トップバンドのさらにその先へ、Off
icial髭男dism one – man tour 202
1-2022 – Editorial -さいたまスー
パーアリーナ公演をレポート

Official髭男dism one – man tour 2021-2022 – Editorial -

2022.03.21 さいたまスーパーアリーナ※追加公演
昨年9月4,5日の横浜・ぴあアリーナMMの初日から、4月16,17日の彼らの地元・松江市総合体育館のファイナルまで7カ月。さいたまスーパーアリーナ、横浜アリーナ、大阪城ホールを含めた19会場47公演を走り抜け、30万人を超える総動員数を記録した〈Official髭男dism ONE-MAN TOUR 2021-2022 -Editorial-〉。それはバンドにとって初の大規模アリーナツアーであり、彼らが名実ともにトップバンドになったことを証明するエポックメイキングな出来事だった。ツアーが佳境に入った3月21日、さいたまスーパーアリーナ公演で開催されたライブを振り返ろう。
Official髭男dism
ステージを覆う巨大な可動式スクリーンに映し出されるオープニング映像を経て、まばゆい光と爆音が今宵のショーの始まりを告げる、スペクタクルなオープニング。1曲目は「Universe」だ。藤原聡、小笹大輔、楢崎誠、松浦匡希の4人に、キーボードやホーン隊を加えた10名のバンドが奏でる音は、ひとことで言えばゴージャス&ピースフル。藤原のとんでもない声量とハイトーンの力強さにいきなり圧倒されながら、曲は「HELLO」から「宿命」へ。小笹がパーカッションを叩き、楢崎がシンセベースを操り、ホーン隊が祝祭感あふれるフレーズを奏で、賑やかなパレードはぐいぐい進む。音のパワーもさることながら、すさまじい光量で迫り来るライティングもすごい。すべてがアリーナ級、圧巻の総合エンタテインメントだ。
Official髭男dism
「ずっと立ちたかった、さいたまスーパーアリーナ。一拍、一小節、ひとこと、伝え漏れのないように、一生懸命やっていきます」
今日ここに来てくれたファンに向けて、そして来られなかったファンに向けて。コロナ禍での様々な事情を飲み込みながら、「全員の思いを乗せて、かけがえのない音楽の時間を作りましょう」という藤原の言葉がいい。心弾むピアノポップ「115万キロのフィルム」から、アコースティック楽器を中心にした「shower」、そして楢崎の曲紹介による「みどりの雨避け」へ。柔らかい音色で、ささやかだが大切な幸せの風景を描く楽曲をじっくり聴かせる、これもまたOfficial髭男dismの大事な個性の一つ。小笹のブルースフィーリング香るギターがかっこいい「Bedroom Talk」も、アリーナの距離の遠さを感じさせないとても親密な味わいがする。
Official髭男dism
「Laughter」も、小笹のギターの重厚な存在感が映えるドラマチックなミドルロックバラード。ほの暗いブルーの照明がやがてまぶしいほどの白い光に変わる、歌詞の主人公の前向きな思いに寄り添うライティングも冴えている。「フィラメント」も肯定的なメッセージを掲げる明るいポップチューンだ。と、思いきや、続く「Anarchy」は一転してシニカルで刺々しい感情をダイレクトに叩きつける、迫真の演奏でオーディエンスを圧倒する。これもまた、Official髭男dismの大事な個性の一つ。壮麗な照明、音響、そして音楽が一体となって感情をぐらぐらと揺さぶりながら進む、ライブは早くも折り返し地点だ。
「今日は今日だけにしかない思い出を、一人残らず全員と作るために、ここに来ました。最後までとことん楽しみ尽くしてやろうぜ、さいたま!」

小笹大輔

楢﨑誠
藤原が叫び、祝祭のフレーズをホーン隊が高らかに奏でる、曲は「Stand By You」。藤原が大きく手を振ってオーディエンスを煽り、倍速のクラップで全員の思いを一つにする。「ペンディング・マシーン」はホーン隊がステージ前方に躍り出て、楢崎もサックスに持ち替えて最前線へ。「踊ろうぜさいたま!」と、松浦の叫びもばっちり決まった。バンド初期の代表曲「ブラザーズ」では、メンバー紹介を兼ねた楽器バトルで盛り上がり、ステージでは全員が入り乱れて騒ぎまくり。とにかく明るいアッパーなファンクチューン連発で、場内の熱気がぐんぐん上昇してゆく。
デビューヒット「ノーダウト」から、ステージ前方で炎がぶちあがる強力なディスコファンク「FIRE GROUND」へと、息をも尽かせぬ熱気あふれるライブチューンが続く。藤原がショルダーキーボードを持ち出して小笹と楽器バトルを繰り広げるシーンが楽しい。さらにヒットチューン「Cry Baby」を畳みかけ、盛り上がりが頂点に達したところで、エフェクトをたっぷりとかけた藤原のアカペラボーカルのみで聴かせる「Editorial」でガラリと空気を変える、ジェットコースターのような感情の揺さぶり方がすごい。終わりある命の愛しさとせつなさを歌うバラード「アポトーシス」の、深い祈りを込めた藤原の歌に胸を打たれたら、ライブはいよいよ残すところあと1曲だ。
松浦匡希
藤原聡
「今日は、さいたまスーパーアリーナという全体ではなくて、一人一人に向かって音を届けたつもりです。このバンドにとって、今日という日は、かけがえのない大きな光でした。みんなにとってもそうあれるように、これからも一生懸命音楽を続けて行こうと思います」
ファイナルチューンは、最新アルバム『Editorial』のラストと同じ「Lost In My Room」。穏やかな打ち込みのグルーヴの上で、ファルセットを駆使した藤原の超絶歌唱が冴えわたる。ここまで19曲、フルパワーで歌いまくってまったく声量と表現力が落ちない、とんでもない喉の持ち主だ。それを支えるバンドも、とてつもなくタフで堅実な演奏力と、感性豊かで優しいハートの持ち主だ。
藤原聡
アンコールは3曲。バンドの代名詞になった特大ヒット「Pretender」は、ミラーボールの荘厳な光の下で、どこまでもせつなくエモーショナルに。頼れるバンドメイツ全員を紹介する賑やかなメンバー紹介を経て、「異端なスター」は、ご機嫌なホーンセクションがリードしてあくまでもポップでファンキーに。そしてラストを締める「I LOVE...」は、目を細めてしまうほどのまばゆい光がステージから流れ出す中で、ひたすらにゴージャスで高揚感いっぱいに。アリーナ級の大エンタテインメントを提供する実力とプライドに加え、リスナーとの変わらぬ一対一の親密な関係を大事にし続けるOfficial髭男dism。後味は晴れやか、やがてじんわり熱い余韻がこみ上げる、良質なエンタテインメントがそこにあった。
この日藤原は、「ライブという日常が戻って来た喜び」と、「今日という日は二度と来ない」ということ、「来たくても来られなかった人への思い」を何度も口にした。ライブは一期一会、そして全員で作るもの。ファンとの絆、そして飽くなき音楽的探求心と総合エンタテインメント性とを両立させながら、Official髭男dismは突き進む。トップバンドのさらにその先へ、このアリーナツアーは彼らにとっては通過点だ。

取材・文=宮本英夫 撮影="TAKAHIRO TAKINAMI"
Official髭男dism

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