山本耕史「初心にかえった気持ちで」
~松下優也、海宝直人、廣瀬友祐、ウ
エンツ瑛士、立石俊樹らが登壇したミ
ュージカル『太平洋序曲』“決起集会
”レポート

2023年3月8日(水)に開幕する、近代日本の夜明けを描いたミュージカル『太平洋序曲』。その“決起集会”が海の見える都内のホテルで行われ、出演する山本耕史、松下優也、海宝直人、廣瀬友祐、ウエンツ瑛士、立石俊樹が登壇した。会見の様子を写真とともにお伝えする。

【STORY】
時は江戸時代末期。海に浮かぶ島国日本。
黒船に乗ったぺリーガアメリカから来航。鎖国政策を敷く幕府は慌て、浦賀奉行所の下級武士・香山弥左衛門(海宝直人・廣瀬友祐)と、鎖国破りの罪で捕らえられたジョン万次郎(ウエンツ瑛士・立石俊樹)を派遣し、上陸を阻止すべく交渉を始める。一度は危機を切り抜けるものの、続いて諸外国の提督が列をなして開幕を迫り来る。
目まぐるしく動く時代。狂言回し(山本耕史・松下優也)が見つめる中、日本は開国へと否応なく舵を切るのだった。
ーー皆さんが揃ったのが今日が初めてということですが、いかがですか。
山本耕史(以下、山本):いやもう本当、皆さん格好よすぎて。若く見えるかもしれないけど、僕はだいぶ世代が上なので、キラキラな感じの中に混ざっちゃっていいのかなと思ってます(笑)。
ウエンツ瑛士(以下、ウエンツ):僕はその若い側にいる顔はしてましたけど、年齢は僕も結構上なので(笑)。初対面の方もたくさんいらっしゃいますが、徐々に仲良くなっています。袖で待機しているときが一番楽しくなって、大きい声を出したら「うるさい」と怒られました。
ウエンツ瑛士、山本耕史、海宝直人(前列左から)、立石俊樹、松下優也、廣瀬友祐(後列左から)
ーーそれぞれ皆さんの役柄を含めまして、意気込みをお聞きしたいと思います。
山本:役自体が狂言回しという役なので、例えば名前があって、担っているものが狂言回しというパターンはよくあるんですけども、役名が狂言回しというところがすごく面白いなと思っていて。狂言回しとして皆さんが見るだろうし、だからこそ何か逆手にとって、面白く裏切る瞬間がありそうな気がするんですよね。まだ本が完成していないですけど、いろいろなことを想像しながら、チャレンジできるような役になるのかなと思ってます。
本当に皆さんと一緒にやれるのがとても楽しみです。全体像はこれからなんですけれども、僕もこれだけの大作は久しぶりなので、初心にかえった気持ちで頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
松下優也(以下、松下):本当に正直なところ、未知です。ただ狂言回し役は、説明でストーリーの大半を舞台上で過ごす——狂言回しとしてもいるし、たまには狂言回しではなく、誰かとして演じたり、カメレオンみたいな存在として書かれているんです。きっと出てるシーンがすごい長いのと、セリフ量が多分とてつもなく多いので、そこは頑張りたいと思います。
観る方だったり、演じる人によって、いろいろな解釈ができるお話だと思っています。Wキャストなんですけど、組も固定ではなく、いろいろな方と一緒にお芝居ができるので、それを楽しみに自分も稽古を励みたいと思っています。
海宝直人(以下、海宝):開幕のときは、浦賀奉行所の決して位の高くない侍なんですけど、将軍から「お前が海外から来た黒船を、外国人たちを追い出せ」という無茶な大役を押し付けられてしまって、その中で何とか何とか奮闘しながら、万次郎と共に頑張りながら、最終的にはその役割を果たして、出世していくキャラクターです。
日本で上演することに、とても意味や意義がある作品になるなと思います。ラストの「NEXT」という曲で終わりますが、やはり時代が進めばその「NEXT」の内容はどんどん先に進んでいくでしょう。その時代を生きている人たちが何を感じるか。海外のクリエイターチームと日本人キャストと共に作ることに、ものすごく大きな意味を感じておりますので、ぜひ楽しみに劇場に来ていただけたらなと思います。
廣瀬友祐(以下、廣瀬):まだ正直捉えられていないんですけど……演出のマシュー(・ホワイト)さんから「この物語が日本史にとっての転換期、政治的な問題がいろいろ出てくる中で、香山というところの平凡な男がいろいろな権力や重要性を持っていく物語でもある」と。登場人物のキャラクターかなり濃い中で、香山は至って普通な男になりそうなので、お客様が一番感情移入できるのではないかと思います。
素晴らしい俳優の方々とご一緒できることを本当に誇りに思ってます。香山という役割をしっかりと果たせるように一生懸命頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
ウエンツ瑛士(前列)、立石俊樹
ウエンツ:史実に基づいて、漂流して、アメリカで長いこと過ごして、そして日本に帰ってきて、物語の前半は「囚人」という立ち位置から始まります。いろいろな思いがジョン万次郎自身にもあったと思うんですけど、本音だけでは生きていけないような立場にいた人物なので、本音とはまた違う気持ちも交えながら、香山との関係性などが後半に向けてどうなるか——。そんなところを楽しみにしてもらいたい役どころです。
この『太平洋序曲』という作品で、一番僕はすごく素敵だなと思うのが、(脚本のジョン・)ワイドマン氏だったり、(作詞・作曲のスティーヴン・)ソンドハイム氏だったり、海外の方によって作られたこと。日本人から見た日本史とはまた違う側面から楽しめる部分もあると思いますので、その中でジョン万次郎という役をしっかり務められるように、頑張っていきたいと思います。
立石俊樹(以下、立石):ペリー来航の際に一緒に協力をして、そこから友情を育み、また再会して……普通では考えられない数奇な運命をたどってると思います。漁師から始まりまして、漂流して、143日間を生きながらえたジョン万次郎という役はすごく生命力に溢れていて。調べていくうちに、自分に対してもフィードバックがあるというか、影響を受けている、偉大な人物だなと思います。
 
