麗波役の松雪泰子 (C)エンタメOVO

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【インタビュー】いのうえ歌舞伎「神
州無頼街」松雪泰子  “演劇愛”に
満ちた劇団☆新感線が作り上げる「お
なかいっぱいになって帰れる楽しい作
品」

 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により公演が延期となった「いのうえ歌舞伎『神州無頼街』」が、満を持して3月17日から大阪のオリックス劇場を皮切りに上演される。本作は、福士蒼汰と宮野真守がバディを組んで幕末を舞台に暴れ回る伝奇活劇。身堂蛇蝎(みどう・だかつ=高嶋政宏)が率いる蛇蝎一家が巻き起こす無頼の風に巻き込まれた、町医者の秋津永流(あきつ・ながる=福士)と “口出し屋”草臥(そうが=宮野)が、それぞれの宿命と因縁を知り、日の本の命運すら揺るがす策謀と立ち向かう姿を描く。身堂蛇蝎の妻・麗波(うるは)を演じる松雪泰子に、劇団☆新感線の魅力や、本作の見どころ、役作りについてなどを聞いた。
-劇団☆新感線の公演には、5度目の出演になりますね。本作の出演が決まったときはどんな気持ちでしたか。
 「髑髏城の七人」で、シーズンは違えど、共にIHIステージアラウンド東京のステージに立ったメンバーと、新たな作品でご一緒できるというのは、すごくうれしかったです。シーズンが違ったので、お互いに観劇をして、あいさつを交わしたぐらいでしたが、あの時間を過ごした者同士というのは、どこかでつながりがある感じがしているので、そういう意味でもうれしかったですし、ご一緒できるのが楽しみでした。
-松雪さんにとっての劇団☆新感線はどういった存在ですか。
 大好きな劇団です。いつも、私が出演を熱望して出させていただいています。(主宰で本作の演出も務める)いのうえ(ひでのり)さんの劇団員さんたちに対する愛も、劇団員さんたちのいのうえさんに対する愛もすごくすてきですし、これだけ長い期間、劇団として新作を作り続け、上演し続けているというのはすごいことだと思います。何よりも、皆さんが演劇を愛しているというところに引かれます。もちろん、たくさんの新感線ファンの俳優さんたちによる客演によって、さらに新たなものが更新されていっているというのも魅力だと思います。
-主演の福士さん、そして、その福士さんと本作でバディを組む宮野さんの印象は?
 福士さんは、「髑髏城の七人」で初めて新感線の作品にご出演されたそうですが、まっすぐで本当にピュアな方という印象でした。懸命に前に進む姿が、(「髑髏城の七人」で福士が演じた)捨之介と重なってすごくすてきでした。宮野さんは舞台の経験も豊富で、歌もお芝居もまた全く違った色合いの捨之介を演じられていましたが、それもまたすてきでした。今回、ご一緒できることは本当に楽しみです。
-現在(取材当時)、稽古もスタートし、着々と作品が形になっていると聞いています。稽古場の雰囲気はいかがですか。
 笑いの絶えない稽古場で、楽しく進んでいます。皆さん、熱いテンションで怒鳴り声が上がるお芝居が続いています。任侠は、筋を通すことが大事なのだと思いますが、今作では、その筋の通し方が独特なんです。筋が通っているようで、それがどんどんねじ曲がっていくので、そこはお客さまにも楽しんで見ていただけるんじゃないかと思います。
-今回、松雪さんが演じる麗波は、どんな役どころですか。
 ネタバレになってしまうので、あまり詳しく説明できないのですが…。無頼の宿を築き上げた身堂蛇蝎の妻で、毒虫を使って人を操るという技を持っています。任侠ものなので、基本的には常にもめていますが(笑)、麗波がなぜ毒虫を使えるようになったのかとか、なぜ蛇蝎とパートナーになったのかというのも劇中で明かされ、かなり衝撃的な展開を迎えるので、そこはかなり面白いんじゃないかなと思います。
-いのうえさんが、松雪さんが演じる麗波について「色っぽくもありつつ、母性を感じさせる、大人の妖艶さを発揮してほしい」というコメントを出していましたが、今現在は、どのような点を意識して演じていますか。
 多面的な役なので、そこをどうストロークの中で変化させるかを、今は意識しています。謎めいて見えるように、短いストロークでもいろいろな色合いが出せるようにしていきたいです。
-ところで、近年は、劇団☆新感線だけでなく、数々の舞台作品にも出演していますが、松雪さんにとって舞台に出演することにはどんな思いがあるのですか。
 俳優が持つ全ての感性と体、あらゆる能力を駆使して、作品を作っていくのが演劇だと、私は感じます。それは、その瞬間でしか生まれないもので、劇場が変わればまた違ったものが生まれるというぐらい繊細なものだと思います。幕が開いてからも、日々進化して変化していきますし…。そういう意味では、純粋に“演じる”ということに向き合える場所が舞台なのかなと私は思います。それから、作品を中心にして、その物語をどう伝えるかを全員で共有して、集中して進んでいくという意味で、演劇はすごく芸術的で、素晴らしいファクターだといつも感じています。
-そうした魅力や、舞台での芝居の楽しさに気付いたのには、何かきっかけがあったのですか。それとも、自然とそう感じるようになったのでしょうか。
 初めて舞台に立ったときから、その気持ちはずっと変わらないです。もちろん、映画もドラマも、どのファクターも、それぞれ魅力がありますが、演じていてどれが好きかと聞かれたら、演劇かもしれません。
-改めて、本作への意気込みをお願いします。
 今、お稽古をしていても絶対に面白いものになるという感覚しかないんです。ですので、ぜひ、それを体験しに劇場に足をお運びいただけたらと思います。おなかいっぱいになって帰れる楽しい作品になると思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
 「2022年劇団☆新感線42周年興行・春公演 いのうえ歌舞伎『神州無頼街』」は、3月17日~29日に大阪・オリックス劇場ほか、静岡、東京で上演。

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