【水樹奈々 インタビュー】
20年の成長と『SHAMAN KING』への
リスペクトを込めて!
約1年振りのシングル「Get up! Shout!」はTVアニメ『SHAMAN KING』の第2弾オープニングテーマで、水樹奈々自身も玉村たまお役で出演。カップリングには20年前に歌った、たまおのキャラクターソングのセルフカバーをするなど、『SHAMAN KING』の魂がオーバーソウルした一枚になった。
1カ月寝かせて
3日で一気に書き上げた
シングル「Get up! Shout!」は『SHAMAN KING』の第2弾オープニングテーマですが、まずは今作をリリースするお気持ちをお聞かせください。
昨年春くらいにプロデューサーから、2021年10月にシングルをリリースすること、それが『SHAMAN KING』の第2弾オープニングテーマになることを告知された時は、本当に驚きました。『SHAMAN KING』は歴代のテーマソングを林原めぐみさんが担当されてきたので、まさか私が担当するなんて恐れ多くて“本当に私でいいんでしょうか?”と訊き返してしまったほどで。それほど大きなバトンを受け継ぐということで、歴代のテーマソングと並んでも恥ずかしくない一曲を作りたい、そこに水樹奈々らしさもしっかり刻んだものにしたいと思ったし、『SHAMAN KING』のクライマックスに向けたシャーマンファイトの盛り上がりと物語が大きく動くストーリー展開にフィットする熱のこもった曲を作りたいと、とても気合いが入りました。
原作コミック『シャーマンキング 完全版』を全巻読み直して臨んだそうですね。
はい。しっかり読み込んだ上で、『週刊少年ジャンプ』作品の王道ヒーローアニメの主題歌としてストレートなロックで、そこに『SHAMAN KING』の世界に流れる古き良き昭和の香りも落とし込みたいと思って。コンペで100曲くらい集まった中で、この「Get up! Shout!」は歌で始まる冒頭から心を鷲掴みされ、ドラマチックな構成にグググっと引き込まれ、直感的に“この曲だ!”と感じて選びました。それが昨年の秋頃で、そこからよりドラマチックな展開にしたいと思い、作曲の山本玲史さんとやりとりさせていただきながら、サビと冒頭のフレーズをブラッシュアップしていきました。
身も心も削る熾烈なシャーマンファイトを想像させる曲で、そこに水樹さんらしいエモーショナルでパワフルなヴォーカルが乗っているわけですが、サビと冒頭を練り直したというのはどういう提案をされたのですか?
『SHAMAN KING』のテーマには“命の重み”があって、常に生と死が作品の根底に流れているんですね。それをメロディーにも乗せたいと思い、たださわやかにアツく駆け抜けるだけではなく、何か心にしこりを残すような、体に絡みついてくるような、そういう憂いを帯びた泣きのメロディーが欲しいと思ったんです。
林原さんが歌った歴代のテーマソングもサビが印象的でしたから、よりサビに力が入るのは分かります。
本当にそうで、林原さんが歌われた「Over Soul」(2001年8月発表のシングル)と「Northern lights」(2002年3月発表のシングル)は一度聴いたら耳から離れないエネルギーとインパクトがある曲で、サビももちろんですけど、歌で始まる冒頭のフレーズを聴くと“『SHAMAN KING』が始まった!”という感覚になり、あの導入で一気に心を鷲掴みされます。私もあのインパクトを目指したくて、歌始まりのフレーズとサビをすごく研究しました。
林原さんが歌った楽曲のスピリッツを受け継いだということで、歌詞の最後に《Over soul》と入っているのも激アツなポイントですね。
このフレーズは絶対に入れたくて、最後は《Over soul》で締めようと直感的に出てきました。『SHAMAN KING』のキャラクターたちが霊を憑依させる時に言うキーワードですし、林原さんが歌った2000年放送版『SHAMAN KING』の第1弾オープニングテーマのタイトルでもあるので、リスペクトの念も込めて入れさせていただきました。
“Get up! Shout!”という曲名にはどんな想いを込めたのですか?
もちろん『SHAMAN KING』のキャラクターたちに向けた言葉でもありますが、みなさんコロナ禍でなかなか自分の気持ちを爆発させられる場所、ライヴなど自分の趣味に没頭できる場所がどんどん少なくなって、お家で悶々としてストレスが溜まる日々を過ごしていると思うんですね。それは私も同じで。みんなと再会した時は、叫び合って笑い合って時間を一気に取り戻したい! そういった気持ちも込めています。
歌詞にヒロインの恐山アンナをイメージさせる“恐”という文字があったり、“珠玉”は玉村たまお、“絶望”はアイアンメイデン・ジャンヌが浮かんで、考察のし甲斐のある歌詞だと思いました。
実際にいろいろなキャラクターが入っています。Aメロの《夜を編む静寂に導かれ》は、墓地で主人公の麻倉 葉くんと小山田まん太くんが出会ったシーンを思い浮かべましたし、《「知る」ことを選んだあの日》は葉くんとハオの因果関係やホロホロとコロロの関係性のこととも受け取れますし。いろいろなキャラクターの想いが、この2行だけでもすごくたくさん詰まっているので、ぜひじっくり考察してください!
それだけに作詞には時間がかかったのでは?
今回はこれまでのスタイルとは違う手法で作詞をしたんですよ。今までは原作を読んで、そのアツい気持ちのまま一気に書き上げていたのですが、この曲は1カ月寝かせて、自分の中で熟考して練り上げる時間を作ったんです。その上で“よし書くぞ!”と思ってからは、3日くらいで一気に書き上げました。早い段階から制作に着手し、時間をかけて作らせていただけるありがたい環境があったからこそできた方法ですね。