HEESEY

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【HEESEY インタビュー】
3rdアルバム『33』で
高らかに宣言する新しい時代の到来

初期衝動というのは
夢中になってできること、憧れること

6曲目「オンリーワンラヴソング」はまた一気にムードが変わり、ビーチで聴きたくなるような陽気さのある曲なので、こちらも新鮮に聴きました。

50年代や60年代のオールディーズというか、自分の憧れた、最初に好きになった音楽の源流を辿っていくと、そこに行き着いたんですよ。自分流のジャズを作ったのと同じように、自分流のオールディーズを作ってみようと思ってできた曲です。この曲には小さい頃から聴いていた邦楽の歌謡曲やロック、ニューミュージックの色も自分的には見出していて。大瀧詠一さんとか山下達郎さん、例えば僕は小林 旭さんが歌った「熱き心に」(大瀧詠一作曲)とかも好きで、それって実は初期衝動で聴いていたロックとご先祖様が同じなんですよね。当時はルーツとか何も分からないじゃないですか。でも、大人になって思うと“あれってこれと一緒だ!”って。それが50年代や60年代のポップスやロックンロール、初期のロカビリーだったり、アメリカンポップスだったり、結局はそこにつながるというのが分かったし、The BeatlesにしてもThe Beach Boysにしても、結局はモータウンだったり、そういうキーワードでつながっていくので。そういう意味は、いつかかたちにしたいと思っていたものを、自分なりにうまく曲にできたと思います。

HEESEYさんの王道というイメージのロックンロールからは飛距離のある楽曲だと新鮮に感じていたんですが、曲が生まれたきっかけには、むしろご自身の原点との向き合いがあったんですね。

そうですね。“原点って結局何だろう?”と考えると行き着くところは、好きなこと、好きな曲で。初期衝動というのは、すごく夢中になってできること、憧れることだと思うんですね。それに対して忠実にいたいと思うし。とはいえ、いろいろなものが好きだったので、その中にも幅があって。こういう曲も今ならならではのかたちでできるんじゃないかと。女性コーラスやスキャットっぽいものも入れたりして、そういう手法だったり、いろいろなノウハウも身につけてきた今だからこそ取り入れられたと思います。

「THUNDER GATE SHUFFLE」は雷門をモチーフとしたユニークな歌詞ですね。

僕が好きな、いわゆる悪い奴のロックというか(笑)。KISS然り、ヘヴィでハード、バッドボーイズ的な、ちょっと不穏な感じのイメージが先にあって。ブリティッシュロックには三連符の跳ねる感じのビート感が多いんですよ。スコットランド民謡とかトラディショナルな音楽にも跳ねているものが多いように感じるし。僕が大好きなロックはそういう跳ねている曲が多いし、それって日本のお祭りのお囃子にも通じると前々からずっと思っていて。和太鼓のビートも三連符なので、洋楽のワイルドなロックンロールのリフと合体させてみたんです。僕は下町育ちだからお祭りが好きなので、それっぽい歌詞を書こうとなった時、“じゃあ、これは浅草だろう”と。サウンドに合わせて歌詞の内容も悪魔っぽい、邪悪な感じにしたくて、それを日本に置き換えたらどうなるのかと考えて書きました。だから、《鬼が出るか蛇が出るか》や《魔物も妖怪も魍魎も》とか、あえて漢字を使いたいと思って言葉をすごく探しましたね。

浅草は幼い頃に慣れ親しんだ街でもあるのですか?

実家は足立区なので遠いんですけど、浅草はカッコ良いところだと子供の頃から思っていました。もちろん原宿や渋谷とかも好きなんですが、江戸時代からある古の繁華街というか、盛り場というか…お寺もあって、三社祭は日本の三大祭りのひとつだし。“べらんめえ”なうちの父親の刷り込みもあって、“やっぱり浅草だよ!”みたいな。そういう憧れがありましたね。

聖なるものと邪が共存する、エネルギーのある街ですよね。

そうですね、それが蠢くみたいな。ハマッてしまって調べ出したらいろいろと面白い話が出てきて。浅草は浅草寺というお寺が観音様を祀っていて、横に浅草神社があるんですけど、実はそちらのお祭りが三社祭なんですよ。仏教と神道は別のものなのに、日本のいいところなんですが、両方を崇めるじゃないですか。そういうのを知ってしまって“これは面白いな”と思っていたら、歌詞に観音様が出てきてしまって(笑)。それで観音様を調べていったら、今度は三十三観音というものがあると知って。観音様というのは仏様の中のひとりなんですけど、三十三の姿に変身して庶民を救う伝説があって、一番ポピュラーで庶民に愛された仏様なんですね。アルバムのタイトルに“33”とつけたのが先だったんですけど、観音様を探っていったらそういうお話に出会ってびっくりしましたね。

OKMusic編集部

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