキのウールのブランケット。いい色だぁ。リビングでラグにしてもいいし、アウトドアにも良さそうと思って見ていたら、お店の方が話しかけてくれました。これは、1942年のUSアーミーのブランケットなんだそうです。いつかどこかで誰かの命を寒さから守ってくれたものかも知れないですねえ、なんて雑談も楽しい。ほんと絶妙な色味だったんですよね。帰宅してから、どうしても欲しくて調べたら、なんとか分かったのが「Chatham Manufacturing」の物だということ。ホームページの歴史のページをみたら全く同じタグの写真が載ってた。これ欲しかったなぁ。今となっては、肝心の販売店がどのお店だったのか全然分からない。うっかり。「Chatham Manufacturing」はもちろん現存するメーカーですが、あの子が良いんです。世界にひとつしかない。そこにしか無いんだから困るよね。古道具って。
そういえば私、木目が好きなんです。本棚、机、椅子、お皿、トレー、カトラリーなど。特にトレーがヤバかった。大きさやデザインも色々だけど、それぞれの木目の出方が違うから、選び始めると熱が出そうなくらい集中してしまう。『関西蚤の市』は、見てよし、撫でてよし、幸せな「木目沼」でした。そんな中、宮城の幼稚園で使われていたという子供用の椅子が大量に積んであってトキメキました。軽い気持ちで腰掛けてみたら、これがなぜだかちょうどいい心地よさ。高いところのものを取るときのちょっとした台にもいいし、お買い上げ! もちろん念入りに、好みの木目と、好みの経年変化を選んで。
ライブアクトのビューティフルハミングバードは、讃美歌を演奏してくれて、厳かな気持ちに。こうしてここに来れてありがたいな、今年も頑張ったなとしみじみ。12月を感じました。ボーカルの光子ちゃんがSNSに「手を振って応援してね」って書いてたから手を振ったら、手を振り返してくれた!
場内に響く音は、音楽だけじゃない。カンカンカンカンと、金属を叩く音がする。何かと思ったら、真鍮とシルバーのリングを叩いて、自分だけの指輪を作るワークショップの音。時間があれば参加したかったなぁ。蚤の市で見つけられなかったら、自分で作っちゃえってワケ! それは間違いなく「自分だけの宝物」になりますよね。なんて素敵なの。
夢中で見て回っていて、気づいたらお腹が空いている!「ナイスパッタイ〜!」という愉快な掛け声に引き寄せられると、これまた知り合いがパッタイを出店していて、なるほどなと納得しました。出店者もお客さんも然るべきところに然るべき人が同じ気持ちを持ち寄っているんですよね。もちろん美味しくて、まさに「ナイスパッタイ〜!」でした。水餃子も猛烈に美味しかったなぁ。東京のお店みたいなんで、次東京に行ったら食べにゆきたいな。
会場内にテントやレジャーシートを敷いて良いエリアもあって、ゆったり寛いでいる人たちもいて、次回はレジャーシート持ってこようと思いました。
会場内でゆっくり1日楽しむための仕掛けも色々ありました。会場内に3人いる「スタンプさん」を見つけて、スタンプを集めたら、クリアファイルをもらうことができました。やったね。あとは、さすが手紙社が主催だなと思ったのが、日本郵便「ポストカー」。『関西蚤の市』オリジナルハガキに、その場でお手紙を書いて投函することができたんです。切手も好きなものを選べました。私は自分宛に手紙を投函。今の時代、DMや請求書に混じって、手書きのハガキがポストに入っていたら、それだけで宝物みたいに感じるだろうなぁ。また手紙を書きたくなりました。
先ほど「然るべきところに然るべき人が集まっている、なるほど」ということを書きましたが、このたくさんの素敵なお店たちは、実は一般公募は受け付けておらず、すべて主催者がお声がけされたお店なのだそうです。これってきっと、ただ出店者のカラーを統一するためではないと思うんです。人と人の繋がりは、何より暖かく、それは、古道具たちの揺らぎの暖かさや、その物がいろんな人、いろんな時間を経てきた奥行きと、手触りが同じだと思います。愛知県で開催される『森、道、市場』に私は毎年参加しています。ここにも、たくさんのお店が並びますが、同じく主催者と繋がりがあって、出店することができます。人混みが苦手な私ですが、繋がりがあるからこその仲間の集まりのような安心感があります。
毎年、『関西蚤の市』は友達がたくさん出店していたり、ライブステージにブッキングされていたりで、行きたいなと気になりつつも、休みを取れずなかなか参加できなかったんです。今回、念願かなっての参加でした。来てみて、出店する人も、遊びに来る人も毎年恒例になる理由が少し分かりました。アクセサリー作家の友達も遊びに来ていてバッタリ会ったんですが、出店しなくてもインプットのためにこういうところに来るんだな、なるほどと思いました。
さて、例のフラワーベースですが、あの時、ファーストインプレッションで買えばよかった。これぞ蚤の市の醍醐味。なんと戻ってきたら買われてしまっていたんです! ガーン。ショック。ということで、結局、私が見つけた「自分だけの宝物」は、幼稚園で使われていた木製の椅子、ボディのカーブが素敵な何かの空き瓶(フラワーベースに使いたい)、シナモンの木で出来たキャンドルホルダー(なんとシナモンの香りが本当にする!)の3点。このキャンドルホルダーが、持ち帰ってみたら我が家の布製のクリスマスツリーの台座にちょうどいい。嬉しい! 高校生の時に親友のお母さんが作ってくださったものなんだけど、セットでもらった台座を割ってしまってから、仕方なく色んなコップに乗せてたんです。シンデレラフィットを見つけてしまった。探してたわけじゃないけど不意に出会えるのも、蚤の市の魅力ですよね。
どこの誰がどんなふうに使っていたのかな、それを想像するのもロマンがあって楽しい。デッドストックは今のデザインにはない色形が素敵だ。波打つガラスなど、今はない素材もある。1つ1つの揺らぎが、魅力なんだと思う。くたびれた年輪のようなものを感じる。大先輩をお迎えする楽しさ。「こういう歳の取り方したいなぁ」とポツリを言ってしまいました。もちろん、『関西蚤の市』のどんな所に魅力を感じるかも、それぞれでいい、あなた次第だと思う。
大昔、初めての海外旅行のフランスひとり旅で訪ねた、パリの蚤の市で買った小さなロバの人形を思い出した。小さなピンバッチたちも。次にヨーロッパの蚤の市へ旅行するなんて、いつになるか分からない。もしかしたらもう行けないかもしれない。『関西蚤の市』ありがたいなぁ。来年は初日のオープン時間に行こうと心に決めるのでした。
取材・文=土井コマキ 撮影=渡邉一生

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