L→R 藤田千章(Key&Syn)、佐藤竹善(Vo、Gu&Key)、西村智彦(Gu)

L→R 藤田千章(Key&Syn)、佐藤竹善(Vo、Gu&Key)、西村智彦(Gu)

【Sing Like Talking インタビュー】
3人の個性が際立つ3曲を収めた、
35周年を飾るニューシングル

デビュー35周年を飾るニューシングルのリード曲は藤田千章(Key&Syn)が作詞作曲を担当。カップリングに西村智彦(Gu)が手がけたインストゥルメンタル「おやじ飯のテーマ」と一昨年リリースしたシングル曲「Child In Time」の英語バージョンを収め、さらには今年4月に開催したライヴからの音源3曲を加えて、Sing Like Talkingの現在を立体的に伝える、まさにアニバーサリーアイテムと呼ぶに相応しい内容だ。

2年振りだし、
画期的な空気感を出したかった

今回のシングルの制作はどんなふうに進んだんですか?

佐藤
今回は僕がいきなり“千章さんの作詞作曲で行きましょう。僕は曲を書かないので、西村さんもインストか歌モノのどっちかで”と宣言したんです。

それはどういう考えから?

佐藤
まず、昨年の4月に出た千章のソロアルバム『un-categorized [Default]』の中の、歌モノの世界観がいいなと思ったので。で、シング・ライクは今回46枚目のシングルなんですが、2年振りということだし、何かしら画期的な空気感を出したかったというのはあります。

画期的な空気感?

佐藤
何かしらの新鮮さは大事だなと思って。特に僕らぐらいキャリアを積むと、そういうことが必要だというのは、この数年すごく感じていて、そういう意味では千章の曲がシングルになるというのは、僕が書く曲とは全然タイプが違う曲調なので、非常に印象が強いんじゃないかと思ったんです。僕自身は「Child In Time」の英語バージョンをしっかりと仕上げて、2年前に出したあの曲が最終的にどういう伝わり方がしたいかということを示したい気持ちもありましたから。

千章さんは竹善さんのいきなりの宣言を、どういうふうに受け止めたんですか?

藤田
実は竹善からそういう提案がある前から、シングルのタイトル曲になるとかは関係なく、トラックを作り始めていたんです。そのデモ段階っていうか、ピアノとメロの段階で、とりあえず竹善に聴いてもらって、キーの問題とかメロとしてどうなのかというようなことも相談して。そしたら、逆にいろんなアイディアをもらって、それで今のかたちになったという感じです。

竹善さんに相談する以前に、千章さんの中でこの曲を作っていく上で、何か意識されていたことはありましたか?

藤田
最近の曲は尺が短いので、その短さに収めたいっていうのは、すごく意識していました。サウンド的にはローファイ的な、あるいはチルビート的なニュアンスを残しつつ、でもホーンセクションを入れたいとは思っていましたね。

“Blue Birds”というタイトルから童話の『青い鳥』の話を連想する人は多いと思いますが、歌詞についてはどういう気持ちの流れの中で書かれたのですか?

藤田
“Blue Birds”というと、もちろんみなさんの知っているモーテル・メーテルリンクの『青い鳥』を想像するんでしょうが、僕の中では単純にそれは幸福の象徴だったりするんで。で、“その歌詞の中で何が言いたいんだ?”ということを考えた時に、なんとなく“これが言いたいんだ”というふうにはしたくなくて。だけど、何か言わなきゃいけないんで(笑)。それは年齢的なこともあるんでしょうけど、言葉の世界なので等身大でいいかっていうところで、ナチュラルに思っていることを書きました。それがどこまで伝わるかは、たぶんいろんな拾い方ができると思うし、それがまた面白いんじゃないかなっていうことですね。

2曲目「おやじ飯のテーマ」は西村さんのインスト曲です。西村さん、この曲はどんなふうに生まれたのですか?

西村
『おやじ飯』(2018年9月出版の料理本)を出したあとに一緒にやっていた金澤健太と“この際だから、ふたりでユニットみたいな感じでやらない?”という話になって、その話をスタッフに伝えたら、“だったら、本の第二弾としてYouTubeなりでいろんな動画をアップして、同時進行でまずはテーマソングみたいなものを作って、その過程までもアップして…というふうにやっていくのが面白いね”という話になったんで、あのテーマをまず作ってみたんですけど、その後、僕が病気になってしまいまして…。その動画の企画は止まってしまい、楽曲だけが宙に浮いているという状況だったんです。そこにシング・ライクが新しいシングルを出すという話が出てきたので、“だったら、これ使っていい?”という話をまずメンバーのおふたりにしたら“いいよ”と言っていただいたので。“せっかく作ったのに宙ぶらりんのままじゃ曲も可哀想だしな”とも思いますし、ちゃんと完成させて世に出そうということで作らせていただきました。

この曲のモチーフは、西村さんの中の料理をすることについてのイメージを音楽化してみた感じでしょうか?

西村
いや、ただ単にこういう感じの曲が、例えば調理中に流れてきたら楽しいんじゃないかなっていうイメージですね。

3曲目は先ほど竹善さんの話にも出た「Child In Time」の英語バージョンですが、“英語バージョンをしっかり仕上げたかった”ということは、竹善さんの中には当初から英語バージョンがあの曲の完成形だというイメージがあったんですか?

佐藤
いや、そういうわけではなくて、日本語と英語が半々のバージョンと英語のバージョンと両方あるのがいいということですね。それは“言語としてどっちが伝わりやすいか?”、そして“どっちのほうが聴く人によって、すっと入っていくか”というような意味で、そのオプションを増やしたかったということです。あの曲に関しては最初から伝えたいこと、そのメッセージの部分が長期的に何かのきっかけで伝わればいいなっていうスタンスで作ったし、今のネットの時代になって新曲の出し方のスタイルもいろんな幅がある時代になったので。それにあの曲はコロナの時に書いたものではありますが、コロナが収まってきたと思ったら、今度はウクライナとかスーダンとかミャンマーとか、いろんなところでいろんなことが起きていて、子供たちの不安という部分に関しては全て同じなので、そういうところに関して子供じゃなくて大人が目を向ける、そのきっかけになればいいな、またいつかそうなればいいなと思って、日本語と英語のバージョンに加えて全編英語のバージョンも作ったという感じです。
L→R 藤田千章(Key&Syn)、佐藤竹善(Vo、Gu&Key)、西村智彦(Gu)
シングル「Blue Birds」

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着