「海の中でワチャワチャ立ち泳ぎして
いる今が楽しい!」 ~新作オリジナ
ルミュージカル『COLOR』 濱田めぐみ
×柚希礼音インタビュー~

草木染作家の坪倉優介氏が自身の体験を綴ったノンフィクション、「記憶喪失になったぼくが見た世界」がホリプロ製作によりミュージカル化される。出演者は”ぼく””母””大切な人たち”の3名のみで、音楽を植村花菜が、脚本を高橋知伽江が、演出を小山ゆうなが手がける話題作。自分自身や両親のことも、食べる・眠るといった感覚さえ忘れてしまった”ぼく”(浦井健治/成河)を大きな愛で包む”母”に扮する、濱田めぐみと柚希礼音に聞いた。
ご縁を感じる初共演!
――お二人が同じ作品に参加されるのは、今回が初めてになりますね。
柚希:そうなんです、もうすっごく嬉しくて! 私、下級生の時に、宝塚で『アイーダ』を取り入れた作品(『王家に捧ぐ歌』/2003年初演)に出演することになって、ちょうど劇団四季さんが大阪で『アイーダ』をやっていると聞いて観に行ったんですね。その時にアイーダを演じられていたのがめぐさんなんです!
濱田:ええ~本当!? あらまあ!
柚希:そのあとの舞台も、いっぱい拝見しています。どうやって役になっていかれるんだろうっていつも思っていたから、一緒にお稽古できるのがとても嬉しくて。私のファンの皆さんも、「あのめぐさんとご一緒なんだ!」って、勝手にご縁を感じてます(笑)。
濱田:ええ~、そうだったのね! 私もね、実は宝塚、すごく好きで。高校を卒業する時、受けさせてくださいって先生に聞いたこともあるんですよ。その時は「何を言っとるのかね」で終わっちゃったんですけど(笑)、うちの母も宝塚に入りたかった人で、最初に連れて行ってもらった舞台も宝塚の公演でした。確かね、星組公演。
柚希:ええ~私、星組星組!
濱田:あはは! 柚希さんのことも、めちゃくちゃかっこいいなあと思って観てました。トップスターさんってこういうことを言うのね!って。だからさっき、一緒に撮影させてもらった時はもう娘役さんの気持ちになっちゃって(笑)。
柚希:めぐさんが寄り添ってくださって、こんなことしていいんですか⁉と思ってました(笑)。『アイーダ』を観てた頃を思うと、こんな日が来ようとは……という感じで、ほんっとに嬉しいです。
――すでに一緒にお稽古されてるんですか?
濱田:まだ1回リーディングをしただけなんですが、それがけっこうな長時間で。頭から終わりまで確認しながらさらった段階で4~5時間経っていたので、今日はこれで終わりかなと思ったら、「これからそれぞれの班で通します」って。それから2回分通したのでもう疲れ切って帰った1回目でした(笑)。
柚希:鬼の稽古場になるんだろうなと思いましたよね(笑)。そんな中でも、めぐさんや成河さんは自分からどんどん色んな案を出されていて。与えられた役を演じるのではなくて、みんなで作っていくんだな、と思えるリーディングでした。
濱田:オリジナル作品だし、ものすごく複雑で深いテーマがあるからね。4人で手を取り合って進んでいかないと、バラバラでは太刀打ちできない感じがすごくしています。何を伝えたい舞台なのか、という共通認識を作る側がしっかり持っておかないと、「で、結局何が言いたいの?」というものになりかねないと思うんです。
柚希:そうですよね。本当にあったことだけど、あったままドキュメンタリーのように見せてしまったら、「へ~そういうことがあったんだ」で終わってしまう。だからって、歴史上の人物ではなく今を生きている方の身に本当に起きた話を、ドラマティックに膨らませすぎるのも違うでしょうし。
濱田:そうそう。”母”役へのアプローチの仕方も、かなり難しいなあって。記憶喪失の息子の前で、「母親とはこういうものよ」って、ある意味で“演じる”母親を我々がさらに演じることになるので、どう演じればいいのか、今はア~!ってなってます(笑)。
>(NEXT)“半透明”な台本のもとに集いし才能
“半透明”な台本のもとに集いし才能
――原作を最初に読まれた時、お二人の心に響いたメッセージ、ミュージカルにして届けたいと思われたのはどんな部分だったのでしょうか?
