【明田川進の「音物語」】第68回 “
スペースオペラ”になった「銀河英雄
伝説」4Kリマスター版

 年末から来年1月にかけて「銀河英雄伝説 わが征くは星の大海」と「銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲」の4Kリマスター版が劇場で上映されます(※編注:「わが征くは星の大海」は12月30日、「新たなる戦いの序曲」は2023年1月13日から2週間限定上映)。今回の4Kリマスター版では音響を、僕とマジックカプセルのスタッフが担当しています。
 イマジカさんの力で映像が本当に奇麗になりましたし、音もウチのミキサーが頑張ってくれています。手前みそになりますが、できあがったものを試写で見て、まるで別作品のように生まれ変わった感じがありました。
 OVA版の「銀河英雄伝説」のBGMは、「シャルプラッテン」というクラシックのレーベルから選曲していることは以前お話しました(https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/106514/ )。物語の舞台である宇宙にクラシック音楽を鳴り響かせたいというイメージがあったのですが、当時は音の再現能力もふくめてどうしても限界があり、セリフや効果音がクラシック音楽に負けている部分もありました。今回2chだった音源を5.1chにトランスファーするさい、そうした部分を補正してもらうよう頼んだところ、セリフがぐっと聞きやすくなり、音楽の重低音も相当響くようになりました。
 効果音もクラシック音楽に負けないようなものをと、倉さん(※音響効果の倉橋静男氏)が頑張ってすごいものをつくってくれていたので、今の再生技術で思う存分だすことができています。「銀河英雄伝説」はスペースオペラというジャンルにあたりますが、今回の4Kリマスター版では当初思い描いていた「宇宙に音楽を鳴り響かせる」という意味で、まさに“スペースオペラ”になったのではないかと思っています。
 久しぶりに見直して、役者の皆さんが本当によくやってくださっていたんだなとあらためて思いました。セリフのない「目の芝居」も映像で見事に表現されているんですよね。「新たなる戦いの序曲」で戦地に向かうヤンとラップをジェシカが見送る別れ際のシーンなど、ここまで動かして頑張ってくれていたんだなと気づかされました。
 今回の4Kリマスター版を見て、ここまで良くできるのだったらOVA版の全話も同じようにやってくれないかなと思ってしまいました(笑)。大変な手間とお金がかかるでしょうが、そうして残すだけの価値がある作品なのではないかと希望をこめて感じています。

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