L→R 佐藤純一(Key&Cho)、towana(Vo)、kevin mitsunaga(Sampler、etc.)

L→R 佐藤純一(Key&Cho)、towana(Vo)、kevin mitsunaga(Sampler、etc.)

【fhána インタビュー】
幅広く聴いてもらえる
きっかけになればと思い制作した

円を超えて螺旋状に
上がっていくイメージ

「Spiral」の作詞はtowanaさんですが、タイトルもですか?

towana
いつもは歌詞を書き上げてからタイトルを考えるんですけど、今回はタイトルからつけて、ラップ以外の歌詞を書いて、ラップの歌詞は“螺旋やスパイラルなどのワードを入れてください”と林さんにお願いしていい感じに書いていただきました。

“Spiral”というタイトルはどういう意味でつけたのですか?

towana
前作の『Cipher』(2022年4月発表のアルバム)のタイトルが“円”という意味だったので、それを超えて螺旋状に上がっていくイメージです。
kevin
fhánaは2013年にメジャーデビューして、ちょうど10年の節目に当たる今年、体制が変わり、レーベルを移籍した。原点回帰の気持ちで同じ座標にはいるけど、段階的は上にいるみたいな感じが今のfhánaの環境とマッチしていてすごく素敵だと思います。

楽曲の最後の部分は光が差し込めているような前向きさを感じました。

towana
歌詞はメロディーを繰り返し聴いているうちに言葉が浮かんでくることが多くて、その言葉をつなぎ合わせて全体で見た時にちゃんとつながった物語になるような意識で書くことが多いんです。最後の行は投げっぱなしじゃないけど…きれいに着地するというよりも、ちょっと広がって終わるメロディーなので、曖昧すぎない物語の締めになっている感じだなって。メロディーから受ける印象とマッチしているんじゃないかと思います。

kevinさんはラップを担当されましたが。

kevin
ラップの歌詞を書いた林さんは佐藤さんと同世代で、ゆるい渋谷系ラップの時代を通ってきているから、歌詞をもらった時点でガチガチに韻を踏むタイプのキメキメというよりは、90年代初頭の少し余白のあるゆるい余裕を感じさせる歌詞だと思ったんです。だから、ラップのフロウも少しだけそれに引っ張られたものになっていて。レコーディングでの佐藤さんのディレクションもそういう感じだったし。
towana
そのディレクションは、私が佐藤さんに言ったんですよ。ラップのレコーディングの時に私もいて、“低めのゆるい感じで、ザラザラした声でやってもらうのがいいんじゃないか”って。
kevin
そういう連携プレーだったんですね。僕はブースの中にいたから今知りました(笑)。

DJのスクラッチ音が鳴っているのもいいですね。

kevin
この曲ではエレキピアノやギター、ベースなど主要な楽器のアレンジを佐藤さんがやっていて、僕はクラブミュージック的な音の部分を担っているんです。ラップパートは雰囲気をがらりと変えたいと思って、90年代の日本のヒップホップのちょっと懐かしい感じを入れたかったから、fhánaでは一度も入れたことがなかったスクラッチ音を入れてみました。

ラップの曲は今までもあったのに、一度もスクラッチ音を使っていなかったというのは意外ですね。あれはkevinさんがスクラッチをやっているのですか?

kevin
自分にはあんなにきれいに音を出せるスキルはないので、いろんなスクラッチ音を集めて結構緻密なパズルのように切り貼りしました(笑)。

今作はルーツやオマージュを込めながら新たな出発地点を示した一枚ということですね。6月から7月にかけて開催される『fhán Looking for the New World Tour 2023』も、そういった意味合いのものになりそうです。サポートミュージシャンがすごい面子で。

佐藤
ギターは「Runaway World」で弾いてくれているHoneyWorksの中西さんと、「Spiral」に参加してくれているインナージャーニーというバンドの本多 秀くんのふたり体制。ベースは「Spiral」でも弾いてくれているandropの前田恭介さん、ドラムは昨年に開催した『fhána Cipher Live Tour 2022』の中野サンプラザ公演でも叩いてくれた北村 望さんが今回も参加してくださっているので、鉄壁の布陣です!

