くるり、地元・京都でドキュメンタリ
ー『くるりのえいが』舞台挨拶に登壇
ーー「レコードやCDのように、繰り返
し楽しんでいただけたら」

2023年10月13日(金)より公開となった、くるり初のドキュメンタリー映画『くるりのえいが』。本作の先行上映会が12日(木)に地元・京都のMOVIX京都にて実施され、舞台挨拶にオリジナルメンバーの岸田繁(Vo.Gt)、佐藤征史(Ba)、森信行(Dr)の3人が登壇した。
1996年に京都・立命館大学の音楽サークル「ロック・コミューン」に所属していた岸田、佐藤、森により結成された、くるり。『くるりのえいが』では、結成当初のメンバー3人が静岡の伊豆スタジオに集まり、アルバムを制作していく過程を追いかけるドキュメンタリーだ。くるりが今なぜ3人による曲作りを選択し、どのように曲が生み出されていったのか、普段は見ることができない音楽制作現場に密着している。
劇場公開前日の先行上映会は満員御礼。詰めかけたファンの温かい拍手に迎えられ、地元京都の舞台挨拶にメンバー3人が登場した。
岸田繁(Vo.Gt)
映画の撮影中で印象に残っていることを聞かれた岸田は、「音楽を作るひとつひとつの瞬間が全て」だと前置きしつつ、伊豆スタジオでの食事シーンで出てくる、大きなエビフライと湯豆腐が最も記憶に残っていると語り、会場の笑いを誘う。96年の結成後、さまざまなライブやレコーディングを行ってきたがあれほど充実した食事休憩はなかったと語り、「バンドのドキュメンタリーをたまに見ても、食べ物があんまり美味しくなさそうに映っていることが多い。険悪なときとか。だけど、美味しそうやったでしょ? 美味しかったんですよ。同じ釜の飯を食うと言いますけど、こうやって久しぶりに集まって同じご飯を食べて、同じとこで寝て、朝おはようと言ってレコーディングする。日常的じゃない感覚やったから、そういうところも音に反映したのかなと」と今までにない合宿形式のレコーディングが、楽曲制作に大きく影響したことを食事のシーンから振り返る。
森信行(Dr)
2002年に脱退した森も、今回の3人でのアルバムのレコーディングについて「ちょっとクサい言い方かもしれないですけど、 そうやって合宿で同じ感動を共有できたのは大きかったですね。 ちょっとリフレッシュしに伊豆の海に行ったり、風が気持ちええなとか、海綺麗やなとか、ご飯が美味しいという感覚をみんなで共有できたことで、 チームワークに繋がるようなとこもあったはず。そんな空気感も映画の中には入ってる気がします」と語った。
岸田も「コロナ禍で集まれないからリモートで音楽制作をすることもあったんですけど、こういう機会にみんなで集まって、顔を突き合わしてやれたことが貴重であり、懐かしくもありました。昔の仲間やからというのもありますけど、それ以上に、人と集まって音楽を作るのって楽しいなという気持ちでしたね」と改めて曲作りの原点に立ち返ったような感覚を明かした。
佐藤征史(Ba)
また、森とのレコーディングについて佐藤は、「やっぱり瞬発力のすごい人やなと。イントロっぽいギターリフが流れてきただけで、自分の中で道筋を作って、疑いなく『これが正解なんです!』と出してくれるから、曲が進んでいく、そんな感覚がすごくありました。それに合宿をしたことで、当時は絶対話してこなかったようなドラムに対しての考え方を聞けたりもありました」と振り返る。
劇中で制作した14枚目となるオリジナルアルバム『感覚は道標』が、10月4日(水)にリリース。12月からは、リリースを記念したツアー『ハードにキマる!つやなし無造作ハッピージェル』の開催も決定している。
森は「曲がおぎゃあと生まれた瞬間が、この映画で映し出されています。そこをまずは楽しんでいただいて、 アルバムにはそういう瞬間だけでなく、そこからまたちょっと成長しているところが楽しめたり、さらにツアーでは大人になった曲が観れるかもしれない。そういう風にして育っていく過程も面白いと思うので、ぜひツアーにも足を運んでください」と意気込む。佐藤は森が今回のツアーに参加することに触れ、「森さんともいい付き合い方をできたらと思っています!」とニヤリと笑顔をみせ、期待を膨らませる。
最後に岸田は、映画の公開に向けて「好きなレコードとかCDを繰り返し聴くこともあると思います。この映画は音楽作品でもあるので、同じく繰り返し観ていただけるといろいろな発見があるのかなと思っておりますので長く付き合ってやってください」とメッセージを送った。
映画『くるりのえいが』は、10月13日(金)より全国の劇場にて3週間限定で上映中。また各種配信サイトでのデジタル配信も行われている。
取材・文・撮影=SPICE編集部(大西健斗)

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