【CHIYU/SLAPSLY インタビュー】
視覚的にも聴覚的にも
新しい自分を見せたい
みんなと一緒に新しい色を
作っていきたい
では、アルバムの中の新曲についてうかがいたいと思います。SE的なポジションの「SLAPSLY in da house」はSLAPSLYのテーマ的な楽曲ですか?
SLAPSLYとしてのオープニングでずっと使い続ける曲にしたかったんです。なので、歌は女性コーラスにして、ベースはシンセベースで。本当は生で弾きたかったんですけど。その代わり、音にはめちゃくちゃこだわりました。
太くアナログな音なので生と打ち込みを混ぜたのかと思いました。
リアルな音を探しました。シンセベースは生より太い音になるので、ロー感を損なわないようにミックスしたんです。ギターのカッティングを絶対に入れたかったので音数は少ないんだけど、派手でお洒落に聴こえるような曲にしたかったんです。
ジャンル的にはファンク色が強いですね
基本的にファンク軸ですね。SuG後期からファンク系のギターがめっちゃ好きなんですよ。「Egoistic GAME」もそうで、ベースはスラップ。そういう曲が結構増えましたね。
なるほど。リード曲「Diary of Life」はメロディックで気持ちの奥まで曝け出している歌詞が刺さってきますが、やはりファンに向けた曲ですか?
曲自体は1年以上前からあったんです。ただ、当時はこの曲をやるなら歌詞が大事だし、今はまだ書けないと思って温めていたんですね。ファンに向けた曲は「Regret」「未完成のヒマワリ」「I've found you.」など何曲かあるんですが、今まで書いたメッセージを総括して今の気持ちを入れた歌詞にしたのが「Diary of Life」なんです。“過去を回収して、ここからまた未来に進んでいきましょう”っていう曲にしたくて。
特にファンに伝えたかったメッセージは?
“推しは推せる時に推しておけよ”っていうことですね。気がついたら推しがこの世にいなかったり、音楽シーンにいなかったりすることもあるわけで、自分自身、みんなが推してくれているからこそ活動できているわけだし、そういうことが全部連なって重なっているから、今のCHIYU色になっていると思うんですよ。ファンの子たちも結婚したり、子供が生まれたり、いろいろなことがあって、自分の色が毎日変わっているわけだし、今の色は自分だけでは作り出せなかった。これからみんなと一緒にまた新しい色を作って“これがSLAPSLYですよ”というのをちゃんと提示したかったんです。
そんな想いが衣装やアートワークにつながっているんですね。
そうですね。いろんな色が重なっていって渋い色になってもいいし、可愛い色になってもいい。“これからどんな色になるのかな?”っていう問いかけでもありますね。明日、死んでもかまわないような生き方をしていたら、すごくカッコ良い色になると思うし。
《もし明⽇死ぬとしたら⽣き⽅が変わるのですか?》という問いかけが歌詞に入っていますが、それはCHIYUさんの人生観でもある?
燃えている男気が伝わってきます。「wiΘ U」もファンに向けた曲なのでは?
そうですね。《⾜跡を重ねて》と書いていると思うし、ファンに対して思っていることの根本は変わらないんですよ。
疾走感があってドラマティックでキャッチーな「Get over it...」は?
新曲の「Get over it...」と「Infinity & Beyond」では“もしもシリーズ”をやってみたかったんですよ。
もしもシリーズ?
例えば「Get over it...」は“もしも俺がアニメ『僕のヒーローアカデミア』の曲を作ったら?”というテーマで書いたんです。
分かります!(笑) アニソンっぽい展開の曲だと思いました。
あははは。“もしも自分がアニソンの主題歌を書くなら、どんな曲でどんな歌詞になるんだろう?”って自分が知りたかったんです。背中を押すような曲は共通項だと思ったし…実は今作のアートワークを担当してくれたCigarette-burnsさんとは面識なかったんですけど、ネット上でお願いしたら承諾していただけたんです。改めて踏み出す勇気の大切さを感じたから、それを歌詞にしたいなって。
「Infinity & Beyond」の場合は?
これは“もしも『トイ・ストーリー』のテーマ曲をロックバンドが作ったらどうなるんだろう?”ですね(笑)。タイトルは映画で有名なセリフ“To infinity and beyond!”からとったんです。“無限の彼方にさあ、行くぞ”みたいな。歌詞の1行目《暗闇に紛れて 動き出す影》はオモチャのことだし(笑)。
ライヴで盛り上がりそうなパーティチューンですね。
今まではベースを弾かずに歌う曲はバラードやスローな曲が多かったんですけど、ポップで明るい曲調のものが欲しかったんです。
じゃあ、踊るんですか?
踊りはしないですけど(笑)。でも、ヴォーカリストとしての進化が試される曲もなると思ってます。
情緒的なナンバー「月と影と私」は?
