大竹しのぶ「思い切り愛すから、愛し
て」 5度目の主演舞台『ピアフ』製
作発表レポート
大竹:5度目のピアフということで、何回もやれば慣れるかなと思っていても、そういうこととはまた違って、やればやるほどプレッシャーが大きくて。やるからには前よりもいいものを作らなくてはいけないというプレッシャーがある中で、初演から一緒にやっている梅ちゃんこと、梅沢昌代さんはじめ、また新しいキャストと一緒に、また新しいピアフに出会えたら、新しい感動に出会えたら。
こういう状況にも関わらず来てくださるお客様のために、何か少しでも心に残るものを、絶対にお渡ししたいなと思っています。よろしくお願いします。
梅沢:また大竹しのぶちゃんと日々を過ごしたいと思っています。また神聖な気持ちで取り組みたいと思っています。新しいキャストたちともいいチームを作っていきたいです。よろしくお願いします。
竹内:実はコロナ禍でこの仕事を始めたので、こういう記者会見や製作発表が初めてですごく緊張しています。僕は普段はミュージカルを中心に活動させていただいているのですが、今回のセリフを中心に物語が進んでいくストレートプレイ、でも歌があるので、音楽劇というんでしょうか。こういう作品に参加できることを非常に楽しみにしております。皆さんからたくさん盗んで、いろいろなことに挑戦していきたいと思います。よろしくお願いします。
大竹:大事な人がいなくなるという経験は私だけではなく、みんな、どんなに若い人でもあると思うんですけど、節目ということは全く考えていなくて。1度目のときも、2度目のときも、次があるとは思わないで私たちはやっているので。それこそ、2ヶ月の本番があったとしても、きょう1回だけということで毎日やっているので、無我夢中でピアフの人生を3時間生けるということしかないですね。
でも、ただ経験を積めば積んだだけ、人との別れも含めて、愛の深さとか、年をとった分だけ分かるかなと思います。でも年をとった分だけ、若い人との年の差が激しくなって、どうもすみませんという感じ(笑)。ねぇ、梅ちゃん、とても困るよね。だって、私は歌を歌って、梅ちゃんは体を売っている少女なんですよ。誰も見えないでしょう?(笑)
梅沢:初演から(少女には)見えていません(笑)。10年なんてクソくらえ(笑)。
梅沢:本当にエディット・ピアフとトワーヌのようにしょっちゅう会うわけではないんです。でもお芝居を観に行ったり……今は楽屋にも顔を出せないので、LINEのやりとりはよくするんですけど、結局しのぶちゃんが電話をかけてくる(笑)。電話で長話をしますね。世の中のこととか、お芝居のこととか、いつも話していますね。そんなべったりした関係ではないです。
大竹:え、私はべったりしている(笑)。
梅沢:「どう思う?」ってよく電話が来ますね(笑)。何かあったときには。
中河内:マルセルは妻子がいながらも、ピアフに心を寄せて、愛していた人物。そうですね、奥さんにも打ち明けられないようなことも、ピアフには心の底から信頼して、打ち解けあい、お互いがお互いを支え合い、やっと独りぼっちじゃなくなるような瞬間が二人の中に、すごい大切な、温かい愛としてあったんじゃないかなと、台本を読んで感じました。本当に魂と魂がすごい深く絡み合う、真剣で純粋な誠実な愛という感じですかね。はい。
竹内:ピアフの人生、僕はとても皮肉な人生だなと思います。というのは、もしピアフが本当に幸せを望んで、幸せに一人の男性を愛し切っていたとしたら、いろんな苦しみがなかったとしたら、ここまで遠く離れた国でミュージカル化されるぐらい伝説的な歌手になっていなかったのではないかなと思います。
苦しんだ分だけ、その感情とかが、ピアフの呼吸とか唇に乗って、お客さんにより届いたのかなと思うので、愛した男性たち、その分苦しんだと思うんですけど、愛した男性たちなしに、この伝説的なピアフはなかったのかなと思います。
山崎:月並みな言葉になってしまうと思うんですけど、愛の力はすごいものです。僕が演じるテオは、結婚しているのが26歳の時なんですよね。実は、僕、今26歳で。あれだけの病にかかっている状態の……かなり年上の方を……あ、いや、年上の方に対して、「僕が治す」と言える心意気というか。僕は今からそうならなければならないんだということを、稽古に入る前に考えていました。なので、まとめますと、愛の力はすごいという月並みな言葉になってしまいます。
大竹:3人のその役に対する思いを聞いていて、大丈夫だなと思いました。舞台上で3時間接するわけですけども、本当の愛を感じ合わないと、お芝居はできないと思うので。私も明かりが当たっているので大丈夫だと思うので(笑)、思い切り愛すので、愛して欲しいなと思います。
中河内:いや、もう最上の愛で返しますよ。もちろんです。やっぱり役どころもそうですけども、こうしてお芝居の中でも、はじめましてから始まり、すごい深いところまで行くのが芝居の醍醐味。いろいろな変化を楽しみながら、お互いにいろんな感情を持ち寄って、お芝居できることのキャッチボールが僕は大好きなので、大竹さんとしっかりと愛を結びたいと思います。
山崎:僕はピアフに憧れを持った状態でお会いする。なので、愛の度合いとしては、僕が一番マックスの状態から愛を与えたい。(愛を)受け取ってもらえるように頑張ります。
大竹:新しいものは何もなく、新しい気持ちでやるということ。あと、歌をもっとちゃんとさらに技術的に上手に歌いたいなという思いがあります。そこで頑張らなくちゃいけないなという思いがあります。
ーー5回やってみて、ピアフという女性について見方が変わった部分はありますか。
大竹:いつも舞台をやっていて、教えられている部分がすごくあって。ポスターにも書いてありますけど「あたしが歌うときは、あたしを出すんだ。全部まるごと」というセリフがすごい好き。その一瞬一瞬、全部愛を捧げるという生き方には、いつもセリフを言いながら教えさせられるなとは思いますね。それと同時にいつも孤独を抱えています。だから、孤独と愛との繰り返しという感じです。
大竹:「愛の讃歌」は『ピアフ』の中で歌う時は、マルセルへの愛というすごく自分の中での大きな深い愛を感じながら歌うものがありますけど、『ピアフ』のお芝居を離れて歌う場合もあって。そのときも、天国に行ってしまった人たちの大きな愛というものをいつも感じながら歌っています。ピアフが歌を歌う時というのは、天と地を結ぶ役目があって。お客様に歌っているわけではなく、天に向かっているような錯覚に陥る時があるんです。それをお客様が見ている。それが愛の讃歌だなと思います。
大竹:劇中で歌っているので、全部芝居で歌っている感じですね。歌というよりも、芝居で言葉を言っているというのが多いです。でも、ほとんど愛の歌なので、ずっと愛を叫んでいる人だなとは思います。
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