亜咲花

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【亜咲花 インタビュー】
個性を出していかないと、
亜咲花が歌う必然性がなくなる

アルバムのタイトルは
いつも年齢に合わせて決めています

アルバム『Who’s Me?』は歌声の表現の幅広さが存分に発揮されていますね。

ありがとうございます。歌声の幅広さを活かしたいというのは、いつもスタッフさんとも話しています。アニソンシンガーの中にはロックやEDMとかにジャンルを絞っている方もいらっしゃるんですけど、自分は意外と何でも歌えることに徐々に気づくようになりまして。幅広く歌っていく中で新しい自分と出会うきっかけを見つけることもできるので、ジャンルを自分から指定することはあまりないんです。基本的にアニソンに関しては、いただいた楽曲に染まっていくものだと思っています。あくまでもアニメ作品が第一優先なので、そこに亜咲花のカラーをあまりにも押し出すっていうのは基本的にはやらないですね。

シンガーとして作品を輝かせたいという姿勢ですね?

まさにそうなんです。気持ちは裏方ですね。でも、そこでもやっぱり亜咲花の個性を出していかないと、私が歌う必然性がなくなってしまう。個性も出していかないと次につながっていかないので、例えば歌詞に英語を入れたりもしていて。あと、自分は意外とソウルフルな歌い方が合うことが分かって。『ゆるキャン△』に出会ってR&Bとかが合うことに気づいたんです。

ご自身の歌の可能性を広げていくことに対する積極的な姿は、このアルバムからも感じます。歌謡曲風の「追想」も収録されていますからね。

歌謡曲は初めてのチャレンジでした。アニソンではなかなか歌う機会がないジャンルが存在していて、そのひとつが歌謡曲だったんです。私自身、もともと歌謡曲も好きで、カラオケでちあきなおみさん、高橋真梨子さん、渡辺真知子さんなど、70年代や80年代の女性歌手の曲を歌っていたんです。でも、それを亜咲花の曲に反映しようという発想になることはなかったんですよね。なので、この機会にチャレンジしてみました。

「追想」の話はインタビューの最後のほうにしようと思っていたのですが、ここで先にしてしまいましょう(笑)。亜咲花さんが書いた歌詞も歌謡曲的なワードが満載ですね。

《ネオン》《トレンチコート》《波止場》《カモメ》とか、昭和を連想できるようなワードを盛りだくさんにしたんです。この連想ワードは昭和の歌謡曲をリアルタイムで体験してきた方々から教えていただきました。

楽しみながら作っているのも伝わってくる曲です。

“バラエティー枠”と言うと失礼になってしまいますけど(笑)。でも、“亜咲花、面白いことやってんな”と思っていただけるような曲がひとつ欲しかったんです。ライヴでどんな感じで歌うのかを考えているんですけどね。アニソンを歌っている流れの中で急に歌うのも何か違うし(笑)。今後のライヴにいらっしゃる方々は、この曲をどこで出すのかにも注目していただければと思います。

「追想」も含めた多彩な歌を歌うことを通して“亜咲花とはどのようなシンガーなのか?”と見つめ直す意味を込めて、“Who’s Me?”というアルバムタイトルをつけたのでしょうか?

それもあります。自分がこの先、どういう歌手活動をしていきたいのかを改めて考え直す時期なのかなと。昨年の10月に事務所を移籍してから初めてのアルバムなので、心機一転、自分と向き合う時だと思っていました。アルバムのタイトルはいつもその時の私の年齢に合わせて決めていて、19歳の時は『19BOX』(2019年1月発表)、二十歳の時は『HEART TOUCH』(2019年10月発表)。今回は23の“2”と“3”を日本語の“ふ”と“み”に変えまして、『Who’s Me?』です(笑)。

(笑)。言葉遊びがお好きですよね?

好きですね。歌詞を書く時も“耳だとこう聞こえるけど、歌詞カードを見ると違う”みたいな空耳的なことも取り入れています。

「Triple Crown」も歌詞を書いていらっしゃいますね。この曲はサウンドも歌もとにかくカッコ良いです。

アーティスト活動を7、8年やってきたので、ここで自分に気合いを入れるパンチのある曲にしたかったんです。“Triple Crown”というタイトルが先に決まっていたので、“このタイトルに合った曲を作らないと”という逆算していくような作り方でしたね。

亜咲花さんはハードな曲も似合いますよね? 戦士みたいな雄々しさを感じることがよくあります。

ありがとうございます(笑)。気持ちは戦士です。ステージに立つ人は自信がないと、すぐにお客さんに分かってしまうものなんですよ。それが分かってしまったらプロとして負けだと思っていて。ライヴに来ていただくお客さんが“やっぱ亜咲花が一番だな”と感じる存在でなければいけないと思っています。

「Triple Crown」は歌詞がとても力強く、《与えられてる武器 をちゃんと把握-Input-し》というフレーズが印象的です。

“みなさんはどんな亜咲花を求めていて、これから生き残っていくためにはどんな自分であるべきなのか?”というのを、私はいつも頭の中で考えているんです。自分から考えていないと説得力がないと思っているので。

セルフプロデュースに対して積極的ということですね?

はい! 私は『週刊プレイボーイ』さんでアニソン歌手初のグラビアをやらせていただいて出版した写真集がkindleで1位になったり、誰もやっていないことをやるのも大事にしています。競馬が好きなので、競馬のお仕事も増えてきています。アニソン歌手の中で競馬に特化した人はまだいないと思いますし、まだ誰もやっていないことの先駆けになるっていうのは大事なんですよ。そのためにも自分が持っている武器を最大限に活かしていかないとダメだと考えているので、「Triple Crown」はこういう歌詞になりました。

《心地良い輪舞曲に》の《輪舞曲》の巻き舌にも痺れました。

嬉しいですね!

レコーディングの時に咄嗟に出たんですか?

ライヴのMCもそうなんですけど、レコーディングでも“こう歌おう”とかを事前に筋書きを描くことはなくて。バンドメンバーに申し訳ないのでセットリストは事前に決めますけど、気持ちとしてはその場で歌う曲を決めたいくらい、その時々の感情を大事にしています。

この巻き舌のテイクも自然と出てきたので、“これでいきましょう!”ということになったんですね?

はい。でも、レコーディングではいろいろなチャレンジをするので、“これはやりすぎだね”とかなることもたくさんあります(笑)。

(笑)。「Triple Crown」は宮殿のような空間で撮影されたMVも素敵です。

同じロケーションのように見えて、実は1日で3カ所のスタジオを使って撮ったんです。「Triple Crown」というのは競馬の三冠から来ていて、“アニソン界でトーク、ビジュアル、そして歌唱力で三冠を獲っていこう!”という願いも込めて、札束を投げたりチェスを弾いたりするギャンブル性がある要素もMVに入れています。この業界はチャンスを掴まないといけないし、運も必要ですし、駆け引きも大事ですからね。

OKMusic編集部

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