心斎橋PARCOがカオス過ぎる!仕掛け
人が語る、3周年に込めた想いーー熱
いライブ、300円グルメ、アートなど
30種以上のイベントで大盛況に

心斎橋PARCOが、2020年11月20日(金)に約9年ぶりに大阪・心斎橋の地に再びオープンしてから3周年を迎えた。記念すべき3周年のタイトルは『PARCO CHAOS JAM』。PARCOの強みであるアート・カルチャー・エンターテイメント・ファッションのイベントをごちゃ混ぜに展開する楽しさがタイトルにも表れている。「PARCOがもっと楽しく、おもしろい場所であるために」との想いで、11月25日(土)の音楽LIVE『PARCO MUSIC JAM』のほか、関西を代表するブランドのコラボPOP UP SHOPやお得なフード企画に、館内がまるごとアートギャラリーに変わるなど、大小さまざまなイベントが30以上も繰り広げられている。今回SPICEでは、3周年企画をディレクションした仕掛け人のひとり・加藤大智氏にインタビュー。ジャンルレスなイベントに込めた想い、そしてPARCOが心斎橋で商いをする上で目指す未来について話を訊いた。
「PARCO MUSIC JAM」 11月25日(土)@14F/SPACE14
ーー1991年から20年間営業され、2011年に惜しまれつつも閉業した心斎橋PARCOが、再び心斎橋に帰ってきて3周年を迎えました。2周年のタイトルは「FUN!」でしたが、今年のタイトルは「PARCO CHAOS JAM」に。心斎橋らしくもあり、さまざまなカルチャーを発信し続けてきたPARCOの尖った一面を打ち出したような賑やかなコンセプトですね。
今年は、これまでの心斎橋PARCOとはまた違った面をフィーチャーしてみました。どちらかというと心斎橋PARCOは、オープン当初の広告もこれまでのアニバーサリーイベントも大阪で言うところの「しゅっとした感じ」の見せ方をとっていたんですね。そこから3年間、僕が心斎橋に来てから2年半の間、いろいろな方と出会う中でいわゆるPARCOらしい「しゅっとした感じ」よりも、昔のPARCOが持っていたカオスな一面が大阪には合うのかもしれないと思って、今年は思い切ってそちらを前面に出してみることに。そもそも40代以下の方には、心斎橋にPARCOがあったことを知らない人も多くて……そこまでイメージがないのではないかと思うので、これを機にPARCOの「なんでもある」「なんでもやるんだぞ!」ということも知ってもらえたらなと。
心斎橋PARCO 3周年イベント「PARCO CHAOS JAM」
ーーまさに11月17日(土)から10日間に渡って行われている、約30種ものイベントのラインナップをみると「なんでもあり」ですよね。これは「CHAOS JAM」をテーマに企画・キュレーションを? それとも「こんなことがしたい!」「あれもやってみよう!」というのが集まった結果、「カオスだね」とタイトルに反映されたのでしょうか。
後者かもしれないですね。そもそも心斎橋PARCOはコロナ渦にオープンしたので、人と人が触れ合うことが難しい期間が続いて……。だけど、遅れてオープンした地下の飲食街「心斎橋ネオン食堂街」の中心にあるTANK酒場が賑わって、たくさんおもしろい方たちと出会う機会が増えるにつれて、PARCOがハブになり、いろいろな人たちが集まれる場所になることこそが、今後の心斎橋でプレセンスが示せるんじゃないかと改めて考えさせられたんです。