素敵な俳優さんたち、そして日英合作で作り上げるということで、とても刺激的な毎日になりそうなので、体当たりでぶつかっていきたいと思います。楽しみにしていてください。
 
ーー6人は揃ったのは初めてですが、それぞれ皆さん接点はお持ちだったのでは。海宝さんとウエンツさんは劇団四季の『美女と野獣』で共演してますよね?
海宝:小学校1年生とかそんな時です。それ以来ですよね。
ウエンツ:あのときは同じ役だったんです。だから本番始まっちゃうと、会うことはなくて。僕が4年生でした。でもね、子どもながらに「今日はなんか偉い人が来る」ときのキャストとか、そういうのすごく覚えていて(笑)。そういう日のキャスティングは、海宝くん。まさか僕も小4で嫉妬という気持ちを覚えるとは(笑)。当時から素敵だったので、今回は共演が本当に嬉しいですし、楽しみです。
海宝直人
ーー他のみなさんは?
山本:共演は海宝くんだけかな。(ウエンツさんに向かって)ないよね? 共通の俳優さんたちが多すぎて、何か一緒にやっている気持ちになってるんですけど、おそらく舞台上で一緒にやっているのは海宝くんだけです。
廣瀬​:僕は海宝さんと松下さん。
松下:7年ぶりぐらいですよね。
立石:僕は初めての方ばかりですが、同じ役を過去に演じてこられた方はお二人いますね。『ロミオ&ジュリエット』で廣瀬さんがティボルト役を演じられて、『黒執事』で松下さんが初代セバスチャン役を演じられています。
ーー皆さんが思うミュージカルの魅力とは? この瞬間が好き! ということもあわせて教えてください。
山本:やっぱりお客さんが何かを感じている瞬間を僕らが感じたら、それはやっていて良かったなと思う。もちろん自分が観に行って感じることもある。だから観ていても演じていても、同じ方向にみんなが向いているエネルギーというのが——ミュージカルに限らずなんですけども、表現として、お芝居、歌、セリフ、ダンスなど、すごくたくさん表現できるのがミュージカルだけだと思う。年を取れば取るほど難易度は高くなるけど、それはミュージカルの醍醐味なのかなと思います。
 
