【HEESEY インタビュー】
3rdアルバム『33』で
高らかに宣言する新しい時代の到来
確固たるテーマはないようでいて、
コンセプチュアルな部分はある
10曲目の「スーパーハイパーウルトラエクストラ」はストレートなロックンロールナンバーですね。
このアルバムの中で一番古い曲で、2ndに入れようと思っていた曲です。完全な直球のロックンロールナンバーなんですけど、どこかに自分の新しいモードも入れてみたくて。50年代のテイストやロカビリーな感じを少し強めに入れています。それで歌詞も『アメリカン・グラフィティ』のような、ティーンエイジャーが目いっぱいにお洒落してリーゼントで靴を磨いてデートに出かけていくロッケンロールな感じの男の子だったり、ポニーテールの女の子が出でくるみたいな世界にしましたね。その我流な現代版というか、自分なりに解釈して書いてみたんですよ。
そして、11曲目の「INFINITY OF MY GROOVE」はサイケデリックで、終盤のコーラスパートはライヴ空間で響く様子を夢想しました。
昨年の今頃、58歳を迎えるにあたってのテーマを考えていたんですね。それは毎年考えていて、57歳の時は“7”だったから“7seas”ということで“七つの海を渡るぜ!”というワードで、58歳では“8”を横にして“インフィニティ”をテーマにして、さらにベーシストだから“無限大のグルーブ”ってカッコ良いなと思って、昨年のバースデーライヴでは“INFINITY OF GROOVE”って∞マークでフェイスタオルなどのグッズを作ったりしていたんですよ。その言葉が忘れられなくて、“歌詞にしちゃえ”と思った時に、グルーブの意味をもう少し広げようと。音楽的なノリだけじゃなくて自分のノリ、性格のノリも含めて、“自分から発するノリを全てグルーブと呼ぼう”と。そのグルーブが無限大で永遠に続いていったらいいなと思うし、時代が変わっていってもロックンロールが大好きだし、それをオーディエンスの前で生でプレイしたいっていう曲です。コロナでなかなかそれもままならない世の中で、《スクリーン越しに繋がれる時代》だけどと。
だからこそ《逢いに行きたい》ですよね。
そう! リモートでつながれるし、配信もやっているけど、“いやいや、その時その時一回こっきり、一期一会の尊さがあるのは、やっぱりライヴだよね”という想いも今強いし。そういう曲が最後にあることで、アルバムも締まる気がしたんですよね。
そして、締め括りは1曲目のリプライズで「NEXT NEW DAYS (New Days Reprise)」。曲名を列挙していく歌詞で、遊び心がありますね。
これも発想ありきで、「NEW DAYS」ができて少し経った時、プロローグがあるんだったらエピローグもあってもいいかなと思って。新しい時代があって、全てが終わったら“次の新しい時代で会おうぜ!”となるように、“NEXT NEW DAYS”というタイトルにしています。演奏の内容自体は「NEW DAYS」と同じテイクで、構成を少し編集して変えて。そこに違う歌詞を乗せようとなった際、最後の曲だからエンドロールみたいに収録曲名が出ていったらカッコ良いなと思って、こういう内容にしました。ヒップホップやラップのように、“H・E・E・S・E・Y”と自分の名前を乗せてみて、そういうテイストも出したら面白いと思って。そこはもう遊び心ですね。
そんな本作はさまざまな音楽性を取り入れた、しかし軸にはHEESEYさんの人間性が感じられる、一本の映画を観るかのようなアルバムでした。
確固たるテーマはないようでいて、コンセプチュアルな部分はあると思いますね。「33」に関してはタイトルにしたのもあるし、自分が数秘33だと知ったこと自体が僕にとっては新しい時代の始まりのように感じたんですよ。“あっ、確かに俺ってそういう奴だな”って。もちろんこんなに長く生きてきているから、自分のことは分かっているけど、もう一度そこで再確認して、“そうだよ。俺はこういう奴だ”という大きな気づきがあって。アルバムを作っていく過程でそれと出会ったのがすごくいい作用をしたと考えると、コンセプトがないようであると思いますね。
ご自身を愛し直すという感じなんでしょうか?
それもそうですね。数秘術の中には“あなたはこうなんだから、こういうふうにしたらいいよ”とかのアドバイスもいろいろあるんですよ。プッシュしてもらった感がすごくありながら、こんな印象的な言葉もあったんです。“この数字に出会ったのは、出会うべくして出会うタイミングだった”って。
必然的なんですね。
だから、自分のターニングポイントになる時…僕の場合なら今回のアルバムを作ったり、“新しい時代が始まるな”と思っていた時に33と出会った。出会ったということは、そこにちゃんと理由があるわけだから、それをアルバムタイトルにしたのは人からしたら分かりにくいですけど、自分としては筋が通っていることなんですよ。このアルバムは自分本位で作ってしまったところもあるので、説明しないと分からないところもいっぱいあるから、なるべくこういうインタビューの場で話すようにしています(笑)。
そのアルバムを引っ提げたツアーが控えていますが、最後にその意気込みをお聞かせください。
こんな時代だし、なかなか先が見えないのもあって、“チケットを買おうかな? どうしようかな?”と迷うと思うんですね。僕だったら絶対そうなっちゃうし。だけど、このアルバム自体が生の音楽…《Lifetime Livemusic》と歌っていたり、生でそこで演奏するということに通ずる歌詞もいっぱい出てきたりする作品なので、やっぱり生でライヴを観てほしいと思います。生じゃなきゃ絶対に味わえない何かって必ずあって、それはすごく掛け替えのないものだと思うので。
チケットを手にしていることが、日々を生きる上での希望にもなりますしね。
そうですね、それがみなさんの免疫になってくれたら嬉しいです!
取材:大前多恵
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アルバム『33』2022年3月3日発売
(株)BAJ
『HEESEY TOUR 2022 「ROCK'N'ROLL SURVIVOR」』
3/26(土) 宮城・仙台MACANA
3/27(日) 栃木・HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2
4/02(土) 広島・SIX ONE Live STAR
4/03(日) 福岡・DRUM SON
4/09(土) 愛知・ell.FITS ALL
4/10(日) 大阪・Music Club JANUS
4/16(土) 東京・日本橋三井ホール
ヒーセ:1992年にメジャーデビューし、2001年に活動休止、04年に解散したTHE YELLOW MONKEYのベーシスト、廣瀬"HEESEY"洋一のソロ。03年にHEESEY WITH DUDSE(05年に解散)、08年にTYOを始動(現在は活動休止)。13年12月、自身のライヴ活動の原点でもある渋谷La.mamaで“HEESEY”名義でのライヴ活動をスタートさせ、14年5月に1stソロアルバム『YOU SAY HEESEY』をリリースするとソロ名義での活動を本格化。16年のTHE YELLOW MONKEY再集結を経て、4年振りにソロ活動を再開させた。HEESEY オフィシャルHP
「ROCK’N’ROLL SURVIVOR」MV