神里優希、結成から4ヶ月で大きく成
長した地元の後輩らの姿見届けるーー
神戸セーラーボーイズ『Boys×Voice
308』のテーマは「自分らしさ」

8月4日(金)〜6日(日)、AiiA 2.5 Theater Kobeで演劇ユニット・神戸セーラーボーイズ(以下、神戸セラボ)が第2回目の公演「神戸セーラーボーイズ SF(セミフィクション)『Boys✕Voice 308』」を上演した。6月に行われた初演で欠席だった奥村頼斗も揃って、10人全員での初めてのステージとなる。さらに初のゲストとして俳優の神里優希(8月4日、5日)と矢田悠祐(8月6日)が出演。今年4月の結成時から神戸セラボを追いかけてきたSPICEでは、今回も新作公演のゲネプロの様子をお届け。さらに神里とメンバーへのインタビューも特別に行なった。初演からまたひとつ成長し、それぞれの個性が際立つステージになった本公演は、彼らの伸びしろの大きさを実感できるものでもあった。
下段 左から津山晄士朗、神里優希、崎元リスト、上段左から中川月碧、塚木芭琉、石原月斗
神里優希 x 神戸セーラーボーイズ 特別インタビュー
まずはゲネプロ前に、神戸セラボの塚木芭琉、中川月碧、石原月斗、津山晄士朗、崎元リストの5人と、ゲストの神里優希に独占インタビューを実施。数々の舞台を踏んできた大先輩とのインタビューに緊張しつつも、キラキラとした憧れの眼差しを向けていたメンバー。神戸出身である神里の、地元への想いを知ることもできた。
ーー神里さんはゲスト出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか。
神里:めちゃくちゃ嬉しくて。僕も神戸出身で、関西から徐々に芸能活動をやらせていただいてきました。地元神戸で何かを作って、地元神戸から何かを発信していくのはすごいこと。それこそイベントをやったり、イスズベーカリーさんとコラボしたり、本当に羨ましいなと。僕も一緒に神戸で何かをやりたいというのが1つの夢でもあったので、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
ーー実際、カンパニーに入られてみていかがですか。
神里:最初会った時は、やっぱり関西人ならではの勢いとエネルギーがすごくて。朝(稽古場に)行ったら、挨拶でゼロ距離まで来る(笑)。僕も東京から来てるので、「先輩風吹かしたろかな」と思ってたんですけど、全然負けるぐらいのパワーとエネルギーでした。そこはやっぱり東京にはない魅力やなと思う。僕がお力添えできてるかわからないんですけど、「関西にもこうやって活動している人がいるんだぞ」ということを、もっと色んな人に知ってもらいたいですね。
ーー神戸セラボの皆さんに会って、神里さん自身も関西人の部分が出てきましたか。
神里:東京にいる時は標準語で喋るのが基本になっちゃってるんですけど、一緒にいる時は関西弁がガンガン出たり。お芝居もずっと関西弁ですし、関西の血が騒いでます(笑)。
左から神里優希、中川月碧、塚木芭琉
ーー皆さんは初めてのゲストを迎えての稽古はどうでしたか。
中川:最初はやっぱりメンバー以外の方が来られるというので緊張はありました。でもお話させてもらった時に温かいオーラがすごく出ていて、安心感が強かったです。お芝居やお仕事の悩みや相談を聞いていただいて。役者の先輩としてもそうですけど、人生の先輩として勉強になることが多かったです。
神里:そんなことないっすよー(照)!
