ZOCからMETAMUSEへ――常に本気で修
羅場を潜り抜けてきた、大森靖子率い
るアイドルグループとは

大森靖子がプロデューサー兼メンバーとして参加するZOC。結成されて4年が経ち、今年7月7日からはMETAMUSEと名称が変わった。このインタビューでは名称変更2日前に、大森と藍染カレンと西井万理那の3人に話を聴いている。改めてZOCというアイドルグループが良い意味で一筋縄ではいかなかったグループだということ、そしてメンバーメンバー脱退とメンバー加入を繰り返しても終わらずに続いたというタフさに迫れた。特にこの3人はオリジナルメンバーなので、3人にしかわからないことも聞かしてもらえたと思う。是非とも呼んで頂きたい。
METAMUSE 大森靖子
――まずはZOCとしての4年間いかがだったでしょうか?
大森:その時は、めっちゃ映画みたいに長く感じて、ずっと続くのかなと思っていましたね。何か人の人生を自分もやっている感じもありました。いつもはソロで活動していますけど、他に人がいるアイドルグループにいることで、逆に自分の個性がガっと出ることもあって。アイドルグループの人がソロになったら個性が弱まるのも、今まで観てきていますしね。
――大森さんはソロでもグループでも全く弱まっていないんですよ。
大森:生死というコントラストのエネルギーを歌おうと、描こうとはしているので、そこが大きく出ているんでしょうね。
――藍染さんと西井さんは、この4年いかがだったでしょうか?
藍染:私は、この4年は長かったですね。一番密度が濃くて、色々なことが起きた4年でした。凄いしんどいことが起きて、まだ、そこから1年か……とか。のどか(鎮目のどか)が入ってきて、まだ、そこから1年か……とか。ZOCからMETAMUSEに変わっていく今が一番早く感じていますね。これはZOCとして最後か…と思いながら、ふわふわした感じです。でも、楽しいですね。名前は変わるのに変わらない、でも、変わらないといけない、その落としどころを見つけているところですね。
西井:私は4年あっという間でした。私は結構、次から次へ忘れていくから、行ったところとかも写真を撮らないと忘れるし。でも、思い出せることは楽しいことが多い。
大森:天才や(笑)。
――(笑)。メンバーふたりとも自分の言葉でしっかり話していて、大森さんは本当に良いメンバーを持たれたなと思います。
大森:みんな自分の言葉でインタビューを喋ることを躊躇していないんですよ。みんな顔とかのことばっかり気にするので(笑)。
――でも、こと前に観たYouTubeのインタビューでも感じたんですけど、みんなしっかり地に足がついてるんですよね。西井さんも色々なことが起きる度に、「ZOCが終わった」と思うとおっしゃってましたし。
西井:その度に終わったとは思いますけど、それがあるから今もあるので。「みんな続けてくれるかな? みんな大丈夫かな?」と思うけど。1時間経ったら忘れがちだし。
METAMUSE 藍染カレン
――そこまでの濃さがあるグループが4年続いて、これからも続いていこうとしているのが凄いと思うんですよ。
大森:エモーショナルなところを切り取ってやっているグループなんで、自分たちでも3年で解散するだろうと思っていたんです。だからこそ、3年で武道館へ行かないととも思っていたし。私は人生一個分のエネルギーを一瞬で使わす才能があるから。ずっと昔からあるロックのやり方でやってきたので、みんなでそれを合わせていたら、そりゃ疲れるよね。
藍染:前にいたメンバーを観てても、(ZOCにいたことが)その子たちにとって必要だったと思いますし。キレイに揃えることが正しいとされるけど、それぞれのクセそのまま自由にできることが無いですから。
西井:いい曲はめっちゃあるけど、自分が歌いたい曲が好きで、それがZOCなので。自分がZOCじゃなかったら、ZOCに入りたいから。
大森:私が一番「疲れた……辞めたい」と言ってたけど、みんな無視していた(笑)。
西井:「とは言いつつ、どうせ辞めないでしょ!」みたいな。
藍染:そうですね。
大森:みんなの方が私よりメンタルが強い(笑)。「まぁまぁ」と止めることも無かったもんね!
METAMUSE 西井万理那
――やはり元々ロックの人がやっているアイドルグループだから、ステレオタイプに収まるものに決してなってないですよね。
大森:私が「音程ずれてる」とか「グループに合わせない」とか言われるけど、私の曲だから私が正解。でも、ちゃんと歌ってないのも正解だし。
藍染:一応ちゃんと歌おうとは思っていますけど、それがわかっているのに何でできないんだろうと。毎回、こういう感じで歌いたいというのはあって、「この人ですか?」と例えを持っていったら違うんです。
大森:一番落ち込むんだよね? てか、ヘコんじゃう。
西井:ウチは逆に何も考えず、人のを聴いたら上手くできる。
大森:元々覚えてないんじゃない?