柚希:何もかも分からなくなるというものすごい経験をした人が、昔のことを思い出すのではなく、新たな光を見つけて進んでいくところに感動しました。「人間が怖い」というところから、やりたい仕事を見つけられるまでになるってすごいことですよね。それから、些細なことに幸せを感じられるようになるところも、自分に置き換えて読んでいました。
濱田:私が思ったのは、我々が今この地球上でしている行動とか、持っている認識とか概念とかって、実は元々あったものではなく後付けなんだなって。「おいしい」「まずい」の概念もなくなって、まずいものを本能的に避けるしかないところまで戻ってしまうって、見知らぬ世界にポンって落とされたようなものですよね。スケールがあまりに深くて本質的すぎて、これを舞台として構成する方法ってあるの?って、原作本から一瞬手が離れてしまったほど。我々が持っている一般常識というものをまず取っ払わないと、役作りも何もできないなあと思って……今もそのまま止まってる状態です(笑)。柚希さんが言ったみたいな、光を見つけるところに持っていくまでを、どう立ち上げるかですよね。
柚希:うんうん、ただの“感動作”ではないですもんね。……すっごく大変そう!(笑)
濱田:でも今回は、キャスト4人が結束できてるから良かったなあって。休憩時間に「どうしようかね~」ってこう、寄り添えるような空気感があるんです。お菓子をつまみながら、いい~感じで進んでいけそうな気がします(笑)。
柚希:演出の小山さんも、一緒に作っていける感じのする方ですよね。初めてご一緒しますが、リーディングの時にこだわりというか、自分の意見をしっかり持っていらっしゃるのが感じられて素晴らしいなと思って。めぐさんも私も疑問に思う台詞があったので相談に行ったら、私たちの意見を聞いて「そうですよね」ってすぐ変えてしまうんじゃなく、きちんと説明してくださったんです。
濱田:説明されて、なるほどってなったよね。色んな感受性の扉があって引き出しも多い。私たちにも役者としての感覚と引き出しがあるから、お互いに持ってるものをお店みたいにバババって広げていって(笑)、色々なものが出た中からチョイスしていくのがベストなのかなって思います。
柚希:ここまで「一緒に作りましょう」というスタンスの作品、私は初めて。すごく贅沢な経験をさせていただいてるなと思いますね。
――そういうクリエイティブな現場はズバリ、楽しいですか?
柚希:今はまだ、「楽しい」まではいかないかも(笑)。何かこう、これだ!という道が開けた時に、みんなでやってきて良かったって思えるような気がしています。
濱田:私はね、今のこの大変な感じにワクワクしてるというか、みんなでワチャワチャしているのがとても心地良くて。海の中で立ち泳ぎしながら、さあ~これ、どの岸行く~?みたいな感じなんですよ(笑)。いざ今日から稽古が始まります、となってからのほうが恐怖だなと思います。初日までの限られた時間の中で、きっちり固めていかないといけないから。
柚希:確かに! 私も怖くなってきました(笑)。
濱田:確かな台本があって、合う役者をハメれば間違いない!みたいな作品もありますけど、今回はまだ半透明な台本があるだけ。すべては4人の役者と作曲家と演出家の才能に懸かっていると思うので、今は期待半分、怖さ半分というところですね。
>(NEXT)“オータム”な柚希礼音、“冬の人”濱田めぐみ!?
“オータム”な柚希礼音、“冬の人”濱田めぐみ!?
