「これからも好奇心が赴くままに!」
Lyrical Lily 1st LIVE「準備はよろ
しくて?」昼公演レポート

2021.9.18(sat) 『Lyrical Lily 1st LIVE「準備はよろしくて?」』昼公演@Zepp Haneda
2021年9月18日(土)にLyrical Lily初となるワンマンライブ「準備はよろしくて?」がZepp Hanedaにて開催され、今回はその昼公演のレポートをお届けする。D4DJ第6のユニットとしてステージデビューした2020年6月から足掛け1年、今年の7月に開催が発表された直後に緊急事態宣言が再び発令されるなど、決して順調とは言い切れなかったかもしれないが、それでも今日を待ち望んだ温かいファンにも恵まれ、何とかこの日を迎えることが出来た。ただ夢中で駆け抜けて過ぎていったように思えるこの1年も、着実に進歩していたんだと、何よりも彼女たちにとって1番意義のあるライブだったんじゃないかと私は思う。未完成だからこそ一緒に分かち合えるものがある。それこそ学園祭のような手作り感のある温かい雰囲気を個人的には久しぶりに感じて、幸せをおすそ分けしてもらった、そんな感覚を得た1日だった。
暗転した舞台から、本日の主役である4人が姿を現すと、まるで物語の始まりを告げるような軽快なトランス調のイントロが聞こえてきた。2ndシングル「プティプランス」だ。まさに叙情的(リリカル)で、ただ可愛いだけでなく、その中に光る芯の強さのような決意を感じさせるこの曲は、それこそ彼女らから「準備はよろしくて?」と問いかけられているようにも聞こえてくる。
続いて、どこか懐かしい`80sのディスコナンバー感のある「月に萌える」、カヴァー楽曲の「ぼなぺてぃーと♡S」とDJイベントらしくノンストップで3曲続けたところで「皆さん、ご機嫌よう。Lyrical Lilyです!」という、いつもの挨拶が入る。初のワンマン、その最初の公演ということもあってMCでは少し緊張した面持ちを覗かせつつも、この日を待ち望んでいたファンとの対面をじっくりと楽しんでいるようだった。
反田葉月
まさにそんな「オタノシミパーリナィ」な「夢十Yah!」からライブは再開し、「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」では舞台上にリリリリのキャラクターたちが登場するリリックビデオも映し出される。彼女たちが歌うことによって、純粋に純真に学校生活を楽しむ少女たちの歌にも聞こえ、歌う人によってこんなにも曲の捉え方って変わるのか……と物思いに耽っていると、「まだまだいけますよね〜!」と舞台から煽りを入れられ、ライブは加速していく。
続く「ねむり姫」はFuture Bass風のトラックにラップを乗せた、これまでのリリリリ史上もっとも攻めた1曲と言えるだろう。「Shiny Smily Story」、「冒険王!」とそんな流れを引き継ぎ、冒険王!ではサビでもはやお馴染みのクラウチングスタートからの全力疾走を見せ、文字通り全力全開のパフォーマンスでライブを盛り上げる。「ギミー!レボリューション」「ユニバーページ」と耳馴染みのあるアニソンカヴァーの流れでは1コーラスで疾走感ある展開を見せ、ライブの折り返しまでを駆け抜けた。
進藤あまね
そんな興奮冷めやまぬMCパートでは、我らが“いいんちょ”、春日 春奈役の進藤 あまねを横目に、はしゃいで鬼ごっこまでし始める3人のおてんばっぷりがここで発揮され、「いい加減にしてください!」と怒られる始末。それでもまた「タッチ」と鬼ごっこが再開されると、「そろそろ次の曲へ行きますわよ!」と再び注意され、カヴァー曲の「タッチ」、「太陽のflare sherbet」と2曲続けて披露していく。ここまで12曲をほぼノンストップでパフォーマンスするパワフルなお嬢様たちの姿に驚かされつつ、白鳥 胡桃役の深川 瑠華から「いいんちょおいで、イタズラしないからさ!」と声をかけられると、DJブースからステージへと降り、ようやく4人揃っての長めのMCパートへ。
渡瀬結月
竹下 みいこ役の渡瀬 結月からは「水分補給は大事だよ!」と会場への注意もありつつ、初のワンマン公演ということもあり「何かやってみたいことある?」という話題へ。「大きな会場でトロッコに乗ってみたい!」と盛り上がった後には、「ウェーブっていうのをやってみたい!」という深川に会場が応えるなど微笑ましいやりとりが続く。今後のライブでの演出の話が出ると、桜田 美夢役の反田 葉月からは「上から気球に乗って登場したいな!」「きっとお父様に言えば、お茶会ができる気球も用意できると思うの」と一気に演出のスケールがお嬢様になってしまうのは、もはやご愛嬌。