なので今年の周年は、これまでに出会った関西のみなさんと一緒に、いろいろ人が集まれる場所、おもしろい人がたくさん集まる場所をつくりたいなと、たくさん企画を組んでみました。こうして私が代表してインタビューに応えてはいますが、入社1年目の社員も含め、心斎橋PARCOみんなでアイディアを出し合いながら実現していったので、ジャンルもバラバラ、世代を超えたイベントがごちゃまぜになっています(笑)。だけど、このカオスな感じこそが大阪・心斎橋らしさでもあると思うし、PARCOらしさじゃないかと、今年のタイトルになりました。それに心斎橋という街自体もカオスじゃないですか? アメ村があって、飲み屋の多い東心斎橋があって、御堂筋沿いにはハイブランドがあったり、少し先はオシャレな堀江があったりと、街のイメージとも親和性があるなと。
「Lullaby - BAND-T POPUP #6 SPECIAL LIVE」11月23日(木・祝)@14F・SPACE14
ーー数あるイベントの中でも、音楽イベントが象徴的ですね。
かつての心斎橋PARCOは、ライブハウスのクアトロがあったので積極的に音楽も発信ができていたと思うんです。だけど、今はクアトロも梅田にあり、地下のTANK酒場では積極的にイベントが開かれていますが、PARCOとしてはなかなか取り組めておらず……。僕は音楽が好きで、ライブハウスやフェスに行ってコロナ渦の制限がなくなった際の熱を直に感じているのと、PARCOでもこんな場所を作りたい、もう一度PARCOとして音楽を発信したいなという思いが強くなって。そこで14階の劇場・SPACE14を使っていただく予定があった、関西のイベンター・サウンドクリエイターさんに「一緒にやりましょう!」とお声がけさせていただき、今回実現することに。それで先ずは『PARCO MUSIC JAM』(11月25日(土)開催)を企画して、並行しながらバンドTシャツのポップアップイベントも館内で開催予定だったので「ライブもやりましょう」と『Lullaby -BAND-T POPUP #6 SPECIAL LIVE -』(11月23日(木祝)も開催することに。それから、ある日、ディジュリドゥ奏者で画家のGOMAさんが、「上でライブやるんでしょ? 一緒にやろうよ」と声をかけてくださって。これまでもGOMAさんとはPARCOでさまざまなイベントでご一緒しているので、このタイミングでご一緒できるのはうれしいなと。せっかくなので、大阪のバンドのDENIMSとTestaのスリーマンとさせていただきました。PARCO主催でここまでガッツリ音楽ライブを企画しているのも珍しいと思います。
3周年記念イベント「shinsaibashi Neon Nights」開催中~11月26(日)@B2F/特設会場
ーーそんな地下のTANK酒場の隣には、特設会場が設置されて「Shinsaibashi Neon Nights」と題して毎日イベントの開催も。
尼崎出身のラッパー・空音さん、地下のTANK酒場で飲んでいたところを紹介してもらって繋がったNIKO NIKO TAN TANのほか、PARCOらしいイベントとして渋谷PARCOに入っているライヴストリーミングスタジオ・DOMMUNEの配信番組など、大阪・関西とシナジーのあるライブやトーク、DJにマーケットなどさまざまな企画が1週間繰り広げられます。
ーー吹き抜けで地下からライブの音が館内に響き渡るのを想像するだけでもワクワクしますね……なにより毎日来ても違ったイベントが行われているのは楽しいですね!