――改めて、共演の浦井健治さん、成河さんの印象をお聞かせください。
濱田:私は健治とは何度も共演していて、もう姉弟みたいな感じ。久しぶりに会っても、挨拶もなしに「それで?」みたいな関係です(笑)。考えてることがだいたい一緒なので、言葉が要らないんですよね。成河くんはもう、才能の塊みたいな人。ボールみたいにパンパンパーンって、色んなところから発想が出てくるんです。舵切りが天才的に上手いから、今回は彼が自由に行くところに私がついていくのが、母と息子役としていい形だと思ってます。
柚希:私はお二人ともと初めまして。浦井健治さんはナチュラルでピュアで、初めてお会いしたチラシ撮影の時もストンって、こうヒュって私にもたれてくださる感じでした。成河さんは舞台上で演じられる姿を観ながら、どうやって役作りをされるんだろうと思っていた方。お二人と稽古場でご一緒できるの、とても楽しみです。お二人は息子じゃない回では”大切な人たち”も演じられるので、すごく大変だと思いますけど(笑)。
濱田:うん、すっごく大変だと思う(笑)。色んな役があるし、出ずっぱりですからね。でも今私、チラシの写真を見てて思ったんですけど。二人は本当に、この目の通りの息子になるんだろうなあって感じがしますね。この写真、よく捉えてるなって。
柚希:確かに。お二人の息子、リーディングの時から全然違ってましたよね。
――これはやはり、両方観ないといけないですね! 作品への期待が高まるお話たくさん伺えたので、最後に軽めの質問を。『COLOR』にちなんで、お二人の好きな色を教えてください。
濱田:ちえちゃん、自分では何色が似合うと思いますか? 私、ちえちゃんには絶対この色が似合うぞっていうのがあるから、あとでそれ言います(笑)。
柚希:ええ私、何だろう~! つい選びがちなのは、茶色とか緑とか、自然っぽい色。でも、白とか黒も好きだしなあ……。めぐさんの思った色、教えてください!
濱田:あのね、グリーンとかオレンジとか、あとマゼンタ。
柚希:マゼンタ……?
濱田:紫赤ピンクみたいな色。ベースに黒とか茶色を着て、サシ色でそういう暖色を持ってきたらすっっっごく似合いそうだな!って。
柚希:へえ~、すごい! 実はこの間、カラー占いに行ったらまさしくそう言われたんですよ。なんか私、暖色の似合う“オータムな人”なんですって。黒とかグレーは似合いませんよって言われて、グレーの服たくさん持ってるからどうしようってなりました(笑)。
濱田:あはは! サシ色で入れたり、リップとかチークで使えばいいんじゃない? あと、髪を赤系にするとか。
柚希:あ、それも言われました! めぐさん、すご過ぎじゃないですか⁉
濱田:何かふわんって感じて。
柚希:そうなんですね。めぐさんの好きな色は?
濱田:私はね、ターコイズとか群青色。
柚希:ああ、似合う~! 「群青色」って久々に聞きましたけど(笑)。昔からですか?
濱田:うん、昔から。あとは黄色とグリーン、特にペールイエローとペールグリーンの取り合わせが好きなんだけど、それは着るわけじゃなくて見るだけ(笑)。自分で最も似合わないと思うのはオレンジかな。
柚希:あ、じゃあカラー占いで言うところの“冬の人”ですね。……あれ、めぐさんが私に合うと言ってくれた色、何でしたっけ?
濱田:マゼンタ。ちえちゃんを見てたら、そういう色がポンって出てきたの。マゼンタのバッグとか靴とか似合うと思うなあ、あとマニキュアとか。
柚希:マゼンタですね、覚えました。速攻探して、稽古場で挑戦してみます!(笑)
★〈おまけ写真あり!〉すべての写真は【こちら】
取材・文=町田麻子 撮影=池上夢貢

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