松下:本番を迎えてお客さんの顔が見えたり、皆さんの前で歌って演じているときの熱量が伝わったと自分も感じられたとき、何かほっとします。そういう瞬間は頑張ってよかったなと思いますね。
海宝:ミュージカルの魅力は、それぞれのキャラクターたちの心情や思いを、音楽、歌、ダンスでばっと見られる、感じられること。それは、すごくミュージカルの大きな特徴だなと思いますね。自分自身が好きな瞬間は、いろいろいっぱいありますけど、大千穐楽を迎えて、カーテンコールが終わった瞬間。何とも言えない寂しさや舞台のはかなさもありながら、だからこそ美しさを感じるし、達成感もある。「終わったんだな」という瞬間が好きな瞬間ですね。
廣瀬:これだけ長い期間一緒にいて、作り上げたのにもかかわらず、大千穐楽のカーテンコール終わって「お疲れ様でした」とみんなが燦燦囂々で散っていくところが僕は好きです。
松下:めっちゃわかります。特にこういう時期なので、打ち上げもないですからね。
ウエンツ瑛士、山本耕史、海宝直人(前列左から)、立石俊樹、松下優也、廣瀬友祐(後列左から)
ウエンツ:ミュージカルの魅力は、やっぱりセリフだけでは届かないものを音楽が届けてくれたり、ダンスが届けてくれたり、また歌にして届けてくれたり。もっとより深いところまで、お客様のもとに心情を届けられることがミュージカルの魅力だなと思います。
やっててよかったなと思うことは、幕が開いた瞬間。お客様がそこにいてくださることが本当に嬉しい。時間を割いて、お金を払って、チケットを買って、来てくださる。お客様がいらっしゃって、初めて僕らの作品は完成すると思っているので、その幕があいた瞬間、いつも毎回毎回嬉しく思います。
立石:たくさんあるんですが、一番はやっぱり人生を生きてて、もう二度とない瞬間の連続だということ。音楽とお芝居とダンスといろいろな表現を借りて、お客さんとキャストと同じ時間を過ごせるところですね。二度とない瞬間を、表現の中でみんなで過ごせることが魅力だなと思います。
ーー鎖国政策をとっている日本が舞台となりますが、これだけは破れない、譲れないというルールはありますか。
山本:筋トレは朝一というのは譲れないですね。仕事をした後だと、ちょっと疲れちゃって、逆に一番最初にやっておく。朝の5時ぐらいに、もう家族を起きる前に済ませていますから。
ーー筋トレをしないと1日がスムーズに進められない?
山本:気づいたらもうトレーニングウェアなんです。それで寝ているので、そのままトレーニングに行ける状態になっていて、避けては通れないようになってます。たまに夕方に行ったりすると、ちょっとなんかテンションが違うんですよね。
山本耕史
ーー狂言回し役ということでセリフも多く、言葉と向き合う毎日になるんですけど、山本さんの好きな言葉と苦手な言葉をお聞かせください。
山本:(『シン・ウルトラマン』のメフィラス風に)広背筋下部。私の好きな言葉です。あと、苦手な言葉……リバースクランチ。足を上げてくる腹筋ですね。
ーー最後に一言お願いします!
山本:これからどんどん膨らませていって、今後どういうふうに皆が解釈していくのか。素晴らしい作品になることはまず間違いないと思っています。あと、見どころは、これだけの人数がスイッチしていくこと。松下さんと僕が一緒になる可能性もないとは言いませんからね? 一緒に出てくるとかね? こういうご時世だから、同じ舞台上というのもあるかもしれない(笑)。
1人頭大体100枚ぐらい買っていただいたら、自分だけの『太平洋序曲』が見つけられるんじゃないかな。「昨日はここはあの人だったけど、明日はここだけこの人」みたいな。全部で何通りあるか、ちょっと計算しておきますけど(笑)、本当に僕も全通り観たい。皆さんどしどし観に来てください!
取材・文・撮影=五月女菜穂

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