西井:人のやつを聴いた方が、ちゃんとやらないとと思うし。予思より、みんなががんばっているから。
大森:(西井は)勘が良いから。ライブでもファンが盛り上がってないと顔が死んじゃうけど、人の熱量を感じると死なない。
西井:オタクに引っ張られる。
METAMUSE 大森靖子
――ファンやお客さんで無くて、オタクと呼ぶのは何か潔いですよね。
大森:オタクはプライドを持ってやっているから、お客さんだと遠く感じちゃう。ZOCがここまで色々あっても、オタクも信念を持ってやっているので。
藍染:輝きに来ている? 覚悟を持って応援してくれているから。
西井:みんな輝いている。
藍染:楽しみ方の強度も上がってきている。
西井:ウチのオタク呼びはこだわりがあって、好きなアイドルが「ファンの方ありがとうございます」と言って、それがちょっと寂しくて、そっからファンと言わなくなった。
大森:バンドはステージの方が圧倒的に強いんだけど、私は弾き語りだったので、ちょっとした空調の音とかで負けちゃうのを気にしていて、だから、客席にいるファンそれぞれの人生を反映させてやればいんだなと思って。なので、ファンがただただアイドルがやっている振りを真似するのは好きじゃない。自分の踊りを踊って欲しい。単なるエアロビにならないで欲しい。
METAMUSE 藍染カレン
藍染:私は(アイドル活動が)ZOCからなんで、最初からZOCに来てくれている人たちは大森さんを応援している人たちで、それぞれの楽しみ方をしていたから、みんな同じ動きをしているのを観たことが無いかも。だから、あたしと同じ動きをしなくていいし。
西井:好き放題に動いて欲しい。でも、最初の方はウチ眼が悪すぎてオタク見えてなくて。
大森:ずっとじゃない?
西井:最初は一切合切見えてなくて、コンタクトを付けてからはオタクの顔が見え始めた。最初の頃はペンライト1本が2本くらいに見えてた。
藍染:コンタクトを付けた時、「今日お客さん少なくない?」と言ってた(笑)。
大森:天才やな(笑)。にっちやんには、こうして欲しいと思ったことは無いので。格が上の存在だから。
西井:そう言ってくれるの靖子ちゃんだけ。優しい……。
大森:優しさじゃないから(笑)。
METAMUSE 西井万理那
――(笑)。改めてですが、ZOCからMETAMUSEに名前が変わると言われた時は、どう思われましたか?
藍染:最初はビックリしました。でも、その後に凄く丁寧に話してくれて。
大森:言わないで! にっちやんに説明してないのバレるから!
西井:聞いてない! ウチは最初絶望したけど、決まったら仕方ないと思えたから。ずっとZOCというもんだと思っていたから。名前が変わる発思なくて、そんなことあるんだなと。今は受け入れました。
大森:名前が変わるのは嫌だなとわかっていたけど、でも説明が押し付けになるのも嫌で。だから、説明をやらない方が正義というか。
藍染:でも私は知りたい方なんで。
西井:(藍染は)言えばわかる子で、ウチはその時になってみないとわからないから。
大森:(巫)まろとかは以前にいたグループでグループ名が変わったことあるから、グループ名が変わることについては相談しました。まぁ、ひとりずつ違うから、ひとりずつに合ったやり方をすることはサボったこと無いですね。ある程度、舵を取っていかないとグチャグチャになりますし。まぁ、最終は曲で説得するので。
――曲でいうと、今回の「tiffany tiffany」は凄い説得力しかない曲だと思うんです。
藍染:この曲は長く温めていた曲で、METAMUSEでやりたいのはしっくりきていて、上手く言えないんですけど……。
西井:ウチは一発目に聴いた時は、夜中に送ってもらっていたんですけど、歌いたいと思ったし、ママに聴かせたから。「family name」と「tiffany tiffany」はママに聴かせましたよ。あのね、靖子ちゃん髪の色ピンクだったのが、金髪になったの、ある日突然。それは「tiffany tiffany」のMVきっかけで、水色の衣装を着るとなって金髪にしたんだって。靖子ちゃんピンク色大好きなのに、この曲は水色が大事だから、それに合わせた髪の色で金髪にしたの。これ昨日ゲットした情報なんだけど、(インタビュアーに対して)わかった?
大森:「わかった?」て(笑)。心が清純な人しか似合わないと思っていた色を着る時だったからね。
――でも本当に決意が伝わってくる曲なんですけど。ここからのMETAMUSEがどうなるかも最後に聞きたくて。
大森:寿命を使っているグループなんですけど、明日のエネルギーを自家発電できる人たちなんで未来はあるなと。アイドルぶりっ子じゃなくて、芸術家=アーティストとしてジェンダーの肯定とかしかやる意味は無くて。
藍染:物凄い勢いでガムシャラにやってきたけど、これからも深くやっていけるなと。
西井:先のことはわからないけど、ワクワクすることはやっていきたい。
大森:ワクワクしないと終わりだから。おもしろいことをやっていかなきゃ。
METAMUSE
取材・文=鈴木淳史 撮影=ヨシモリユウナ

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