崎元:(神里さんが)来た瞬間、本当に心強かったです。役者の大先輩として憧れがあったので、「会えるんや」と。しかも一緒の舞台に立てて演技をするのがとても光栄で。緊張もありましたけど、心強さや安心の方が大きかったです。
ーー緊張しましたか。
崎元:いやもう、それは緊張しました。
神里:最初会った時、全然そんな感じじゃなかった(笑)。毎日「うわー!」みたいな感じで、今でも帰る時「お疲れ様でした!」と言ってめっちゃ走ってくるしね。中学生も高校生も寄って来てくれるんで、めっちゃ嬉しいです。いきなり10人弟ができた感じです。
作中でもムードメーカーの崎を演じる崎元リスト
ーー崎元くんはムードメーカーのイメージがありますが、楽しかったですか。
崎元:とても楽しいです! 神里さんと稽古できるとなったら学べることが全然違うし、演技でも立ち姿でもたくさん学ぶことがあったし。あと一緒にいて楽しいんですよね。だからもう幸せでした。
神里:最初の方はどうやってコミュニケーションを取っていこうかなと、結構悩んでたんです。10人の中にガツガツいくのも何か違うし、でも話さなさすぎるのも来た意味がないなと思って。僕も先輩に「先輩としてどう接したらいいんですかね」と相談したんですけど、「(先輩には)なろうと思ってなるもんじゃない、そのうちなっていくもんやから」とアドバイスをもらって。そこで、自然体の自分でいた方が皆も関わりやすいのかなと。ある日の稽古終わりに「皆、写真撮ろう」と言って、そこから皆と距離が縮まりました。
ーーSNSに上げてらっしゃった写真ですか。
神里:そうです。写真を送るためにLINEを聞いたら「LINEしていいんですか! 電話していいんですか!」とぐいぐい来て。(津山も)「誕生日LINEしていいんですか」と聞いてくれて、嬉しいですね。
下段 左から津山晄士朗、神里優希、崎元リスト、上段左から中川月碧、塚木芭琉、石原月斗
ーー神戸セラボのグループとしての魅力をどう見られますか。
神里:仲が良いし、全員関西人というのもあって思い切りが良いですね。しかも勢いだけじゃなくて、歌もダンスもしっかりしてる。僕が10代の頃は全然できなかった。皆10代なのに堂々と舞台に立っているのはすごいなと思います。
ーーSNSに「尊敬できるところもたくさんある」と書いておられましたが、どういうところが尊敬しますか。
神里:遠慮しないところですね。遠慮は舞台に立つ上で必要ないと思うので。ガンガン来てくれることが良いなと思います。
左から石原月斗、髙橋龍ノ介、塚木芭琉
ーー神戸セラボの皆さんは神里さんからアドバイスをもらったりしましたか?
石原:舞台稽古でまだマイクをつけていない時に、声が向こうに届いているか、エネルギーが客席の方にちゃんと届いてるかを神里さんに教えてもらいました。最初の稽古で、芭琉くんと月碧くんと侑成くんと5人で話した時も色々相談させてもらいました。すごく優しく、親切に丁寧に教えてくださって。やっぱり尊敬するなと。
塚木:僕は舞台の見せ方をよく聞いていました。役作りをする上で自分の中で試行錯誤してみるんですけど、舞台に立つとどうしても自分には表現しきれなかったり、うまくいかなかったりする部分がいっぱい出てきます。そういう時は意見をお聞きしました。目線や姿勢もそうなんですけど、一言いただけるだけで自信に繋がって、そこが自分の中で1番ありがたかったです。
津山:僕は10人で踊る手拍子のところで「もっと大きく見せて」というアドバイスをもらいました。あとは劇中の神里さんの演技を袖で見てて、立ち姿や目線、どういう表情をしてるんだろうというのを見て学ばせてもらいました。
左から田中幸真、津山晄士朗
ーー神里さん、今津山くんをじっと見てらっしゃいましたね。
神里:可愛いですね(ニコニコ)。いつもは僕も後輩の立場の方が多いので、先輩として皆にどう言葉をかけたら伝わるのか、どうしたら嫌な言い方にならないのか、色々考えながら関わらせてもらっています。僕自身もすごく勉強になってますね。
すっかり神里に懐いた様子のメンバー。短い時間ながら神里もメンバーを可愛がっている様子がよくわかるインタビューで、良い関係性が築けていることが伝わってきた。最後に全員に語ってもらった本公演への意気込みをどうぞ!