京都と東京の会場というところにも何か意味がありそうですね。

佐藤
はい。fhánaのメジャーデビュー曲「ケセラセラ」(2013年8月発表のシングル)は京都を舞台にしたアニメ『有頂天家族』のEDテーマだったし、僕たちの代名詞でもある「青空ラプソディ」(2017年1月発表のシングル)は京都アニメーション制作のアニメ『小林さんちのメイドラゴン』のOPテーマでした。そういったご縁からfhánaにとって京都は第二の故郷なんです。なので、関西でやるなら大阪ではなく京都だろうと。そして、東京の会場であるshibuya duo MUSIC EXCHANGEはメジャーデビュー後初のワンマンライヴを開催した会場だったんです。どちらも原点と呼べる場所で、そこからもう一度新しく始めようという想いを込めて会場を選びました。考えてみれば、ここにも「Spiral」の気持ちがありますね。
towana
この10年の中でいろいろなところでライヴをやらせていただきましたけど、一番緊張したのが10年前のshibuya duo MUSIC EXCHANGEだったことを今でも覚えています。10年振りということで、当時の緊張を思い出して、またすごく緊張しちゃうかもしれないですけど、そこは超えていきたいですね。「Spiral」なだけに!
kevin
京都はありすぎるくらい思い出があります。『KYOANI MUSIC FESTIVAL ―感動を未来へ―』に出させていただいた時はすごく嬉しかったし、初めてMVを撮影したのも京都の鴨川で…カンカン照りの中で撮ったなぁという思い出がありますね。
towana
川原の大きな石に寝そべるシーンがあったんですけど、暑さでジュージューと音が鳴るくらいに鉄板焼き状態でした(笑)。きっと、今回のライヴ会場もすごいアツさになると思うんですけど、それもまた楽しみです。
kevin
1月のライヴで声出しを解禁した時は、死ぬほどに楽しくて。それをまだ引きずっているので、早くツアーが始まらないかと楽しみで仕方がないです!
佐藤
これまでライヴのMCでは“旅”という言葉をよく使っていたんですけど、「Runaway World」の歌詞に《ここはシンセカイ 冒険の始まり》とあるように、これからは“旅”を超えて“冒険”だと思います。fhánaに限ったことではなく、この数年間は世界的にも変化が激しく、みんなにとってもいつ何が起こるか分からない、そんな今はまさに冒険の時代。fhánaと一緒に新たな冒険に出かけましょう!

取材:榑林史章

シングル「Runaway World」2023年5月31日発売 日本コロムビア
    • 【DVD付き限定盤】(CD+DVD)
    • COZC-2016~7
    • ¥2,090(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • COCC-18128
    • ¥1,430(税込)

ライヴ情報

『fhána Looking for the New World
Tour 2023』
6/24(土) 京都・KYOTO MUSE
7/09(日) 東京・shibuya duo MUSIC EXCHANGE

『fhána 10th Anniversary SPECIAL LIVE There Is The Light』
10/7(土) 東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

fhána プロフィール

ファナ:2011年、佐藤純一(Key&Cho)を中心に結成されたtowana(Vo)、kevin mitsunaga(Sampler、etc.)による3人組バンド。13年8月にシングル「ケセラセラ」でメジャーデビューを果たし、その後は新人アーティストでは異例とも言える連続アニメタイアップなど、シーンを問わず各界から注目を集める。17年にリリースしたTVアニメ『小林さんちのメイドラゴン』のOPテーマ「青空のラプソディ」、21年発表のTVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OPテーマ「愛のシュプリーム!」は各界から絶賛され、さまざまなアワードも受賞した。さらに、アニメだけでなくロックフェスにも多数出演。23年に現体制となり、レーベルも日本コロムビアへ移籍した。同年5月に移籍第一弾シングル「Runaway World」をリリースする。fhána オフィシャルHP
fhána 日本コロムビア アーティストページ

「Runaway World」MV

芝と法被とfhána。

OKMusic編集部

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