この曲は歌詞に難航しましたね。月の光と影じゃないけど、二面性を表現したかったんです。自分の二面性や好きな人の二面性について書きたくて。歌もオクターブ上とオクターブ下をずっと重ねているんですけど、そこもテーマに沿った録り方をしています。
ちなみに恋愛ソングは女性目線が多いんでしょうか?
そう言えばそうですね。ただ、「月と影と私」には英詩の部分に男性目線を入れているんですよ。両方の視点から書いたのは初めての試みですね。
まさに新しいSLAPSLYと過去のCHIYUさんが共存しているという。最近ではSuGが39日間限定で復活しましたが、刺激を受けた部分は?
刺激というよりも、個人的には来てくれた人たちが純粋に楽しんでくれたら満足だったんですよね。もちろん懐かしさはありましたよ。“こいつら、楽屋におる時、こんなんやったな”と思ったし(笑)。
久しぶりのメンバーとステージに立ったわけですからね。
そうですね。昔、難しいと感じた曲がうまく弾けるようになっていたり、いろいろ発見はありましたね。それとセンターに立つようになったから、今まで気づかないことに気づけるようにもなって。例えば“今はヴォーカルが水飲んでるタイミングやから俺が煽ろう”と思ったりとか。それと以前はファンに引っ張っていってもらっている部分があったけど、もっとこっちが引っ張らないとダメだって奮い立たせられました。そこはソロにつながる刺激になったかもしれない。
最後にSLAPSLYとして初のツアー『SLAPSLY in da house ~OUTBURST~』で見せたい景色、見たい景色は?
今までやってきたことは間違いだとは思っていないので、CHIYUとしての活動を土台に、もっと五感を刺激するステージを見せたいと思っています。これまではサポートメンバーと表現していたけれど、“SLAPS MEMBER”という呼び方になるし、衣装も統一します。視覚的にも聴覚的にも新しい面を見せられるだろうし、ソロとしての自覚をもっと持って真ん中でどっしりと構え、自分自身の在り方や楽曲を初日からしっかり提示しないとダメだと思っています。
それぐらい自分を追い込んでいるわけですね。
はい。期待してもらって“ファイナルも絶対に観に行こう!”と思わせたいですね。
取材:山本弘子
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アルバム『OUTBURST 〜The best of the CHIYU〜』2023年9月27日発売
FUN ALL MUSIC
- 【限定盤】(CD+DVD)
- FAM-10006L
- ¥7,500(税込)
- ※トールケース
- ※32Pブックレット
- ※オフィシャルWEBショップ、ライヴ会場等で販売
- 【通常盤】(CD)
- FAM-10006
- ¥3,500(税込)
『SLAPSLY 1st TOUR 「SLAPSLY in da house ~OUTBURST~」』
10/28(土) 東京・渋谷 SHIBUYA REX
11/03(金) 愛知・名古屋 ell.SIZE
11/04(土) 大阪・心斎橋 OSAKA RUIDO
11/11(土) 東京・代官山 SPACE ODD
SLAPS MEMBER:JOHN(Gu)、宏崇(Dr)
チユ:ロックバンドSuGのベーシストとして2007年に活動開始。10年にメジャーデビュー。精力的に活動を続け17年9月に開催した日本武道館公演を以てSuGは無期限活動休止に入るも、同年12月20日には解散。約10年間のバンド活動に終止符を打つ。解散後、間髪入れずに同年12月27日よりソロミュージシャンとして活動を開始。名前表記を“CHIYU”とし心機一転ゼロからの再スタートを切る。18年、ヴォーカル&ベースというスタイルでソロミュージシャンとして歌手デビュー。自身の好きなJ-POPをベースに作られる楽曲と甘い歌声が、バンド時代とは全く違う独特の世界観と音楽性を確立した。音楽のみならず、ドラマと舞台『御茶ノ水ロック』に主要キャストとして俳優デビューも果たした。ソロでのライヴやCDリリース、さまざまなバンドのライヴサポートなど精力的に活動を続け、23年9月、ソロ活動5周年を機に個人名“CHIYU”からソロプロジェクト“SLAPSLY”として活動スタート。CHIYU オフィシャルHP
スラップスライ:個⼈名でソロ活動をCHIYUが、ソロ活動5周年という節⽬と2023年9月発表の『OUTBURST 〜The best of the CHIYU〜』のリリースを機にスタートしたソロプロジェクト。プロジェクト名の“SLAPSLY”は“SLAPS=スラング⽤語で最⾼、素晴らしい”と“SLY=イタズラ、ズルい”をかけ合わした造語で、“ズルいほどカッコ良い”という意味と、ベーシストのスラップ奏法にもかけ、ソロベーシストとしての意味合いも込められている。SLAPSLY オフィシャルHP
『OUTBURST
〜The best of the CHIYU〜』
Trailer