十人十色の個性が存分に発揮された、ハートフルな新作公演
続いてはゲネプロの模様をレポートしよう。今回も第1部が芝居、第2部がライブという構成で、脚本は優木鈴、演出は冨田昌則、振付は後藤健流、音楽は松田純一が担当した。
初演は舞台のオーディションに合格した10人が、すれ違いや分裂を乗り越えてチームとしての結束を固めていくというストーリーだった。今回の公演では、その続きが描かれる。
神戸の街並みを思わせる舞台に、波の音が涼しげに流れる。そして塚本晴人(塚木芭琉)、中城碧月(中川月碧)、明石田侑(明石侑成)、石川幸斗(石原月斗)、奥田頼(奥村頼斗)、崎フランツ(崎元リスト)、摂津士郎(津山晄士朗)、中田颯真(田中幸真)、細貝奏(細見奏仁)、大橋虎ノ介(髙橋龍ノ介)が、それぞれのメンバーカラーを反映したカラフルな衣装で登場した。
物語は彼らが出演するイベントの本番前から始まる。裏でスタンバイする10人は和気藹々とした雰囲気で、アドリブで手押し相撲をしたりサッカーボールで遊んだりとリラックスしている。しかし本番直前になり、イベントの演出家から、歌以外にも1人ずつ「魅力のアピール」をしてほしいと告げられる。それぞれ思い思いに自分の魅力を表現するメンバーだったが、塚本だけが自分の魅力をうまく見つけられず、1人悩み、迷走し始める。
左から神里優希、塚木芭琉、中川月碧
公演は歌とダンスを交えながら進行する。初演は比較的しっとりした楽曲が多かったが、本公演では明るく元気な楽曲も増え、ダンスシーンもダイナミックに。新たな神戸セラボの一面を感じられる内容になっていた。何よりも、6月公演からのメンバーの進化が素晴らしく、歌唱力とダンススキルの上達ぶりは明らかで、力強いエネルギーが伝わってきた。
神里の存在感はさすがの一言。彼がステージに上がると空気が引き締まる。温かく頼もしい先輩の存在に、神戸セラボのメンバーも安心して演じているように思われた。
ダンスが得意な中川月碧
アクロバットを披露する石原月斗
今回は「魅力・自分らしさ」がテーマとあって、フラメンコやダンス、アクロバットなど、それぞれの得意分野が際立つシーンも多かった。さらにそこから内面の魅力が伝わる見せ方もあり、神戸セラボを深く知ることができたように思う。自分の魅力はなかなか自分ではわかりにくいもの。誰しもが抱えうる葛藤を表現した塚木と、彼の個性や魅力を認め、支え合うメンバーの姿、それを見守る先輩の関係性が垣間見える心温まる物語となっていた。これは実際の彼らの関係性にもリンクしているのだろう。
客席も舞台の一部に
なお、先日SPICEで公開した「メトロこうべ」主催の七夕イベントのレポートでも触れていた、イスズベーカリーとのコラボ記事を事前に読んでもらえると、より楽しめること間違いなし。
第2部はライブパート。今回は明るいポップスや歌謡曲が使用され、ダンスや構成のバリエーションがグッと豊かになった。うちわやペンライトの持ち込みも推奨され、客席も一緒に空間を楽しめるようになっていた。
タップダンスに挑戦する細見奏仁、津山晄士朗
魅力と個性が際立つ構成は第2部でも反映されており、タップダンスやピアノ伴奏、今だから出せる少年期のソプラノも美しかった。今回初出演の奥村も、聴く人を引き込む歌唱力を存分に響かせた。高校生組の豊かになった表現力や、中学生組のフレッシュさをしっかりと感じられる内容で、10人のチーム感もより一層強固なものになっていた。
美しい歌声を響かせた奥村頼斗
第2部への進行をつとめた元原(神里)は彼らにエールを送っていたが、きっとその言葉には、神里自身の気持ちも大いに込められているだろう。ゲストのソロ曲もあるのでぜひ楽しみにしてほしい。
今回から新たな一面が見える役も
また本作で「神戸」と「神戸セーラーボーイズ」をテーマにしたオリジナル楽曲を初披露。<十人十色のヒストリー>というキーワードはまさに彼らの等身大の道のりを示すものだろう。
さらに2023年11月、AiiA 2.5 Theater Kobeにて、神戸セーラーボーイズ 定期公演 vol.1 『ロミオとジュリアス』『Water me! 〜我らが水を求めて〜』の上演が決定した。『戯曲 MANKAI STAGE『A3!』〜SPRING & SUMMER 2018〜』の劇中劇を一部脚色し、神戸セーラーボーイズ版として上演する。いよいよ、彼らのもうひとつの軸である「定期公演(著名な物語を楽しく彼ら色にアレンジする)」がスタートする。
経験と実力を積み、著しい成長スピードの神戸セーラーボーイズの10人。個々のキャラクターと個性が全面に出るようになった今後の彼らはどんな景色を見せてくれるのか。次回公演が楽しみだ。
取材・文=久保田瑛理 撮影=高村直希

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