ライブの終盤戦の訪れを告げる汽車の汽笛が聞こえてくると、「銀河鉄道の夜に」を披露。続く「Agapё」はトランス風のアレンジが加えられており、しっかり落ちサビまで飛ばして原曲の1番良いところを余すことなく聞かせてくれる。Lyrical Lily的には意外な選曲なのが「創傷イノセンス」だが、進藤あまねの曲に合わせた激しいスクラッチでライブをしっかりと盛り上げていく。
続いては、満を持しての「人間合格!!!!」。「リリリ!リリリ!」というコールアンドレスポンスや小気味よい331137拍子が圧倒的にライブ向きだし、進藤の「皆さんブチ上がっていきますわよ〜!」という煽りが加わると、もう否応無しに盛り上がるしかない。
最後の1曲はデビュー曲でもある「汚れっちまった悲しみの色」。この曲で彼女らが歌っているように、踏み出したばかりのころはまだ辺りは真っ白な景色だったかもしれないが、今日のZepp Hanedaの会場は一面ペンライトのピンク色で染まっていた。デビュー当時の純真無垢さはそのままに、それでも彼女たちが歩んできたこの1年間は着実に前に進んでいたのだと、その足跡を辿ることの出来たライブであったと改めて思わされた。
ここからはアンコールということで、一度舞台袖に戻ったメンバーが再び登場し、先ずはお知らせから。
昼公演では、このワンマンライブを記念したグルミク内でのライブ記念ガチャ開催のお知らせや、中野区とのコラボ番組の配信が決定など、続報も気になる情報がアナウンスされたが、なんといっても1番のサプライズは夜公演で発表になった2ndワンマンライブ決定のお知らせだろう。今度の会場はZepp Nagoyaということで、関西方面のファンにとって待ち遠しい1日になりそうだ。
そんなお知らせの後には進藤 あまねによるDJパフォーマンスタイムも設けられ、数分程度のスクラッチルーティンを披露してくれた。お嬢様らしくマイペースに、それでも着実にスキルアップしている様子をまじまじと感じられた1コーナーでとても良かった。
深川瑠華
アンコール1曲目は「アンダーカバー (TeddyLoid Remix)」からスタート。Zeppの環境で聞くTeddyLoid Remixの出音は、やはり現場で聴いてこそだと改めて思っていると、深川の「ブッちぎりですわよ〜!」の掛け声が。「男の勲章」をカヴァーし、ラストスパートをアクセル全開で飛ばしていくと、まさかの「ギャラクシー☆ばばんがBang!」、そして「1st Priority」と完全に個人的な話だが、この辺りの世代のアニソンカヴァーはもう懐かしすぎて泣けてくる……。アンコールラストの曲の「吾輩よ猫であれ」は、ある意味1番リリリリらしく清楚で可愛くアイドル感のあるポップスで、原点とも言える1stシングルでこのライブを締めくくるという構成も非常にニクいセットリストだと言えよう。
最後に1人ずつメンバーたちが今日のステージを振り返っていく。
渡瀬が「1st LIVEの開催発表からいろんな気持ちになることがあったけど、やっとこうして皆さんに会えて嬉しかったです!」と改めてその喜びを噛み締め、深川は「始まる前からずっと緊張で泣きそうで……」と大舞台へのプレッシャーを吐露し、進藤は「まだまだ盛り上がる準備はよろしくて?!」とお嬢様らしく煽る。最後に反田が「気負う気持ちもあったけど、最後はリリリリらしくどれだけ皆さんを楽しませられるかを考えて…」と観客を前にステージに立てた喜びを語り、想いはひとつであることを再認識した。
演じるキャラクターと本人たちの性質が割とみんな正反対なように感じるのもリリリリの魅力なんだとこのライブを経て思い始めたが、そんな彼女らの無鉄砲さや無邪気な部分がやっぱり1番の強みなんだと改めて感じた。
ポップスを中心とした世界で、様々な音楽ジャンルに手を出しても、結局お嬢様特有の世間知らずな無邪気さが全部を飲み込んでしまうし、裏を返せば偏見や先入観なく色んな経験を吸収できると言うことだ。これはD4DJに全6ユニットあれど、彼女たちにしかない唯一の強みだろう。
ぜひとも今後もこのまま、彼女たちの好奇心の赴くままに突き進んで行ってほしいと願った。もしかしたらD4DJで1番化けるユニットはLyrical Lilyなのかもしれない。
レポート・文=前田勇介

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