まさに、そういう場所を作りたかったんですよね。この3周年のイベントを通して、PARCOで触れたものに興味を持ってもらえたなら、これほど素敵なことってないですから。ほかにも、雑誌「FUDGE」とタイアップした「純喫茶ファッジ」という、全国14店の“名物喫茶”とコラボしたファッションアイテムやフォトスポットになった空間演出が楽しめるマーケットが登場したり。
「純喫茶ファッジ in PARCO」開催中〜11月26日(日)まで@14F/PARCO GALLERY
webメディアのMAZERさんがキュレーターになってくださって、大阪を代表する人気ブランド・THE UNIONとMEKEARISAが、それぞれ親交のあるブランドやショップとコラボするPOP UP SHOP「CHAOS HUB」ができたり。FM802のDJ 板東さえかさんがセレクトしたアイテムや香港で買い付けてきたモノが並ぶ「ばんちゃんの古着屋さん」が1日限定で出店されたり。ほんとにカオスですよね……。
「ばんちゃんの古着屋さん」開催中〜11月26日(日)@B2F 特設会場
ーー館内のショップにも周年限定商品が並ぶんですよね。
期間限定の商品や特典を各ショップでも多数販売いただいてます! いいショップがたくさんあるので、これを機会にぜひPARCO全体のショップも知っていただけたらと思っています。
ーー気になったのは、この周年のオリジナルグッズなんですけど……。周年のグッズって、あまり作られてるのを見ないなと。
その周年のイベント期間だけなので、あんまりつくられないですよね(笑)。これは周年のデザインのために、イラストレーターのアワジトモミさんに動くイラストを描いていただいて。その中のイルカ(ぱるさぶろう)があまりにも可愛かったので、盛り上がった勢いでグッズもつくってみました。こだわりポイントとしては、周年なのに「PARCO」という文字が入っていないところ。せっかくなので普段使いしてもらいやすいようなデザインにしています。オンラインストアではありますが、周年期間中に来てくれた人が、イベントや出会いの思い出として買ってくれたりするといいなと。
ーーさらにフード・レストランの21店舗では、300円で楽しめるお得なメニューが登場する「#300YENいーね!」企画も。
3周年にちなんで、いろんなお店をハシゴして食事も楽しんでいただけたらと、300円のスペシャルメニューをご用意いただきました。夜は地下でイベントが行われているので音楽を楽しんでいただきつつ、フードやファッションなど、ふらっと立ち寄ってみて「おもしろそう!」「気になってた!」というものがあれば、ぜひいろいろ回ってみて楽しんでいただけると嬉しいなと思います。
「#300YENいーね!」開催中~11月26日(日)@B2F/心斎橋ネオン食堂街
ーー「ふらっと立ち寄ってみて」でいうと、心斎橋PARCOができてから少し人の流れが変わったようにも感じます。心斎橋駅直結というのもありますが、なかなか百貨店やファッションビルでここまでふらっと立ち寄りやすいのもめずらしいといいますか。「ふらっと1杯飲んで帰るか」みたいな気軽さがありますよね。
それはTANK酒場のマスター・古谷さんの存在が大きいと思います。普段から毎日のようにイベントを開催して、情報を発信して、人を集めてくださったり、この周年企画も地下のイベントのブッキングをご協力いただいたりしていて……。
ーー古谷さんは、かつてアメ村で「TANK GALLERY」や「digmeout ART&DINER」をされていて、90年代からアートや関西のカルチャーシーンを牽引されてきた存在ですよね。
そうなんです。オープンの際にも「飲食フロアであってもカルチャーを発信していきたい」という想いで、古谷さんとご一緒させていただいて。その古谷さんの信頼があるからこそ、おもしろい方や情報がPARCOに集まってきて、こうしてたくさんイベントを組むことができたともいえます。そうした姿勢やハブとなることは、PARCOとしてこの場所で商いをさせていただく上では目指すべきところだと思うんです。そういう意味でも、3周年経った今改めてそこを忘れちゃいけないよね、と。なのでまさに、終電間際の10分で1杯だけ飲みに来てくれる人がいるのも嬉しくて、ふらっと遊びに来ていただけたり、いろいろな場面で使っていただける場所になれたらと思っています。今回の周年イベントが、そのキッカケになるとなにより嬉しいですね。
「TANK酒場 presents NEON HOUR Special!」11月24日(金)@B2F/TANK酒場・喫茶
ーーきっとこの3周年を機に、心斎橋PARCOのイメージが変わったり、何か楽しいことがある場所という印象が根付いたりファンが増えるのだろうなと感じました。それだけすごいイベントのラインナップですよね。もう見たいチャンネル、全部あるやん!みたいな。
心斎橋PARCOチームと地元関西の方々でたくさんの企画を用意したので、どれかひとつでも琴線に触れていただけたら嬉しいです。いろんな世代の方に来ていただいてファンになっていただけるような3周年になったらと思いますので、ぜひ気になるお店やイベントがあればふらっと立ち寄って楽しんでみてほしいです!
取材・文=大西健斗 画像=心斎橋PARCO提供

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